童子丸開氏「児玉龍彦教授、南相馬での記者会見とインタビュー 《児玉教授:あの沈黙・長考の意味は?》」

(以下は、童子丸開氏のサイト http://doujibar.ganriki.net/fukushima/kodama_interview.html よりの転載です。―ちきゅう座編集部)

これは2011年8月6日に南相馬市で行われた、児玉龍彦教授と桜井南相馬市長の共同記者会見の内容(概要)、およびその後に行われた岩上安身氏による児玉教授とのインタビューの文字起こし(私、童子丸開による)です。先日「国会は何をしておるか!」と議員の面々を叱りつけたことがきっかけで一躍有名になった児玉龍彦東京大学教授ですが、同大学アイソトープ総合センター長でもあり、この5月以来、南相馬市の除染作業の指導のために現地で市当局や地元住民と一緒に大きな力を尽くしている人です。

 私はこのインタビューを見た際に児玉教授の語った多くのことが奇妙に心に引っかかりました。それは今も引っかかり続けているのですが、インタビューを文字に起こしながらその正体を突き止めてみようと思ったわけです。その作業を通して、ひょっとして児玉教授はここで我々に極めて本質的で重大な事柄について問題提起しているのではないか、と感じました。それについては、文字起こしの後で「私からの考察」としてまとめております。

●まず、児玉教授と桜井市長の共同記者会見の内容(概要のみ)です。質問の最初は岩上安身氏です。
http://www.ustream.tv/recorded/16458576
児玉龍彦教授・桜井南相馬市長 共同記者会見

桜井:この8月に専門家である児玉先生と東京大学の協力で南相馬の除染を進めたい。7月になって汚染牛肉の問題が出たが、3月の発災当時はこの地からマスコミがいなくなり情報が届かなくなっていた。その中で農業関係での多くの汚染が起こった。今後は専門家のアドバイスを受けて除染に取り組む。

児玉:4月くらいに東大の中で体制が整い5月に南相馬に来た。子どものことが最も心配で、毎週末幼稚園・保育園で除染を進めてきた。我々の基本姿勢は住民主導。市と教育委員会と協力、市民の要請で除染をしている。除染には2通りある。
 まず緊急の除染。たとえば滑り台の下など子どもに被ばくの恐れがある場所を緊急に除染する。実際に測定して非常に線量の高い場所は専門家による作業が必要。その後に高圧洗浄を行う。緊急除染では内部被ばくへの注意が必要。ただ放射能汚染が環境の全てに広がっているため、緊急除染には限界がある。

 いま自分の作業は長期除染のプランニングに移っている。長期除染には住民の決定権が非常に重要。そのためには、地域全体の詳細な汚染マップの作成と、過去の公害を参考に除染技術(客土、化学的分離、植物利用など)の情報という2点が必須。
 この段階では近隣住民を守りながら進めなければならない。客土の場合に土壌改良事業としてどのようにやっていくか、土からセシウムを分離する場合にそのプラントをどう作るのかが問題。最後には汚染物の処理という問題が残る。
 最初の段階で緊急除染では客土(セシウムが付着した土にシートをかぶせて下の方に埋める)しかない。長期除染では、自治体の中で一時的に保管する場所を作っても、その間に国や東電に処分を要請しなければならない。

(質疑応答)
岩上:児玉先生はこの南相馬地域に限定して除染を行うのか、他の地域の除染にも関わるのか。
児玉:福島には福島医大などの大学がある。福島市エリアでは長崎大や広島大が強力に入っている。他のエリアでは東北大のアイソトープセンター、いわき市などでは筑波大のアイソトープセンターがやっている。南相馬の地区は大切だが援助が不十分だったので東大がそこに参加した。他の地域からも要請があり、できる限り応えたい。

岩上:地域によって関わる研究機関が異なるため、それぞれで違う測定結果や方法になるのではないか。
児玉:全国のアイソトープ総合センターは5月に会合を開いて議論している。ただ学問的な見方にはいろいろあり、日本では放射能除染の分野はフロンティア。その場合、できるところから入っていろんな方法でやり経験を出し合って学んでいくしかないと思う。
(質問者A)地域の作業と国の作業の関係について、また子どもの健康を守る問題についてどのように思うか。
桜井:汚染マップで、文科省の2kmメッシュでは市民の不安は除けない。10mメッシュでやることが必要。予算を考えていると何もできないので、積極的にやっていく。
児玉:同心円ではなく実測ベースの考え方が必要。線量の低い学校から使えるようなルールにし、あとのことは自治体や住民で線量ベースで決定できる方法に変えなければならない。政府が自治体に汚染させてしまったのにそのあとで箸の上げ下げまであれこれ口を出すのはおかしい。関係諸方面は子どもを守る観点でベストな選択をすべき。最終処分についてはここでは答えようがない。

