経産省前テントひろばニュース294号

大間〜寿都〜泊 北海道と青森での原発を巡る旅行記 若木 京子 記

720日早朝、大間原発現地集会に参加するため函館に向かいました。私たちは東京で「函館市・大間原発建設差止裁判」の報告会を開いてきました。今回は、函館で「大間原発訴訟の会」の竹田さんに切符手配をお願いして、フェリーで大間を往復しました。

大間原発

大間には片道約90分で11時に到着。帰りのフェリーは出発時間が早まったようで、13時40分にはもう函館に帰る時間です。現地集会の会場には実質2時間ほど滞在し、経済産業省前の座り込みで下げている女の子のバナーを木に結んで、チラシを配ったりしているとあっという間でした。

しかし、広々とした空と海を背景に大間原発を見下ろす丘の上での集会は、暑い都会と違ってこの時期でも爽やかで、力強いスピーチが続きました。参加者は250名でした。いつも集会の時に伺う「アサコハウス」 へは時間がなく、今回は立ち寄れませんでしたが、熊谷厚子さんがフェリー乗り場まで会いに来てくれました。

寿都町のごみ処分場

その夜、寿都町に宿泊しました。オーナーの槌谷さんは「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」に参加しています。毎月みんなで作っている最近の広報誌をもらいました。次の日、核のゴミ処分場に手をあげて文献調査が済んだ寿都の町をまわり、NUMOの事務所に寄って話を聞きました。文献調査の報告書を経済産業省に提出したが、決まったわけではないということが強調されました。

後で広報誌を読むと、そこには高レベル放射性廃棄物処分地についての文献調査報告に関して町民と対話を進めるため、原子力発電環境整備機構(NUMO)からインタビューを受けた際、彼らは町民への質問事項のコピーやその撮影を許さず、結果としてどのような報告がなされるかわからないといった記事や、高校生の寄宿舎活用を目的としたセンターがいつのまにかNUMOの職員住宅になっているなど、とても町民との対話ができたとは言えないNUMOの様子が書かれています。狭い地域での活動は大変だろうなと思います。それでも8月の↗11日には、ドイツで脱原発・自然エネルギーの普及に努め、核ゴミ最終処分地選定の国家諮問委員会で委員をされているミランダさんの講演会も企画され、活動は活発だと思いました。

泊原発とその周辺

その後、神恵内の町長選に出た瀬尾さんに岩内町・神恵内村・泊原発を案内してもらいました。神恵内に隣接する泊町は原発交付金をもらい、北海道で最も財政の豊かな町で、一年中凍っているスケートリンクがあるのは札幌と泊町だけだそうです。同じように泊町に隣接する岩内町では交付金を元にフェリー運営を始めたが失敗したこと、そして町の財政はその借金を返すために、現・北海道知事が市長を務めていた夕張市の次に厳しいということでした。原発現地では、人々は必ずしも潤っていないのです。PRセンターの「とまりん館」は休みでしたが、泊原発の周辺で撮影しようとしたら止められました。

最 終 日

次の日は、稚内の近くで温泉と酪農の町、豊富町に行きました。そこで、「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」の久世さんから話を聞きました。町のあちこちに「核廃棄物反対」というチラシが貼ってあります。近くの幌延町では突然核の最終処分地の候補になり反対運動で撤回させたにも関わらずまだ研究施設が残っていて、最終処分地になるのではないかと警戒されています。

久世さんは美味しい牛乳を求めて兵庫から家族で豊富に移住し、初めはテントで寝泊まりし、古い家屋を解体して家や牛舎を作り、今は家族で牧場・チーズとジェラートの工房・レティエを運営しています。また福島やチェルノブイリの子供達の保養もした『子どもたちに自給する力を~自給のむらづくり』の活動はユニークです。ロゴハウスの小さい店で食べた作りたての3色のジェラートは、旅の素晴らしい締めくくりでした。

旅はややスケジュールがきつく、みんな風邪をひきました。しかし、ずっと運転してもらったIさんのおかげでスムーズに移動ができ沢山のことを見たり聞いたりできて、素晴らしい北海道を知ることができました。ありがとうございました。

.11・経産省前テントひろば創設13周年記念集会

日時: 911(水)14時~16

場所:経済産業省前歩道

プログラム:①音楽 ②曜日毎の座り込み者 ③弁護団 ④ゲスト ⑤福島からのメッセージ、海外からのメッセージ

3冊の書籍 紹介

・山本 義隆 著 「核燃料サイクルという迷宮-核ナショナリズムがもたらしたもの」 (みすず書房) 目 次

いくつかの箴言──序文にかえて

序章 本書の概略と問題の提起

0.1 核発電の根本問題/0.2 核のゴミとその後処理/0.3 高速増殖炉について/0.4 核燃料サイクルの現状/0.5 核ナショナリズム

1章 近代日本の科学技術と軍事

1.1 日本ナショナリズムの誕生/1.2 資源小国という強迫観念/1.3 国家総動員とファシズム/1.4 革新官僚と戦時統制経済/1.5 戦時下での電力国家管理

2章 戦後日本の原子力開発

2.1 核技術とナショナリズム/2.2 日本核開発の体制と目標/2.3 原子力ムラと原発ファシズム/2.4 岸信介の潜在的核武装論/2.5 中国の核実験をめぐって/2.6 核不拡散条約をめぐって

