突然の非常事態宣言(戒厳令)から始まった 「少女時代」の驚き

 
            韓国通信NO761

 12月8日、シリアのアサド独裁政権が崩壊した。難民600万人、殺害された国民50万人ともいわれる独裁政権の実態が次々と明らかになりつつある。韓国の尹大統領が目指した非常事態とシリアが重なる。自分たちが選んだ大統領が突如として非常事態を宣言したことは韓国人たちには晴天の霹靂。驚愕したのは想像に余りある。大統領の指示のもとで国会、行政、野党、報道機関等すべてが軍の支配下に置かれる直前だった。国会議員と市民たちの力で直ちに宣言は撤回され、昨日14日に大統領の弾劾決議が可決された。

<市民は眠らない>
 国会に突入する軍隊を阻止するためのバリケード、銃を構える兵士に立ち向かう女性の姿が映し出され、宣言直後から国会周辺は多数の市民たちで埋め尽くされた。全国の主要都市でも大統領の弾劾を求める抗議集会が開かれた。抗議活動は連日のように続けられ、一度は不採択となった弾劾決議を採択させる力となった。ソウルの冬は1日の平均温度が零度と言われるほどの寒さだが、参加者たちの言葉から熱気が伝わってきた。それは30年も続いた軍事独裁を自力で乗り越えた民主政治への確信と自負から生まれた。
 南北分断と朝鮮戦争によって荒廃した国土。1965年の日韓条約ですべて解決済みとされた屈辱を乗り越え、経済発展は今や日本を凌ぐほどになった。1987年の民主化宣言、2017年のローソク革命をへて着実に民主化を進めた輝かしい歴史を持つ韓国。血迷った大統領の今回の宣言に立ち向かう姿は日本では考えられない。

<若者たちは歌った>
 集会参加者のなかに若者、特に女性たちが多く、キャンドルは7年前を彷彿とさせたが、彼らはまるで違う歌を歌っていた。NHKの「紅白歌合戦」に出場経験のある「少女時代」というグループの「Into The New World」という曲だという。これまでの集会の定番の曲とは全く違うK-POPが私にはとても新鮮に聞こえた。歌も参加者も進化しているのを発見。危機感を仲間とともに共有しながら、そこにいることの喜びが伝わってきた。歌詞の一部を紹介しよう。

 ♬この世の中で繰り返される悲しみに さようなら
 数多い 知りえない道の中 希望の光を 私は 追いかける♬

 ネットで見つけた興味深い写真と映像がある。集会の模様に続きSBSテレビとMBCテレビの「少女時代」2007年の映像が続く。
 時代がどんどん変わってゆくのを感じる。テレビニュースはK-POPが新たな闘争歌になったとやや興奮気味に伝えた。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/55c3944c9a549ddbcc3da6422ac43686a1cdc3

初出:「リベラル21」2024.12.18より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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