(質問者B)期間と人数について。
桜井:市としては8月と9月で緊急除染を行いたい。予算も組んでいる。
児玉:東大側としては、今からの長期的な方法をチェックする役割に移っていきたい。
(質問者C)法整備について。
桜井:国のほうでの法整備は全く進んでいない。そこで我々は、いまの現場での対応を支援してもらい後で法的な整備を進めるということを、政府に要望している。
児玉:自分のほうは、いままで「放射性元素による障害の防止法(障防法)」を守ってきたが、今は全く異なる法律が必要になっている。いまほど立法府の見識が問われているときは無い。事故後何ヶ月も過ぎているのに、多量の放射線汚染物を処理する際に法律違反でないと扱えない異常な状態が放置されている。国会では議員立法ですら動議されていない。政府だけではなくマスコミも感覚がずれている。法律を乱立させるのではなく、上位の法律が必要。
(記者会見終わり)

●次に、児玉教授への岩上安身氏のインタビューです。
http://www.ustream.tv/recorded/16460493

 なお、このビデオではインタビューの後で岩上氏によるまとめが行われていますが、これは文字起こしには含まれません。
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※ インタビューの最初が欠けているため、冒頭は明確でない。また随所に聞き取りにくい箇所があり、文字起こし中に(…)となっている部分は内容不明である。
【まず除染の実証実験をやらないと】
岩上:(…)ことが可能なんですか?
児玉:たとえばNHKスペシャルで(…)やったときに、どこか(…)でヘリコプターを借りてフランスの機械を積んで…。今もここら辺ぜんぶ計ってるのは、アメリカ政府から借りたやつで、政府も文科省も飛んで線量マップ描いてますね。あれをなるべく精密に取れるようにしてホットスポットなんかをみんな見つけて。たとえば南相馬でやるんだったら南相馬の線量マップというのを、まあグーグル・マップじゃないですけど、空から見て大体できるようにということをやって、それを元にみんなで、どこから除染しましょうかとか…、やっぱり…、できるようになるのが一番最初じゃないだろうか。
岩上:なるほど。
児玉:それからもう一つ、除染の技術というのは大きく分けて3つあります。これはよくご理解いただきたいのですが、土壌の問題ですがね、客土というのと、それから化学処理…、プラントですね。
岩上:化学(ばけがく)処理…ですね。
:それからフィトリメディエイションといって…、植物なんかを使う、生物学的。この3つにそれぞれ良い点と悪い点、それから予算の違いがありますので。今回の福島原発からの放射性物質を除くのにどれがどの程度有効かということを、実証実験を早くやらないといけない。ただその中の3番目のフィトリメディエイションはすごく時間が…。実証にしてももう種まきの時期を過ぎちゃったら来年まで…。
 たださっきも申し上げたように畑でちょっと線量の高いところを見ていっても、いままでいろんな経験で分かってますから、それを…。やっぱりまず実証実験というのがすごく大事じゃないかと…。だから住民が判断するには、汚染がどの程度で対策がどういうものがあるかということがでるのが一番良いんじゃないか。
 それでもう一つはですね、市、行政の方に第3者のチェックの人が付いて…。それで、たぶんこういうのって業者がやるわけですね。だから業者が入るところに、市が契約するというのを、そのあれが順調にいってるというのをチェックできるような仕組みを最初から入れておくというのが良いんじゃないかと思ってます。

【除染費用800兆円!】
岩上:ちょっと時間が無いので、何点か絞ってご質問させてください。先日の国会でのご発言はたいへん大きな反響を呼び、また我々も本当に感動させられいろいろ考えさせられました。
児玉:ありがとうございます。
岩上:いくつも非常に重要な問いがあって、いくつかの重要なポイントに絞ってお聞きしたいと思いますけど、こういう除染、特に長期の除染をやらなければいけない。その長期の除染…、今日もお話の中にありましたけれど、イタイイタイ病の除染が一つの参考になるだろう、と…。
児玉:(…)を変える。本当に土壌をきれいにする…。
岩上:ですよね。8000億…、1500ヘクタールですか、これを、1000倍だったらどれくらいかかるかというと800兆ですよね。800兆円というのはおそらく、単純に福島県の面積を当てはめたらそれくらいになりますよねというお話ではないかなと思うんですけど…。
児玉:いや、全く根拠はなくて、イメージですから…。
岩上:イメージですよね。まあ800兆のお金がかかりかねないということなんですけど、長期の除染をいかにしてリーズナブルにして、しかし…、
児玉:だからさっき言った、早く実証実験で日本の(…)を集めて、本当に透明なデータをどんどん出していって…。やっぱり技術ってどんどん進みますから。いまのイタイイタイ病というのはいろんなコストを集めてこれくらいだと…。
岩上:なるほど。
児玉:本当の除染でだいたい1ヘクタール6000万円とかいう数値…、5000万円から6000万円なんですね、カドミウムの除去の場合には。だからそういうもので良いのかどうなのか…。それでちょっと問題なのは、今回は放射性物質ですから、化学メーカーは誰も放射線に強くないんですよ。
岩上:そうですねえ。
児玉:そして放射線メーカーは化学物質に強くない。そこを、どういうふうに枠組みを作るかということがすごく心配で、早く国がイニシアチブを取って研究、プラットフォーム…。国がやっているのはプラットフォーム作りだけで、それ以外じゃないような気がしてるんですね。
岩上:この、現実的な技術は…、こうした状況というのは可能なんでしょうか。我々素人が聞きたいのはそういうことに尽きるのですけど、そしてそれがリーズナブルにできるのでしょうか。
児玉:あの、何か…、私はすごく変に楽天的で…。
岩上:楽観的…、
児玉:新しい問題があると、よし、やってやろうじゃないかと考えるというので…。