3章 停滞期そして事故の後

3.1 高度成長後の原発産業/3.2 原発推進サイドの巻き返し/3.3 核発電と国家安全保障/3.4 原発輸出をめぐる問題/3.5 原発輸出がもたらすもの/3.6 世界の趨勢と岸田政権

4章 核燃料サイクルをめぐって

4.1 再処理にまつわる問題/4.2 再処理のもつ政治的意味/4.3 高速増殖炉をめぐる神話/4.4 核燃料サイクルという虚構/終章 核のゴミ、そして日本の核武装

あとがきにかえて

樋口 英明 著 原発を止めた裁判官による 保守のための原発入門」 (岩波書店2024.8.6 目 次

1章 原発の実態

1 もし、珠洲に原発があったら 2 報道されない原発のトラブル 3 福島第一原子力発電所

2章 原発の本質

1 原発の仕組み 2 東日本は壊滅しかけた 3 原発の本質 4 原発の耐震性

3章 原発と司法

1 損害賠償請求訴訟 2 原発の運転差止訴訟 3 福島原発事故の刑事裁判

4章 保守と原発

1 政治的立場 2 保守政権の原発政策と原発回帰 3 原発は本当にコストが安いのか? 4 原発は国防問題である 5 保守政治 6 ジャーナリズム

終 章

 キング牧師の言葉  狂人が盲人の案内をする

・雑誌「季節2024夏・秋」 創刊10周年特別号

*どうすれば日本は原発をとめられるのか 目次より

小出裕章原子力からこの国が撤退できない理由

樋口英明なぜ日本は原発をやめなければならないのか

井戸研一事実を知り、それを人びとに伝える

山崎久隆核武装に執着する者たち

後藤政志課題は放置されたまま

森松明希子「原発被害」の本質を共有する

北野 進インタビュー

鎌田慧x柳田真 対談 東京圏の反原発これまでとこれから

今中哲司核融合発電」 蜃気楼に足が生え

-未来の子どもたちに、きれいな海を手渡したい-

ALPS処理汚染水を差し止めるための

クラウドファンディング

2011年の福島第一原発事故では、溶け落ちた核燃料に地下水や冷却水が触れ、大量の放射性汚染水が発生しました。

東京電力はこの汚染水をタンクに貯めながら、ALPS(アルプス=多核種除去設備)という装置で処理しています。しかし、ALPS処理をしても放射性物質は取り切れず、基準値を超えて残留しています。

20238月、政府と東京電力は、2015年に作成した『東京電力()福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書 に対する回答について』内で、『漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わない』と記載しているにも関わらず、漁業者をはじめ、私たちが同意など決してしていない中で、ALPS処理汚染水の海洋投棄を始めてしまいました。

政府と東京電力は、ALPS処理汚染水に海水を混ぜて、基準値以下の濃度まで薄めて流すから法律違反ではないと言います。

しかし、いくら薄めても、海に捨てられる量は変わりません。また、最終的にどれだけの量の放射性物質を海に流すことになるのかは、政府も東京電力も発表していません。

放射能の影響は、長期間かかって表れてくるものもあります。それを最小限に抑える責任が、現代に生きる私たちに問われています。

海はいのちの源です。ふるさとの海、日本の海、世界の海を、放射能でこれ以上汚してはいけません。海洋投棄の停止を求める差し止め訴訟も福島地裁で起こされました。

私たちは、ALPS処理汚染水について、海洋投棄ではない別の選択肢を取るべきと考えています。

未来の子どもたちにきれいな海を手渡したい。

ALPS処理汚染水の海洋投棄を止めるための活動に、ご支援をお願いします。 (後略)

ALPS処理汚染水の海洋放出を差し止める会事務局一同

2024712日追記)

集 会・行 動 予 定

87日(水)17時~18時 日本原電本店前

第71回日本原電本店抗議行動

主催:とめよう!東海第二原発首都圏連絡会

日(水) 1845分~1945 

129回東電本店合同抗議

東電は原発事故の責任を取れ

日(水) 12時~13時 規制委員会前(毎週)

89日(金) 17時~18

経産省前抗議集会(毎週)

 経産省前テントひろば経産省正門

経産省前の座り込み行動は、平日:1216時(月~木)、1317時(金)土・日・休日:1215時 ◎

824日(土)845分 集合:平井駅北口

東海村核関連施設バスツアー

≪経産省前テントひろば≫

住 所:105-0003港区西新橋1-21-8新虎ビル2F

・電  話:070-6473-1947

郵便振替口座=00160―3―267170

口座名義経済産業省前テントひろば

WEBhttp://tentohiroba.tumblr.com/

Mail addresstentohiroba@gmail.com

催:とめよう!東海第二原発首都圏連絡会

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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