「島々シンポジウム」実行委事務局・小西 誠です。
昨年年末から、政府・自衛隊による、凄まじい、常軌を逸した軍拡――琉球列島の軍事化の波が押し寄せており、メディアもこれに乗じて、軍拡を煽るとともに「台湾有事」キャンペーンを繰り広げていますが、この実態を正確に認識するためにも、戦略国際問題研究所(CSIS)による「台湾有事シナリオ」の分析はひじょうに重要です。
以下に、この原文のノート(原文は英文164頁)を公開しましたので、参照してください。
なお、英文原文もリンクをはっています。
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●次の大戦の最初の戦い――中国による台湾侵攻を想定したウォーゲーム
2023年1月 CSIS国際安全保障プログラムの報告書
*編集者註
米国シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)による「台湾有事のウォーゲーム」は、2026年に「台湾有事」事態が発生したことを想定したもので、約1カ月間の中国軍対日米台軍の戦争をシュミレーションしたものである。
本文に見るように、このシュミレーションは、24回にわたり、いくつもの想定を替えて実施されたとされるが、最も可能性が高いとされる基本シナリオでは、米軍の潜水艦や爆撃機、戦闘機は、自衛隊の支援も得て中国の強襲揚陸艦隊を無力化したが、米軍は空母2隻ほか多数の艦艇、航空機を270機を失うとされ、日本もまた、多数の艦艇、航空機を失うと想定された(本文参照)。
また、米軍兵士は、最大で約1万人の死傷者が生じるとされているが、自衛隊の死傷者は明記されていないが、ほぼ同数の死傷者が生じると思われる。
そして、このいずれの想定でも、中国軍が台湾へ強襲上陸作戦を行った場合、ほとんど壊滅状態だったことが示されている。
つまり、これは中国側からする、「台湾武力解放」=台湾占領が、実際上からも不可能であることの示唆である。
このCSISの軍事的結論は重要である。
昨年から、自衛隊制服組を中心にしながら、「台湾有事」の様々なシナリオが唱えられつつあるが、いずれの「台湾有事シナリオ」なるものも、荒唐無稽の類いである。
日本の軍事費2倍化――その核心は、琉球列島のミサイル攻撃基地化であり、「台湾有事」態勢であるが、この事態が急ピッチで進むなか、「台湾有事」の本当の実態(その荒唐無稽さを含む)を知り、そのもたらす凄まじい結果を予測することも必要である。
繰り返すが、このシュミレーションは、中国軍対米日台貴軍の戦闘の「約1カ月」の結果である。もしも、実際の戦闘が始まれば、この「第1会戦」の後(双方の勝敗なし)、数年後には戦力回復後の「第2会戦」が始まるだろうし、その戦争はいずれにしろ、アジア太平洋全域での戦争へ、そして世界核戦争へ広がっていくことは不可避だ。
(CSISの結論も、「最後に、戦争はこの初期段階を経た後も終結せず、数ヶ月あるいは数年間引きずるかもしれない。紛争は、定期的な停戦を伴うエピソード風なものになるかもしれない。このプロジェクトが「次の戦争の最初の戦い」と呼ばれているのには理由がある」としている)。
本来、CSISのシュミレーションは、この戦争の最終的結果までもシナリオを書いておくべきであった。
私たちは、今現在、日本の防衛費2倍化――日米の南西シフト発動(2023/1/12、日米安全保障協議委員会(2+2)の中、アジア太平洋――琉球列島の島々で何が起こっているのかを把握するためにも、この戦争の「予測される実態」を把握すべきである。
なお、このCSISの「台湾有事」の予測は、軍隊の被害予測は行っても、その戦争に渦中にたたき込まれる、沖縄(日本)・台湾の市民の犠牲については全く触れてもいないし、考慮してもいない。この予測をしない現代戦争のシュミレーションは、重大な欠陥をもっていると言わねばならない。
●ノート全文は、以下のリンクからご覧下さい。
https://note.com/makoto03/n/n45c89676365a
●英文「The First Battle of the Next War Wargaming a Chinese Invasion of Taiwan」(2023/1)
https://csis-website-prod.s3.amazonaws.com/s3fs-public/publication/230109_Cancian_FirstBattle_NextWar.pdf?WdEUwJYWIySMPIr3ivhFolxC_gZQuSOQ&fbclid=IwAR2E5opEjxQPmWezg8WBiycjyUUHolYwkv0uYb0CENQLfm1bAIZCUj4MNpA
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