汚染水流出事故-院内集会・政府交渉の報告

著者: 杉原浩司 : 福島原発事故緊急会議/緑の党・脱原発担当
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遅くなりましたが、10月2日に行われた汚染水問題に関する院内集会と政府

交渉についての阪上武さん(福島老朽原発を考える会)による報告を転送し
ます。

なお、報告は以下にも掲載されています(美浜の会ウェブサイト)。
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima/gov_rep20131002.htm

みなさまへ<転載可>

昨日参議院議員会館講堂にて、汚染水流出事故について、院内集会、汚染水国際
署名の第一次の提出、政府交渉を行いました。150名のみなさんにご参加いた
だきました。ありがとうございました。(誤認があればお知らせください)

院内集会では、いわき市漁協久ノ浜支部の新妻さんに現役の一漁師の立場でお話
いただきました。漁に出られずに、漁師たちは檻に入れられたライオン状態に置
かれていること、試験操業がはじまるが、採れる魚種は限られており、8割方の
魚を海に戻すことになるが、深いところからの底引きではほとんどの魚が死んで
しまうこと、放射能計測の体制が整わず、全量の検査ができないことからも、時
期尚早だと考えること、それでも、試験操業をしないと、浜の関連業者さんに補
償がまわらず、補償の不備から、やらざるをえない事情があることなど、リアル
な実状が話されました。何より、汚染水の意図的な放出に対しては、多くの漁業
者が反対していると話され、交渉の場でも政府に対して、決して放出しないよう
訴えられました。

政府交渉では、原子力規制庁3名(村田真一氏、下岡豊氏、田口達也氏)、経産
省資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室2名(山形宏之氏、竹永祥久
氏)、水産庁2名の方と、質問事項に即してやりとりをしました。

◇事故の規模が広島原爆の半分のレベルであることは認める
◇湾外への海水流出と放射能の観測は認めるが「影響は確認されていない」
◇意図的放出は関係省庁の確認が必要としながら東電の「勝手に雨水」は黙認?
◇タンクの移し替えはいつになるのか不明。次のタンクの耐用年数は無限??
◇国内外の叡智を集めると言いながら会議は相変わらず非公開
◇再稼働審査における汚染水対策についてはまだこれから検討

■汚染水流出事故の認識について
原子力規制庁は、タンク水の流出が広島原爆の半分のレベルであることは認めま
したが、タンク水が外洋に流れた可能性については調査中、また、「完全にブ
ロックされている」がウソであることについては、5/6号機の放水口からの放
出とその先で放射能が検出されていることを認めながら、「影響は認められな
い」を繰り返していました。

■タンクの移送について
今回漏れを起こしたタンクを溶接型のタンクに移送する件について、資源エネ庁
は、東電に検討させているというだけでした。これではいつになるかわかりませ
ん。また、溶接型の耐用年数については、「ありません」「無限に使えます」
と。そんなタンクがあるのでしょうか?ますます信頼できません。

■魚の放射能測定について
水産庁からはストロンチウムも委託研究で測定しているとの回答がありました。
しかし非常に限られています。漁業者からは、全数の計測ができるように国とし
て対応して欲しいとの訴えがありました。

■汚染水の意図的放出について
原子力規制庁は、田中委員長の意図はわからない、汚染水の放出は、関係省庁の
了解が必要になっていると回答しました。ところが、東電がタンクまわりの放射
能が計測された水を勝手に雨水ときめて放出してしまった件については、特に問
題ではない口ぶりでした。また、エネ庁が主催する汚染水処理対策委員会の資料
に「環境に問題のない海洋放出」とあることについて問い質しましたが、検討中
というばかりでした。

■国の責任と体制について
汚染水対策について、国の責任者は誰かという問いに対して、エネ庁が、汚染水
対策チームが発足しトップは経産大臣だと回答しました。具体的には汚染水処理
対策委員会で検討し、技術公募も行うと。しかしこの委員会は、商業上の理由
で、傍聴できず、議事禄も非公開となっています。公開を強く要求しましたが、
エネ庁は要望は伝えますというだけでした。

■再稼働審査における汚染水流出事故の考慮について
原子力規制庁は、基本は炉心溶融といったことを起こさせないことだとしなが
ら、放水によって建屋からの放射能放出を低減する際に出てくる汚染水の対応に
ついては検討したことがあるとしました。しかしこれは海洋への汚染水放出とは
全く別の話でした。再稼働適合性審査の中でどうするかはまだこれからだという
回答でした。いま適合性審査で電力会社示しているシルトフェンスの設置や土嚢
といったものでは、汚染水事故を防ぐことはできないとの訴えました。

阪上 武

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
〔opinion4633:131005〕