■消費税減税への総攻撃
消費税減税への攻撃が一段と強まっている。総選挙にはいってからの攻撃はマスコミと学者先生・研究者などいわゆる専門家を総動員しての総攻撃となっている。
ちょっと挙げてみても、「「将来の私」想像して」(某大手新聞.1/31社説)。「消費税減税「請求書」逃げるな」(同じく某大手新聞.2/2記事)。その他もろもろのTVも含めたマスコミも似たようなものだ。学者のコメントや研究所のシュミレーションをおりまぜて減税無責任論を繰り広げている。
これらが強調していることは、要するに「減税すれば将来の世代がツケをまわされる」「将来の私たちの社会保障が危うくなる」 、「減税は負うべき負担からの逃げにすぎない」「遠からず請求書がまわってくる」という脅しだ。
上記の社説いわく、「確かに、税負担が減れば家計は助かる。給料から天引きされる社会保険料が減れば、手取りは増える。足元の暮らしは楽になるだろう」、だが「社会保障は、いまの私たちが将来まで見通しても、なるべく不安を感じずに暮らすための基盤だ。その費用はいまを生きる世代の所得から、連帯して払うのが筋だ」
国民は増税を甘受せよといっているのだ。消費税減税などトンデモない、社会保障の費用は連帯して消費税として払え=社会保障費の増大は消費税増税でまかなえと強調している。
まさに反勤労国民・反労働者的というべきだ。完全に企業・資本の側にたって勤労国民の声を押しつぶそうとしている。企業・資本の側は舞台裏でにんまりとほくそえんでいる。
■社会保障費が増えるなら「消費税を上げるしかない」?
勤労国民のみに負担を強要する悪辣なデマゴギー
これら直近の主張の特徴点は、選挙戦のさなかという時点で、社会保障問題を消費税減税という一点に集約化させ焦点をあてて、国民の目をもっぱら消費税に向けさせて他の選択肢を隠蔽することにある。
この隠蔽は、「消費税は社会保障4経費(年金、医療、介護、少子化対策)に充てられる。だから社会保障費が増えるなら、消費税を上げるしかない」という悪辣なレトリック・デマゴギーによって可能になっている。なおかつ社会保障を支えるのは、もっぱら勤労国民が払う税金であり、企業・資本の側の負担を忘却させるものである。
このデマゴギーは今後の消費税増税を国民の常識にして、それを徹底しようとする企業・資本の意思に他ならない。無論、某新聞のように、良心的インテリの立場から上から目線で、国民の良識に訴えるという妄想もそれに含まれる。どちらにしても反勤労国民、反労働者であることに違いはない。
■社会保障費の増加は消費税でまかなえ? なぜ法人税増税ではいけないのか
だが、社会保障費が増えたならば、「なぜ、その分を消費税で賄わなければならないのか?法人税増税で埋めれば良いではないか?なぜ、社会保険料負担の企業負担引き上げはダメなのか? 所得税の累進課税強化はどうなのか?」
ごくごく単純に考えて、パッと出てくるのは、消費税収を法人税増税でまかなうことだ。
ちなみに、これまで消費税増税が長期にわたって続き、消費税収は基幹税のトップになった。それに反比例して法人税率はドンドン引き下げられた。国民負担を増大させるいっぽうで企業負担はドンドン減った。所得税の累進課税もドンドン引き下げられフラット化した。企業は増益を続ける一方でカネをためこみ、かつ株主配当は急伸している。他方で賃金は徹底して抑制されて実質賃金は減少している。完全に企業側の勝利になったのだ。
だから、自民党内ですら法人税増税を主張する声が高まっている。法人税を減税してきたが効果はなく、設備投資はのびず日本経済は停滞したままだった。そこで法人税を増税すれば、納税するより身内の賃上げ原資に回すだろうし、設備投資にも回すだろうというのだ。さもありなんだ。いずれにしても国民を苦しめているのは企業・資本の側だ。
■明らかな虚構とすりかえ
以上のように、消費税減税への攻撃は消費税以外の選択肢を隠蔽して、もっぱら消費税の枠内のみで国民負担・勤労国民の負担をふやせというものだ。完全に反労働者的である。それがいかにも良心的ぶった声で強調されるのである。偽善である。