【国土をきれいにするのはお金の問題ですか?】
岩上:そうすると国家の財政が破綻するなどということが無い程度の…。
児玉:いや、国家の財政なんて、もう破綻してるじゃないですか。
岩上:ありがとうございます。そうですけど…(笑い)
児玉:ですからそこの問題よりも…、もっと違う…お金…。たとえばいま財政と言われたけれど、お金って何だろうと思うと…。たとえば私、去年家内の肝臓移植しましたけど、お金がかかってもそんなの問題じゃなく、家内が生きてればそれだけでハッピーじゃないですか。
岩上:そうですね。
児玉:そしたら、我々が先祖から受け継いで子孫に伝えていく国土をきれいにするのは、お金の問題ですか、岩上さん…。
岩上:いや、とんでもないと思いますよ。いくらつぎ込んでもやるべきことだと思うんですけど、ただその、現実可能なところがどれくらいなのか、ということなんですけどね。
児玉:そこはやっぱりあらゆる知恵を尽くして…。
岩上:知恵ですよね。
児玉:でもねえ、たぶんだから途中で申し上げていたけど、国の予算の中でどれくらい使えるかというのを先に出してやって(…)変になっていくんでしょうね。というのは、個々のもので積算してじゃなくて、国民の意思として国民がやるというふうにしていくという…
岩上:なるほど…、
児玉:やり方しかダメなんじゃないかと…。法律が必要としているのは、国民に自分の国を愛してみんなで協力してきれいにしていく…。それでいまだに経団連やなんかもあれだけ言っているわけですよねえ。原発が無ければ経済が立ち行かないとか言ってる…。そしたらどれくらいの、原発被害者に熱意と情熱を持って、国土の汚染(除染?)に経団連も経済同友会もがんばってください、いくら出してくれますか?と…。
岩上:そういうことですよねえ。

【土壌・環境浄化を新しい産業に】
児玉:だからこの国難というか、国民みんなが知恵と力を出そうというとき…。逆に見てると、こういう問題が起こると、否定的ではなくある面すばらしい人が出てきて…、というようなことをやっていく。だから次の世代の人たちがすごく期待してます。どんなリーダーが現れてどんなすばらしい…。たとえばセシウムをキューッと取っちゃうような液ができたらすごく早くなっゃうかもしれない。科学界において…。
岩上:なるほど。
児玉:それで、科学というのは面白いもので、これがニーズだと言われると突然群がってきてワッと解決しちゃって…。液晶テレビなんてこんなに高かったのに、何かすごい安くなって、安すぎて日本じゃ(…)
岩上:そう、そうですね。(…)
児玉:一瞬になっちゃう。環境の、土壌汚染の除去なんて、やったらこれ、すごい話で…。カドミウムだって日本中、山と汚染してるし…
岩上:あ、そうですか。
児玉:世界で見たらいっぱい汚染してる。アメリカだってネバダや何かいっぱいセシウムとか撒き散らしているし、ロシアはチェルノブイリ…、ヨーロッパ中に行ってる。イギリスだっていまだに(…)セシウム出ちゃって買い上げている地域がありますよね。そういうところに日本のメーカーがみんな行ってきれいにしたらすごい輸出になるわけです。だからそういう何かあの…、
岩上:原発後始末産業みたいなものですね。
児玉:土壌・環境浄化の新しいのをやったら…。それだけじゃなくて、インドでむかし化学工業の会社が大爆発してたくさんの住民が亡くなった地域だとか…。世界中に汚染されてる地域ていっぱいあるから、…。
岩上:なるほど。
児玉:すばらしい産業に…。

