書評:古賀茂明著『官僚の責任』(PHP新書)
古賀茂明氏の「官僚の責任」(PHP新書/720円)には、ムダな規制、ムダな予算、税金のムダ遣い団体の”霞が関”は人材の墓場であり、日本のガンであることが詳説されています。退職を迫られている改革派の経済産業省大臣官房付の同氏(56)の去就が注目されています。
退職の意向を表明していたようですが、どうやら辞職表明を撤回する意思を固めたとも伝えられています。さて、枝野幸男経産相はこの経産省に楯突く、優秀な官僚の処遇をどうするのか?頭の痛いところです。脱官僚を目指し、政治主導をマニフェストに掲げ、選挙に勝った民主党政権の手腕が問われるところと言いたいのですが、増税論者の野田佳彦総理は経産省の言いなり、また枝野経産相は野田総理のポチになりつつありますから、多くは期待はできないようです。世界の政治経済をリードする英エコノミスト誌(The Economist)は、古賀氏が辞職の意向を表明した直前の14日、→ Japan’s shame: The good bureaucrat「日本の恥:立派な官僚」と題する記事を掲載しました。
同誌は記事の中で→It will be a true pity if Japan loses one of the few men who could actually improve the country considerably. It will be a shame; a self-inflicted wound.「万一、日本が国家にとって実際に国を大幅に改善できる能力を備えた極めて数が少ない人物の1人を失うようなことになれば、全くもって残念なことだ。これは恥ずべきことであり、正に国家にとって自損行為による傷そのものだ」と批判しました。さらにIf Mr. Edano has any sense—and courage—he will promote Mr. Koga to vice-minister…「枝野氏に良識と度胸があるのなら、彼は古賀氏を経産省の次官に昇進すべきだ…」と述べ、
→The country’s haplessness is precisely because people like Mr. Koga, who strive for what is right despite the personal consequences, are banished rather than elevated.「この国の不運は正に古賀氏のように自分のことよりもむしろ、正しいもののために戦う人々が昇格されるどころか、消されてしまうことなのだ」と結んでいます。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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