7月22日に日本でキックオフされた「Go To Travel」キャンペーンについて、ガーディアンの記者・マッカリー氏が興味深い報道をしていますので、それをご紹介させて頂きます。
なお、和訳は逐語訳ではない事、また、解りやすくする意味で単語や文を付け加えた箇所もある事をご了承ください。
Covid-19禍の恐れの中で「国内観光」の推進は 立ち往生
著者:ジャスティン・マッカーリ (Justin McCurry) 記者
〈抄訳:グローガー理恵〉
日本政府が主催する「国内観光を復興しよう」キャンペーンが大混乱のうちに始まった。人々は、国内観光の推進がコロナ感染拡大の大災害をもたらすかもしれないと恐れているのである。
キャンペーンは、世界3位の経済大国の経済を起動させるのに役立つことになっていた。コロナ・パンデミックのために、海外から日本を訪れる人の数は、ここ数か月間で激減し、99.9% の減少を示している。
しかし、政府は、キャンペーン開始の前になって突然、東京を「Go To トラベル」の対象から除外した。5月後半に緊急事態が解除されて以来、都内における感染者数が上昇したためである。火曜日 (7月21日)、東京都は、新に237人の感染者が発生したことを発表した。これで東京で記録された感染者数は1万人近くにのぼった。これは日本国内の感染者総数の約50%を占めることになる。
政府は、東京を除外したことにより、東京へ/からの旅行を計画していた人々のホテルやその他の予約の直前キャンセル料金を補償せざるを得なくなった。
予算およそ1.35兆円 (120.6億ドル)のプログラムは、交通費や滞在費を含めた旅行代金全額の半額までを補助することになっている。
一方、国内では、このキャンペーン開始のタイミングについての疑念が広まっている。しかし、こうした疑念の声が高まっているにもかかわらず、この計画を促進してきた人たちがいる。その中の一人が、観光事業に深い関わりを持つ、与党・自民党の二階俊博 幹事長である。
安倍首相に経済政策の申入れをする二階俊博氏 (2016年5月)CC BY 4.0
(ソース: 内閣官房内閣広報室 kantei.go.jp)
これまでのところ日本は、コロナ感染の発生を抑えるのに比較的成功してきたのだが、地方自治体は「医療資源が限られた、高齢者住民が多い地方にウィルスが広まるかもしれない」と懸念し、「Go To トラベル・キャンペーン」に反対している。
日経新聞の報道によると、青森県むつ市の宮下宗一郎 市長は、東京を中心に全国で新型コロナの感染が再拡大している時期の事業開始に反対し「キャンペーンによって感染拡大すれば、政府による人災となる」と述べた、という。
火曜日 (7月21日)、福岡県と愛知県における一日の感染者数は、53人および51人だった、と報告された。一方、観光地として人気のある京都や奈良に近い大阪府の知事・吉村洋文(ひろふみ)氏は、「最近、若い世代の間で感染者の急増加があり、大阪府は第2波に入っている」と、警告した。
月曜日 (7月20日)、日本における新型コロナウィルスによる死者数は(2月に検疫が実施された横浜沖のダイヤモンド・プリンセス・クルーズ船の13人の死者を含めて)1000人を超えた。
一般市民も同様に、気前のよい補助金が提供されているにもかかわらず、国内観光には気乗りがしない様子である。
今週、日経が公表した世論調査によると、解答者の80%が「Go To トラベル」開始は早すぎると答え、15%のみが「妥当」と答えた、という。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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