翁長知事は、22日の名護におけるオスプレイ墜落事故抗議集会の際のぶら下り取材で、敗訴ではあっても執行力はない最高裁判決を受けても埋立承認取消を自ら取り消そうとしている真意を聞かれ、こう答えた。
「多くの国民の理解を得つつ、県民のオール沖縄は残念ながら自民県連は違うが、大きな輪を作って一緒にやっていく。本土でもネトウヨとかいろいろ言われるが沖縄に対するいろんなことがある。これを最高裁判決が出て、法廷で従うと言ったことをこれを取り消ししない場合にはそれが正しい正しくないの以前に今のような形で斜めから沖縄が見られている中で闘いができるか。法廷での約束と、これからの国民に沖縄が条理を尽くして、それでも反対していることを話して一つ一つ前に進めていきたい。」
翁長知事はネトウヨに気を遣って自らの埋立承認取消を取り消すのでしょうか。ネトウヨのように、事実や道理などどうでもいいような人々は、知事が何をしようがしまいが沖縄のことをあれこれ言い続けます。このような沖縄の将来を左右するような決断をする理由にはなりません。法廷で「従う」と言ってしまったからというのもおかしいです。この判決は取消を命令していないのだからこの判決に「従う」というのは「自分の取消が違法であるということを認めました」ということだけで、何もしないことで立派に判決に「従って」いるのです。それなのに取消を決行する。その理由が、「いろいろ言われるから」というのでは納得がいかない。26日にも取消を行う予定と報道されていますが、なぜ26日なのかの説明もない。『沖縄タイムス』の平安名純代記者は24日のコラム「想い風」で次のように書いています。
「岩礁破砕許可が生きている状態で埋め立て承認が復活すれば、工事は再開され、沖縄は新基地建設を止める術(すべ)を永遠に失ってしまうかもしれません。翁長知事は、26日に埋め立て承認を取り消すといわれていますが、なぜそんなに急ぐのでしょう?重要な決断だからこそ、まずその理由を県民に明確に説明し、判断を仰ぐ必要があるのではないでしょうか。」と平安名記者は言います。
元裁判官の仲宗根勇氏と、仲宗根氏が共同代表をつとめる「うるま市島ぐるみ会議」や「うるま市具志川9条の会」の人たちが以下のような要請書を携え県知事に必死の訴えをしています。
仲宗根氏はフェースブックでこう言っています。
2013年12月27日仲井真知事が県民を裏切った。2016年12月26日翁長知事も県民を裏切ろうとしている。心ある県民は下記要請書をご覧ください。26日午前8時県庁ロビーに結集して知事に対する要請行動に参加してください。辺野古の新基地建設工事が再開され沖縄の運命が決まる歴史的な日です。この日に行動しない者たち・団体を私たちは信用しません。いつでも「勝利の歌」を歌っている連中を!
本当に「あらゆる手段」で基地そ阻止するのなら、埋め立て承認取消の取消はせず、違法確認訴訟のときにしなかった「裁判官忌避」を、次の代執行訴訟の冒頭で行い、適時に「埋め立て承認撤回」を行うこと、と訴えています(参照:仲宗根&乗松「辺野古埋め立て「違法確認訴訟」最高裁で県が敗訴しても知事は判決を理由に埋立承認取消を取り消すことはできない」)
ここで工事を再開させてしまわないよう、知事には「取消」を思い留まってほしいです。『琉球新報』に21日掲載された私の評論をもう一度紹介します。
26日(月)の要請行動は午前8時県庁ロビーで集合です。この訴訟の意味についてもっと知りたい人、平安名記者が提起する疑問のように、県民に対する説明が足りないのではないかと感じている人も、行かれたらいいのではないかと思います。私は海外にいて行けませんが、こうやってネット上で情報を拡散することによって参加している思いです。 乗松聡子
初出:「ピースフィロソフィー」2016.12.25より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/12/blog-post_25.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6428:161225〕