また、この攻撃は、国民に「社会保障費は消費税でまかなうものなのですよ」という明らかな虚構をふりまくものである。虚構はなにかと云えば、すりかえである。「消費税で」が「消費税のみで」に、すりかえられるのである。すると、このすりかえがはっきり意識されないまま、なんとなく「消費税収でまかなうしかないのだ」という観念が浸透していくのだ。
その一例が次のようなものである。
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LIMOくらしとお金の経済メディア
「消費税の使い道は?」税収は約24兆9000億円!集めた税収以上にかかる社会保障費《約10兆円の不足分》はどうする?」 2026.01.30 執筆者 村岸 理美「・・・・・・・・・
1.2 それでも財源は不足している
「消費税だけで社会保障を賄えている」と思われがちですが、現実は異なります。2025年度当初予算において、社会保障4経費の総額は約34兆円。対して、消費税(国税分)の収入は約24.9兆円にとどまります。
・社会保障4経費の支出:約34兆円
・消費税収(国税分):約24.9兆円
この約10兆円の差額は、他の税金や国債(国の借金)で穴埋めされています。・・・・・・――――――――――――――――――――――――――――――――――――
このように、「不足している」とか「他の税金で穴埋め」とか「国の借金で穴埋め」とか奇妙奇天烈なことを述べて不思議に思わないのはなぜか?
ここでは「他の税金や国債で穴埋めしない状態が本来あるべき姿だ。消費税で全てまかなうのが本当だ」ということが無意識的に大前提になっている。その論理の飛躍にきづかないのだ。法人税増税で埋めて何が悪いのか? 他の税で埋めて何が悪いのか?
つまり、「本来は、社会保障費は消費税のみでまかなうものなのですよ、消費税のみで!」という思い込みとすりかえに犯されているのである。
このように思い込まされてしまえば、「足りない分は消費税増税でまかなうしかないだろう」と一直線に短絡して飛んでしまう。
財務真理教の悪辣なレトリックの思いのままに犯されているのだ。
■目的税化は社会保障予算を抑制・削減する
ところで、関連する話だが、消費税は一般財源であり目的税ではないから、これをはっきりと目的税にすべきだという話がある。だが、これはウカウカと乗ってはいけない。頭をめぐらす必要がある。
この話は少しねじれている。目的税にすれば、「社会保障費は消費税で賄われる、だから安心」という愚かで曖昧な意識がうまれてくるのだ。消費税が社会保障をしっかりと担保してくれるかのような錯覚をうむのだ。いわゆる「税と社会保障の一体改革」はその錯覚を利用して国民をだますものだった。(現在はまだ曖昧な規定になっている。だから一般財源だ)
だが、逆なのだ! 目的税化は何を意味するか?目的税化でどうなるか
目的税化されれば、まさに法的に「消費税によってのみ社会保障費を賄わなくてはいけない」ということになる。文字通りの目的税になれば、社会保障・4経費の経理は正確に厳格に分けられ区分される。従って4経費が増大していけば、消費税以外の他の税や国債でまかなうことは出来なくなる。となれば、消費税率をあげるしか手段はなくなる。企業・資本の側への負担を要求することができなくなるのだ。
また、消費税率引き上げが困難となった時は、「4経費を削減せよ」となってしまう。例えば、近年重視される子育て支援を拡大しようとすれば、消費税収が限られているから「支援拡大分だけ高齢者関連施策を削れ」となってしまう。
このように目的税化は社会保障予算を抑制し削減する有力な手段となってしまうのだ。
財務真理教にだまされてはいけない。
2026/02/03 記
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14664:260204〕