【双葉町、大熊町をどうするのかが最初の問題】
岩上:あの、もう一点。いろいろな地域…、この東大の(…)は、この南相馬は弱いから…、ここの所は弱点が多いので我々はここを重点的にやると先ほど…、
児玉:一度考えたんですけどね、もうちょっと正直にいろんな経過を言いますと…、最初に原発事故を見たときに双葉町と大熊町の支援が必要じゃないかと考えたんですよ。
岩上:はあ。
児玉:ところがですねえ、見てたら…。ぜひだから、ジャーナリストの人にお願いしたいのは…、僕の心配はむしろ、双葉とか大熊の情報が無さ過ぎる…、
岩上:入れなくなっちゃってますけど…
児玉:いや、入れないっていうんではなく、住民の…。
岩上:あ、そのあと出た住民の方々ということですか?
児玉:はい。テレビで見ても…。
岩上:そうですね。
児玉:どうなっちゃってるんだろう…。たぶん非常に危ないところにきてるんじゃないかと思うんですよ。いまたとえば三宅島の全島避難の映画とか出てるけど、最初のある時期にものすごい危機的なのがくるじゃないですか。戻れないかもしれないという…。そういうような時期に…。
岩上:そうですねえ。倦んできて疲れてきて、もう、戻りたいけど…。
児玉:だから除染とか何かいうのも、ちっとも見えてこない。
岩上:見えてこないですよね。
児玉:そうすると、本当に双葉とか大熊を…。じゃ、無いんだったら本当に買い上げとか、永久賃貸じゃなく100年賃貸とか…。土地って僕はいつでも思うんですけど、一代じゃないんですよ。
岩上:そうですよね。
児玉:子どもたちも次の所有権者になるかもしれないし…。だからそういう意味での…対応というのを、もう先延ばし先延ばしじゃなくて、一番最初にやっていただきたいことは双葉、大熊の問題じゃないかと思うのですが…。

【「福島県内の温度差」に長い沈黙】
岩上:あの、すいません、記者会見のときに質問しかけたのはですね、地域が担当している…
児玉:いろんな協定が…
岩上:ありますねえ。アイソトープは、その、全国の会議があって…、5月にかんかんがくがくの…
児玉:(…)
岩上:(…)会議をやったとありました。そして、ちょっと特異なのは福島医科大学ですか。長崎大の山下さん、広島の先生方が来られてですね、わりとですね、極端に、放射能は安全だというか、100ミリシーベルト以下は安全だというようなことをですねえ講演しまくっていた。初期、最初の2ヶ月間くらい県内の人たちは情報が入らない状態の中で「ああ、じゃあ大丈夫なんだ」と(…)いってみれば信仰的になったところがあり、それが小佐古さんの辞任あたりからガラッと変わって「何だ、本当はこれは危ないものなんじゃないか」というふうな空気になった。
 そういう、言ってみれば「大丈夫だ、大丈夫だ」という、僕らに言わせれば『安全デマ』を言うような先生が一方でいらっしゃって、その先生方が中心になり住民の健康調査をやる…。まるでかつてのABCCのような調査のようにも見えるわけですねえ。実験材料という、データを集めるのが目的なのか…。
 そういう人たちが担当する福島市というような所とですねえ、先生方がおやりになるところでは、おのずと根本姿勢からして違うようにも思いますし、いろいろな結果に差が出るのではないか…。で、福島市の人の中で心ある人は、山下さん、もう信用していませんし、そうした方々からすれば児玉先生の考えややり方を持ち込んでくれないかと考えている方もいらっしゃるんですよ。
 この温度差、そもそも根本的・哲学的に考え方が全然違うですね…、放射性物質はそこそこまで許容してかまわないんだというようなことを言ってしまったりとかですね。情報…、これは我々がUstreamで出したことなんで事実ですけども、外国からの情報はみな耳をふさげ、情報統制が必要だと、こういうふうに山下さん、講演でおっしゃったりするんですね。
児玉:はい、はい。
岩上:いざ責任を取らなきゃいけないときには、我々はもういないから責任は取る必要が無いし取れないとおっしゃったんですよ。ちょっと正直言って、いかがなものかと思っているのですが、こうした福島県内の温度差を、どうやって埋めていったらよろしいでしょう。
児玉:(…30秒近い長考、宙を見上げ…時々うなずきながら…)…それはちょっと考えさせてください。
岩上:そうですか。
児玉:すいません…。
岩上:じゃあ、このう…。
児玉:いま、自分の中でいろんな、こう…、あれがあるんでしょうけど…、何かそういう…(…)の場合には、自分の中で成熟したときに…。
岩上:そうですね。もちろん政治的な性質を帯びた問題でもあることだろうと思いますし、…。
児玉:だから意見が無いわけでもないし、よくこういうことが分かっているわけでもないんで、やっぱりもうちょっと考えさせてください。
岩上:慎重に…。
児玉:はい。
岩上:でも、ご意見をぜひおうかがいしたいと思いますので、このことを私のほうも忘れずに覚えていて、ぜひ機会をみてお話をうかがえたらと思います。

