青天井でふくらむ原発事故の費用を消費者に押し付ける経済産業省のたくらみを止めるために、パワーシフトキャンペーンの声明への賛同と、情報の転載・拡散をお願いします。
【声明】「原発コスト安」は嘘だった-国民への8.3兆円負担転嫁ではなく政策転換を(本文は末尾記載)
声明 http://power-shift.org/info/160921/
ネット署名 ・団体賛同 https://goo.gl/forms/cgWgqKCNNnINN2Jo1
・個人賛同 https://goo.gl/k7qDl1 (Change.org)
経済産業省は、福島原発事故炉の廃炉や損害賠償などの一部を、「託送料金で回収」できるしくみの導入を急速に進めています。今年度末までに整備して、会計上の措置がとれるようにしなければ東電が債務超過=倒産に至るため、9月末から12月までのわずか3か月の間に委員会を開催し、今年度内に経産省の省令だけで決定しようとしています。
福島原発事故の責任を明らかにしないまま、「託送料金」の仕組みで費用回収ができる仕組みを導入することは、無責任体制を推し進めることになってしまいます。
今後事故関連費用がもっと大きくなったり、廃炉費用が上振れしたりする場合にも、消費者が広く薄く負担することになってしまいます。
原発事故の刑事責任だけではなく、経済的な損失の責任まで回避する原子力ムラの無限無責任を止めるために、いま反対の声を上げましょう。
*キャンペーンでは、11月24日に新電力アンケートに関する発表をメインに記者会見を行いますので、賛同署名と情報拡散をお願いします。
*賛同の声を経済産業省に届ける機会は、別途検討中です。
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解説
福島原発事故で発生した莫大な費用は今もふくらみ続け、一説には60兆円かかると指摘する専門家もいます。青天井でふくらみ続ける処分費を隠したまま、負担は託送料金(送電線使用料)で原発を持たない新電力会社にも原発の莫大な処分費用の一部を負わせることになります。
今年度末までに費用押し付けを行わなければ東電が債務超過=倒産に至るため、市民には非常に分かりにくい方法で議論を進めています。
カラクリ① 原発のコスト負担について、わざわざ複数の委員会
に問題を分けて、論点をバラバラに議論している。
「非化石電源価値取引市場」など市場整備の議論を
並行して行い、「原発の電気を新電力も利用する」
という理由づけにしている。
カラクリ② 福島原発事故の原子炉廃炉費用、廃止がすでに
決定した老朽原発の廃炉費用、今後の廃炉費用など
を一度に議論することで、福島原発事故の費用負担
の狙いを分かりにくくしている。
カラクリ③ 費用負担を託送料金(送電線使用料)に負わせる
ことだけを決め、今後ふくらみ続ける数十兆円を
超える青天井の費用を全て消費者・納税者に負担
させてゆくとんでもない進め方
カラクリ④ この重要な問題を国会のチェックも通さず、
省令のみで行うたくらみ。
このようなことがまかり通れば、原発の発電収入は電力会社が受け取り(これまでの利益も!)、原発処理の莫大な費用は広く消費者に押し付けて、電力会社は責任を取らないことになります。
そして、原発を持たない新電力会社や再生可能エネルギー産業の成長をゆがめる結果になるでしょう。
福島原発事故の刑事責任を問うことや、被害者の生活補償を打ち切りなどと並ぶ、重大な問題です。
原発コストの責任回避を許さないために、力を合わせましょう。
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参考リンク
朝日新聞社説11月20日 http://www.asahi.com/articles/DA3S12667168.html
原子力ムラの無限無責任 金子勝さんのラジオ番組
https://www.youtube.com/watch?v=wej4gyy-nVA
経産省の無限無責任が止まらない─第61回国会エネルギー調査会(準備会)
https://www.youtube.com/watch?v=wQOidkzkQfk
大島賢一さん、古賀茂明さん、金子勝さん、飯田哲也さん他による問題点の解明
発表資料 https://drive.google.com/…/fol…/0B4sSurkQeTFgTkVFYTVqbW9pQWs
東電1F問題委員会
http://www.meti.go.jp/co…/kenkyukai/energy_environment.html…
電力システム改革貫徹のための政策小委員会
http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html…
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声明本文: 「原発コスト安」は嘘だった
-国民への8.3兆円負担転嫁ではなく、原発政策の転換を
2016年9月21日
パワーシフト・キャンペーン運営委員会
福島第一原発の廃炉費用などのために新たに8.3兆円を国民に負担させる形で政府が調整に入ったとの報道が、新電力・消費者に衝撃を与えました。9月16日の報道(*1)によれば、内訳は廃炉費用4兆円、賠償費用3兆円、さらに福島第一以外の原発の廃炉費用として1.3兆円というものです。事故の責任があいまいなまま、また原子力政策の見直しを伴わない国民への負担転嫁は、新電力事業者や国民を説得できるものではありません。
福島第一原発事故の賠償・被害最小化を最優先として、東京電力の責任を明らかにし、莫大な費用がかかることが明白となった原子力発電については、これまで利益を得てきた事業者が責任を持って安全な廃炉に向けた対策を取るべきです。経済合理性を欠く原発を、維持を前提として国民負担で支えることは、電力自由化の理念にも反し受け入れられるものではありません。
パワーシフト・キャンペーンは、福島第一原発事故の廃炉・賠償については東京電力の責任で、また今後の廃炉費用をめぐっては、政策転換の議論を行うことを強く要請します。
1.事故の責任があいまいなままに、国民負担は許されない
東京電力福島第一原発事故については、東京電力に一義的な責任があるとされながらも、原子力損害賠償支援機構を通じて他の電力会社と政府が賠償費用を支援しています。東京電力が責任を取っているとは言えない一方で、東京電力の2015年度の営業利益は3400億円を超えています。一民間企業の起こした甚大事故について、企業を事実上「救済」しながら国民負担を求めることについて、倫理的にも経済的にも、理解を得られるものではありません。
2.「原発の事故費用・廃炉費用は莫大」明らかに-政策変更なき国民負担は許されない
2014年の「エネルギー基本計画」をはじめ、各電源のコスト検証において、原子力については、事故処理・賠償費用を勘案してもなお、「コストが低廉な電源」と位置づけられてきました。しかし今回、東京電力福島第一原発事故の廃炉・賠償費用は東京電力だけでは負担できないこと、また他の原発の廃炉費用も、原発を保有する電力会社では支払いきれないことが公にされたと言えます。そうであれば、まずは新規原発の建設可能性について撤回し、また既存の原発の廃炉も早急に検討する方向で、具体的に政策転換を行うべきです。
原発のリスク、費用、事故被害の大きさについての国民的議論なしに、国民負担に転嫁することは、電力自由化の趣旨にも反しています。
原発の費用負担と、原発電気の卸電力市場での取引や「非化石電源」としての扱いなど、市民・消費者に受け入れがたい政策に反対し、9月20日に新たに設置された「東京電力改革・1F問題委員会(東電委員会)」および「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を注視していきます。
*1:テレビ朝日「原発の廃炉費用 国民負担8兆円超を検討」(2016年9月16日)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_eco…/articles/000083684.html
パワーシフト・キャンペーン運営委員会(〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9 FoE Japan内)
03 -6909-5983 info@power-shift.org http://power-shift.org/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6373:161123〕