いつもお世話になっております。
2月11日に予定している第55回「憲法を考える映画の会」のご案内をさしあげます。
今回は、昨年12月銃撃され亡くなった中村哲さんたちペシャワール会の仕事を描いた
『アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和』を一緒に見て、
日本国憲法の実現について考えたいとます。
困った子どもが泣いていたら『どうしたの?』と聞くでしょう。
どんな思いも、どんな熱意も、どんな覚悟も、地に足の着いた技術に支えられなければ、
農業を──暮らしと命を支えることはできない。
もう一度、中村さんの言葉を聞き、その活動を見ていくことから
中村さんが実現しようとしたことを考え、
自分たちはどんなことをやっていくことができるか考えましょう。
自分たちが上映できる自分たちの映画、という意味でも拡げていきたい映画です。
ぜひお誘い合わせの上いらっしゃってください。
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第55回 憲法を考える映画の会
と き:2020年2月11日(火・休)13時30分〜16時
ところ:文京区民センター 3A会議室(地下鉄・春日駅2分/後楽園駅5分)
プログラム
13時30分〜14時50分
映画「アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和」(上映時間65分)
本 編 緑の大地計画の記録
技術編 PMSの灌漑方式
15時00分〜16時00分 トークシェア
参加費:一般1000円 学生・若者500円
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映画『アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和』
アフガニスタンは、本来は豊かな国であった。2000年に大干ばつが起こるまでは、穀物自給率93パーセント、国の8割は農民であった。
1979年末の旧ソビエト軍の侵攻によるアフガン戦争、2001年の9.11テロ事件への欧米軍による報復戦争。
戦乱と干ばつの続く中で、中村医師とアフガン人スタッフは、「緑の大地計画」を企図して1,600本の井戸を掘り、更に独自の灌漑方式で長大な農業用水路を建設。
砂漠化し荒廃した土地16,000ha以上を緑に甦らせたプロジェクトを、さらにアフガニスタン全土に拡大できるよう、日々奮闘し続けている。
(ペシャワール会 ホームページより)
【スタッフ】
朗読 吉永小百合
ナレーション 濱中博久
取材:柿木喜久夫 大月啓介 アミン・ウラー・ベイグ
編集:櫻木まゆみ
構成・制作:上田未生
撮影・監督:谷津賢二
企画:ペシャワール会
製作:日本電波ニュース社
2016年制作/日本映画/65分
【映画『アフガニスタン 用水路が運ぶ恵みと平和』をプログラムに選んだわけ】
この映画は、昨年12月に銃撃されて亡くなった中村哲さんたちの仕事を描いたドキュメンタリーです。
同じスタッフによって撮影された映像をもとにつくられたNHKの番組が中村哲さん自身を中心に描いているのに比べて、中村さんたちの「仕事」への考え方を描いているような気がします。
この作品の企画自体が、活動の母体のペシャワール会ですので、中村さん自身が伝えたいと思ったことが映像に色濃く出ているように思います。とくに「技術編 PMSの灌漑方式」は「どのようにしたら、荒れ果てた砂漠に水を引くことができるか」を描く土木技術映画のようでもあります。
たとえば、中村さんたちの作った用水路の建設技術の最大のポイントは、取水口にどうやって水を導くのかにありました。
そこでは、重機もなかった江戸時代に人々が工夫を重ね、作り上げた福岡県の筑後川の山田堰の技術が使われてました。護岸には現地調達できる「蛇籠」も使われています。
こうした民衆の、民衆のための、民衆による技術、それが古来の日本からアフガニスタンに伝えられ、役に立ったところに中村さんの誇らしい想いが感じられます。
中村さんはまた、この用水路が土地の民衆によって作られることを最も重要と考えました。そうすることによって、用水路はメンテナンスされ、守られ、他の土地にも拡げることができる技術として根付いていくことができます。自分がいなくなっってしまったら、終わりになってしまうものでなく、人々が力を合わせて続けていけば、その力が持続し、さらに拡げられる、アフガニスタンだけでなく、世界中の困っている人たちが水を得てその恵みと平和を得ることのできる技術を、と考えていたのでしょう。
ですからこの「技術編」の映像は、将来、用水路を作り続ける人たちへ贈る「教科書」のような意味を込めて作られたのではないかと想像します。
中村哲さんの仕事を日本国憲法を実現するものと讃える人がいます。中村さんがご自身でも、「アフガニスタンで考える 国際貢献と憲法9条」という本を書かれています。中村さんの仕事は、憲法第9条の精神を、あるいは憲法の前文で誓っていることを、実現していると言えるのではないでしょうか。
「…日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらとわれらの安全を保持しようと決意した。われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、等しく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」
中村さんの行動から、日本国憲法が、日本の平和だけでなく世界の人々の平和に向けて積極的な意思を表すものであることが読み取れます。
この映画を通して、中村さんのやり遂げたこと、そしてやろうとしたことを、もう一度考えて行きたいと思います。