【神学論争ではなく具体的なことのために】
児玉:…僕の出したいメッセージというのは、基本的に、みんながそれぞれ持っている能力を…、昨日もUstreamで言ってたんですが、良い面が生きるように…したいということを、いま中心に…、あれですが…。国会に行っても怒ってても、国会議員が何とかというので終わりにしたくないんですよ。だから、国会の良い人たちががんばってやってください、ということを言いたいと…。だからいろんな他の研究者がいろんな意見を持ってやっていることに対しても、本当に住民のためになるようにがんばっていただきたいと…。
岩上:まあ、それはそうなんです。おっしゃることはとってもよく分かるんですけど、でも、絶対に避けて通れない知的な議論というものではないかなと思うんですよ。ですから、本当に20ミリシーベルトで良いのか、さらに、100ミリシーベルト以下で構わないんだ、そこに住んで気にしないでいいんだと…、それは…、
児玉:あの…、ちょっと、もう一つみんなにご理解いただきたいのは、教会の神学論争みたいに、いっしょうけんめい国会の審議に(…)いく、それに時間を使ってるんですよね。だけど、一つの数値に還元してやっていくと、すごい変な議論になって、たとえば肝移植のときにCTスキャン取りますよね。そうすると、3回取ると21ミリシーベルト…やってんだけど、ぜんぜん気にしてないんですよ。
岩上:うん、うん。そうですよね。状況によってはぜんぜん違いますよね。
児玉:だから、もっと具体的にこういうものがあって、こういう健康被害の問題があって…ということの対応とか、ここが高いから減らそうよとか、そういうことをやったほうが良いんじゃないですか? 今のなんか、ぜひお願いしたいと…(…)。そこの議論、非常にもう…。たとえば高い線量の学校を、福島でも除染しようとしてるんじゃないですか。それをいかに安全にみんなでやっていくか…。
岩上:そうですね。もちろんそういうポジティブな議論が必要ですね。
児玉:ええ。そっちでやっていって、そこの(…)のためにみんなで知恵を絞ってやっていくという…。絶えず、全て…。そこでの意見の違いがあったら、こっちのほうがどうこうとか、みんなまとまりやすいんじゃないかな。…。前向きの目標のところで…、
岩上:なるほど。
児玉:やっぱり、みんなの生活とか健康を守るということを絶えず考えて、そこにみんなの力が…。ある意味で言うと、非常に難しいときだから、いろんな意見の人がいる、いろんな行きがかりを持っている人がいる…。だけど、ある意味で言ったら、経団連の会長もこれをやってくださいよという議論が、いま必要なところなんじゃないかと思ってるんですよ。

【法律論を通して国民の声を集約したい】
岩上:そう思うと、いま一番やらなければいけないことが何かというと、おそらく、先生が今日もおっしゃられていた障害防止法ではだめだと、その上にある上位法といいますか…、研究者や、あるいはその…、
児玉:だからこの、双葉・大熊の人も含めたような…。あれですよねえ。最初の原発事故の(…)、管理区域に出ちゃった…、一番出ちゃったのは双葉・大熊・浪江(…)ですよ。
岩上:そうですねえ。
児玉:これをちょっと急いで…。そこの人たちを助ける法律というのが無いんですよ、いま…。
岩上:それは国会に、1週間でも良いから早くやってくれとおっしゃっていた…。
児玉:本当にもう膨大なものが出ちゃって、それに対してこう…測定…。だって、双葉・大熊だって、きちんとした測定の、とか何とか、出てるんですか? 見通しとか…(…)聞いてないんですよ。
岩上:だってそこから…、
児玉:…住民一人ずつに伝えられているか、とか…、
岩上:いや、公開されてない…、十分な公開は無いと思います。
児玉:だからそういうのも含めて、何か…まず今回の大量に…。だから最初に総量の問題だと国会でも繰り返しましたよね。だからすごいのが出ちゃったから、それに対応するために、まずだからいま居住できなくなっている区域をどれくらい支援するのか、それから居住したりできなかったり混じっているところにどう対応するのか、それから居住しているところにどう対応するのかというのが、柱の3つですよね。
岩上:階層化、分けるということですね。
児玉:それぞれにきめ細かくやっていく…。そして測定。ある意味でいったら、測定と除染といったら後半のほうだけであって、前半のほうは触れてないわけですよ、今日。だからそれを含めた総合的な法律をすごく急いでほしいという…。(時計を目にして)よろしいですか?
岩上:一言だけ。その法律というのは、先生がお考えになるに、それは何を、どういうことを決める法律であれば良いんですか?
児玉:ええ、結局、法律論を通じて国民の声を集約したいということですよ。いまの福島原発の問題に国民がどういう未来へのメッセージを残すのか、という、そういう意味で言っている…。だから法律の格好が良いか何の格好が良いか分からない…。
岩上:関心の有りそうは真剣に取り組んでいる議院にさっそく連絡を取って、話をうかがってみたいと思います。
児玉:(立ち上がって次の会見に向かう)
岩上:すいません、先生。ありがとうございました。また、機会がありましたらぜひよろしくお願いします。
(19分50秒)

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《私からの考察》

 児玉龍彦教授については、次の「ざまあみやがれい」様の記事(ビデオまとめ)をご参照ください。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65756332.html
【必見】児玉龍彦「原子力学会や政策の失敗は、専門家が国民に本当のことを言う前に政治家になっちゃった」ニュースにだまされるな
 国会での発言については次をご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65754131.html
玉龍彦参考人の、国の内部被ばく対応への批判が凄すぎる上に、提言まですごい(全内容書き起こし)
 どちらの資料の中でも、児玉教授は、チェルノブイリでの放射性セシウム内部被ばくによる膀胱の障害と癌に関する福島正二(国立バイオアッセー研究センター)の研究を極めて高く評価していると同時に、この種の疫学的な研究の困難さを語っています。

●長い沈黙の意味は?
 さて、インタビューの後にある岩上氏からのまとめでも触れられていることですが、福島市地域で住民の健康管理が山下俊一氏ら長崎大学や広島大学の関係者の手によって行われていることについて児玉教授に質問した際に、教授は異常ともいえるほどの長い沈黙を続けました。しかし、ビデオで明らかなのですが、決して不機嫌な顔ではなく、遠くを見つめながら何か深い感慨に浸っているかのようにも見えます。この沈黙と長考はいったい何なのでしょうか?

