2011年11月13日 連帯・共同ニュース第186号
9条改憲阻止の会
■ 冷たい秋の雨の中に1300人を超える人々が経産省を包囲したのは11月11日。午後6時から7時30分までの間。脱原発や再稼働反対の声が人々からあがった。女性が半数を超すと思われる人々の群れはキャンドルと共に霞ヶ関に脱原発の声をとどろかせた。このころ野田首相はTPP交渉参加表明の直前だった(11日の夜、野田首相は官邸で記者会見し交渉に参加する方針を表明した)。これを積極的に進めたのも経産省である。僕はTPP交渉参加に反対だが、当日経産省を包囲した人の大半はそうだろうと思う。貿易立国や貿易自由化を抽象的に言うだけでその言葉の現在的意味も具体策も提起しえていない。アメリカが対日要求として繰り返してきた理念の受け売りである。アジア・太平洋地域の成長力を取り入れなければならないというが、韓国や中国、ASEAN諸国の中で重要なタイやインドネシアも参加してはいない。これはオバマ政権の対日経済戦略を受け入れるためのもの以上ではない。明日の日本社会の理念も像もない。
■ 経産省を取り囲む人間の鎖は9月11日以来、二度目である。正確には10月30日の「原発いらない福島の女たち」の毛糸の紐(鎖)で包囲しているから三度目である。これは原発再稼働→原発保存という原発推進の径路(政府や経産省や原子力ムラの戦略、あるいは政治的構想)に反対し、原発稼働停止→廃炉という脱原発の径路の意志表示である。政府や経産省は動きだす時期を見ているのが現状だが、やがて電源ベストミックス論を政策的骨子として打ち出してくるだろう。僕らの9月11日の経産省包囲はテントよる共同広場を実現し、それを維持する中で脱原発の意志空間を形成してきた。これは国民の意志や声の集まる空間であり自由や民主主義の立ち現れる場所である。体制や権力の原発推進、あるいはそこと不可分な隠蔽社会と闘い、同時に自由や民主主義が生み出る空間である。「原発問題はエネルギーの問題であるが、それ以上に民主主義の問題である」とはよく語られることである。原発を推進存続させてきた社会の非民主的、官僚的あり方への批判であるが、これは脱原発のめざす運動の指示向線でもある。テントと共同広場《座り込み等も含めて》はこれを実現しつつある空間である。これが全国に広がる時、脱原発の運動が同時に自由や民主主義を誕生させていることになる。この対極にあるのは本物《鉄》の鎖を持ち出してきた経産省の動きだ。彼らはテントの回りに鉄の鎖で囲み僕らを締め出そうとしている。貧しさこれが体制や権力の姿だ。僕らはこんなものに負けはしない。 (文責 三上治)