 児玉教授は内部被ばくに関する福島正二博士の研究に高い評価を与えているのですが、同時にまた同教授についての資料を探してみると、長瀧重信、重松逸造、山下俊一といった、あのクリス・バズビー博士なら間違いなく「犯罪者の一群」と断ずるであろう者たちによる甲状腺癌の研究をも、十分な尊敬をこめて評価していることが分かります。上の「ニュースにだまされるな」のビデオでもこれに触れています。また、児玉教授自身による次の論文でも重松逸造氏の研究から多くの学びと示唆を受けていることが書かれています。
http://plusi.info/wp-content/uploads/2011/08/Vol.28.pdf
チェルノブイリ事故から甲状腺癌の発症を学ぶ

 重松・長瀧・山下のライン(長崎大、広島大の主流)は明らかに米国進駐軍によって作られたABCCを受け継ぐものと思われます。これについても次の「ざまあみやがれい」様の記事をご参照ください。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65713304.html
長瀧重信氏の肩書「放射線影響研究所」は、原爆被ばく調査を原発に生かした組織だ

 山下俊一氏らが福島原発事故開始後に行った数々の非道についてはいまさらここで言うまでもないことでしょう。日本の「原子力平和利用」の歴史と正体を知る者にとって、こういった学者たちはまことに許しがたい連中だと思うのですが、児玉教授の受け取り方はやや異なっているようです。教授が長い沈黙の後で搾り出すように語った言葉、「自分の中で成熟したときに…」「意見が無いわけでもないし、よくこういうことが分かっているわけでもないんで、やっぱりもうちょっと考えさせてください」の中には何が含まれているのでしょうか。

 もちろん、児玉氏が現役の東大教授であり、放射線や原発についてうかつな発言のできない立場にあることははっきりしています。児玉教授が、他の大勢の学者たちと同様、原発(核の「平和」利用)に対して批判的であった様子はありませんし、おそらく実際に「原発反対」など今までに考えてこなかったのではないかと思います。また仮に腹の中でそう思っていたとしても、それはとうてい言い出せなかったでしょう。また、私なら「3悪人」とでも呼びたくなる重松・長瀧・山下各氏に対する態度にしても、私は学者ではないのでよく分からないのですが、きっと、学問的な研究することの苦労を知っている者同士として、また放射線医学の分野の大先輩でもあり、その評価できる研究成果に対して十分な敬意を込めて取り扱うという、根っから真摯な学者としての姿勢が現れているのかもしれません。

 あるいはひょっとすると、「福島県内にある温度差」について何かここで発言することが、様々な見解と目的を持って福島県各地に入ってきている研究機関や学者たち同士の軋轢の原因となり、それが実際の除染作業にとっての障害となることを懸念しているのかもしれません。さらには、極めて不明瞭な経過で福島医大の副学長という重要な立場で福島県入りした山下氏に対して何らかの批判と受け取られる発言を行うことが、逆に児玉教授らのチームが南相馬で進めたい測定と除染の作業に対して、何らかの圧力と妨害を招く危険性を感じているの可能性もあるでしょう。これは単に私の想像ですが。

●「神学論争」?
 いまのことに関連してもう一つ。児玉教授が山下氏を巡る「20ミリシーベルト」「100ミリシーベルト」などについての論争を、一つの数値に還元した「変な議論」、あるいは「神学論争」と表現したことについて、インタビュー後に岩上氏も戸惑いを隠すことができませんでした。もちろん児玉教授があれほどの騒動になった「学校20ミリシーベルト」問題を知らないはずはありませんし、事故直後に福島県で山下氏らが行った言動についての知識もあるはずです。このような言い方についてどう感じるのかは人それぞれ異なるのでしょうが、児玉教授がそういったことを知ってなおかつどうして「神学論争」という表現まで使ったのでしょうか。

 分かりません。しかしその後の発言から想像すると、現在最も急がれることは除染(およびその前提となる精密な測定)であり、今はまず、「みんなの生活とか健康を守るということを絶えず考えて」あらゆる知恵と力をそれに集中してほしいということなのでしょう。児玉教授の言葉を借りて言えば、このようなまさに国難といえる困難さの中で、「いろんな意見の人がいる、いろんな行きがかりを持っている人がいる」現実をすべて受け入れたうえで、たとえあの原子力産業防衛以外に思考を向けない経団連の会長に対してさえ、除染のために「これをやってくださいよ」と言う、そのための議論こそが、今現在最も必要不可欠なのだ、ということになります。また疫学上の論争は現在のところ早急な結論の出せるようなものではなく、果てしない議論に費やすような時間とエネルギーがあるのなら、火急とされる除染と生活の建て直しという重大問題にこそつぎ込んでほしいという願いがあるように思われます。

 しかしそれは、「火急の課題」を理由に単に議論を棚上げし、結果として、数百万人(数千万人)もの被ばくによる死者を出し続けてきた犯罪の一端を担う者たちの責任を、うやむやにするだけに終わらないのでしょうか。そうなるのかもしれません。というよりもそれ以上に、山下氏やその周辺と背後にいる人々が、その「火急の課題」を別方向にそらし、誤魔化しと詭弁を駆使して無効なものに変質させる危険すら感じます。実際に、原爆投下後に長期間の低線量被ばく・内部被ばくの人体への影響を「無い」ものとしたABCCの延長線上で重松・長瀧・山下ラインがやってきたことは、IAEAの核戦略に沿ってチェルノブイリ事故での内部被爆者を無制限に増やし続けることでした。私なんぞ、彼らはきっと福島でも同じことをもっと徹底的に繰り返すのだろうという不信と警戒心以外に、彼らから感じられるものは無いのですが、児玉教授にとってはちょっと事情が違うようです。

 児玉教授の思考には人間というものに対する徹底した信頼が貫いているように思えます。科学者は人間であり、科学は決して人間の具体的な実践から離れて神のように存在するものではありません。除染=人々の生活と健康を守る具体的な実践という一つの共通した現実に取り組むことを通して、そしてその中で具体的に起こってくる具体的な問題の解決を一致して図ることによって、科学というもの自体もその形を変えていき、対立していた人間同士も必ず何かしら新しい協調の段階に進んでいけるものだという、徹底したヒューマニズムが教授を支えているのでしょう。それは確かに一つの数値や概念を振りかざす論争、神学論争とは無縁の世界です。

 その意味で児玉教授は、何度も人間社会に対する絶望の淵を潜らざるを得なかった小出裕章京大助教とは対極の位置にいるのかもしれません。どちらの視点が正しいのか私には判断が付きません。たぶんどちらも正しいのでしょう。

●「お金って何だろう?」:価値と経済
 このインタビューの中でもう一つ私がハッとさせられたことがあります。除染費用「800兆円」…これは児玉教授の言うように単なるシンボリックな数字なのでしょうが、しかし除染に日本の国家予算の何倍もの費用がかかることは明らかです。誰でもこんなことは実現不可能だと思うでしょう。そこで次のような対話があります。
岩上氏「それがリーズナブルにできるのでしょうか」
児玉教授「私はすごく変に楽天的で…」
岩上氏「そうすると国家の財政が破綻ことが無い程度の…」
児玉教授「国家の財政なんてもう破綻してるじゃないですか」

 岩上氏も思わずズッコケそうになったでしょう。イッポンやられた!だがそれでは除染の実現など最初から不可能ということなのか? しかし、児玉教授が言いたいのは、除染作業を国家予算と比較すること自体が何の意味も持たない、ということです。

 このあと教授は、「お金って何だろうと思うと…」そして「我々が先祖から受け継いで子孫に伝えていく国土をきれいにするのは、お金の問題ですか?」と続けます。そしてそれが決して「無いお金をつぎ込んででも」などという意味でないのは明らかです。日本の資本主義の勃興期の江戸時代からある言葉で「カネは天下のまわりもの」というのがあります。つぎ込まれたお金は、少々複雑な経路を通してでしょうが、いずれまた元の場所に戻ってくる。つまり「800兆円」というのは、ある金額のお金がぐるぐると周回する間に、その流れにある「被ばく地」という断面を通り抜ける量の総計であればよいわけです。もちろん一度に巡る金額が大きければ、そしてその回転が速ければ、その総計も大きくなるでしょう。

 私は経済学には全くの素人で、「ストックオプション」とか「デリバティッブ」なんて言われても「はぁ?」と頭を抱えるほどの経済音痴なのですが、いま述べたようなことに大きな間違いは無いと思っています。「お金」というのは要するに、物事や人間活動が持つ人間にとっての価値を量で現したものなのでしょうが、ではその価値とは何でしょうか。衣食住の基本生活に関するものについてならその価値の質が大きく変化することは無いでしょう。しかしその他の人間活動についてはどうでしょうか。サッカー選手が自分のプレーで高額の給料をもらうのは、サッカーの試合で勝つことに価値があると認められている社会があるからです。ロック歌手が100万枚のCDを売って金持ちになるのは社会がその歌に価値を認めているからです。では、「国土をきれいにする」ことはメッシーのゴールいくつ分の価値を持つのでしょうか。小さな南相馬だけでもその何億、何兆倍でしょう。なぜならそこは遠い先祖から受け継ぎ、日本がある限りはるかな子孫にまで受け継がれるべきものだからです。日本人にとって日本の国土はすべてそうです。

 原発だけではなく、もうそろそろ社会の中で価値を失っていくべきものがたくさんあるはずです。そんなものを整理整頓して、国土をきれいにすることが何よりも大きな価値を持つ、そのようなコンセンサスを作ればよいわけです。メッシーの2本の足だけで毎年何十億円ものお金がぐるぐると回って、バルサの役員からバルサ・グッズを売る店の店員にいたるまで膨大な数の人間を潤すわけですから、被ばくした日本の国土を浄化する作業なら、その価値の量を現す「天下のまわりもの」はきっと日本人全員を潤すのに十分な量になるのじゃないかな? 私の話、単純すぎますか? きっと今の資本主義の問題点は、非常に大雑把な言い方ですが、要するにカネが「天下のまわりもの」になっていない点なのでしょう。

 児玉教授はこの「浄化」を新しい輸出産業にできるのではないかと語ります。インタビューをお聞きになった人の中には、ひょっとすると「何だ、それじゃあ、アレバとかキュリオンなんかと変わらないじゃないか」と思う人もいるかもしれません。岩上氏もやはり「原発後始末産業みたいなもの」と言ってしまいます。アレバ社のねらいはもろにそうであり、福島事故が起こって息せき切ってフランスのサルコジ大統領が来日した目的の少なくとも一つがこの「原発後始末産業」の売り込みだったはずです。でも児玉教授は即座にそれを「土壌・環境浄化の新しいのをやったら…」と言い換えます。もちろん教授のイメージの中にあるのは、アレバのような、カネを「天下のまわりもの」にさせない新自由主義の権化ではありません。

 日本国内でもこの種の勢力の進出をチェックして食い止める働きが必要になるでしょう。インタビューの中でも児玉教授はこう語っています。「たぶんこういうのって業者がやるわけですね。だから業者が入るところに、市が契約するというのを、順調にいってるというのを(第三者が)チェックできるような仕組みを最初から入れておくというのが良いんじゃないかと思ってます。」

 教授は人の不幸を食いものにする者たちがどこにでもいることを知っているのですね。大小の規模の違いはあっても、こういった連中がカネを「天下のまわりもの」にさせないわけです。また、インタビュー後に岩上氏は、すでにどこかの業者と思われる連中が除染作業を行っているボランティアを重機などを使って妨害し追い出しにかかっているという話を紹介しています。児玉教授の言う「地域住民が主導する除染作業」を実現させるためにも、業者の参入には必ず第三者の立会いと交渉内容を全て公開して住民に知らせる仕組みづくりが必須となるでしょう。

●肥田舜太郎医師に貼られる「トンデモ」レッテル
  最後に、話がちょっとこのインタビューから離れますが、先日、牧村しのぶさんのブログを見ていてハッとしたことがありました。ビデオリンク以外の部分を転送して貼り付けておきます。
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   http://d.hatena.ne.jp/pinsuke/20110805/1312552545
   トンデモ?被爆医師
以前肥田氏の動画を紹介したらあっという間に視聴が増え記事のブックマークも増えましたと思ったら瞬く間に減りました
トンデモ!!!
というレッテルが貼られたからです
危険だと言われれば危険だと思い、トンデモと言われればトンデモと思う
そういう人はどうでもいいです
本を紹介しても読まない、読まずにトンデモ、と言ってる方が頭よさそうに見える(?)から
楽でいいですよね
どうぞ勝手にして下さい
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 やれやれ、日本人の意識なんて、まだこんなレベルなんですよね。肥田舜太郎さんだけではなく、そのうち小出裕章さんとか田中三彦さんなんかも「トンデモ」扱いに、クリス・バズビー博士にいたっては「インボーロンジャ」にされてしまうんじゃないのかな? 米国でもアーニー・ガンダーソン氏などずっと以前から「トンデモ」にされているようです。NRC(米国放射線規制委員会)にとって耳の痛いことばかりを指摘しているからです。

 まあ、他人に「トンデモ」とか「インボーロンジャ」とかのレッテルを貼って攻撃することでやっと自分の存在を確保する類の連中はどこにでもいますので止めることはできないのですが、牧村さんがおっしゃるように、貼られてあるレッテルを見てしか物事を判断しない人々の多さにはうんざりします。レッテルには、ものごとや人を悪く見せる悪魔化レッテルと同様に、過剰に良いふうに見せるレッテルもあるのですが、この種の人たちはどちらのレッテルにも機械的に反応するようです。きっと、みのもんた氏の「奥さん、これいいですよ」の一言で財布をつかんで店に走る暇な主婦と同じレベルじゃないのかな。

 私は児玉教授に対して、良いふうにも悪いふうにもレッテルを貼らないように注意してこれを書いてきました。教授の言う「神学論争」は観念の固定化とレッテル貼りからスタートし、永久にそのまままっすぐに続きます。児玉教授同様に私も神学論争は嫌いです。常に現実の動的な状態でのみ物事を判断し続けたいと願う教授の姿勢には、十分な敬意を払いたいと思います。
(2011年8月10日、バルセロナにて、童子丸開)

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1543:110811〕