衆議院の解散、総選挙にあたって

 衆議院が解散され、10月31日に総選挙が行われることとなった。
 まず指摘しておかなければならないのは、9月初めの菅義偉前首相の退陣表明以来、日本の政治には異常なことが続いた点である。新型コロナウイルス対策などで失敗を重ねた首相が退陣を表明することで、過去の失政について一切議論を封じ込め、自民党は総裁選挙で半月以上メディアを乗っ取って宣伝に努めた。菅氏の後を襲った岸田文雄首相は、臨時国会で3日間の代表質問の論戦をしただけで衆議院を解散し、選挙実施までの期間も史上最短に設定した。これは、自民党の宣伝を優先し、選挙に向けた与野党の論戦を最小限にとどめるための政治的策謀である。
 市民連合は、4年ぶりの総選挙において国民に、日本が直面する様々な難問について直視し、各党が打ち出す政策を吟味し、日本の未来を切り開くような選択を行うよう訴えたい。この総選挙は、220の小選挙区で野党候補を一本化し、1対1の構図を作ることができた、歴史的な選挙となる。自公政権による格差・貧困の拡大と社会、経済の停滞閉塞の継続か、野党協力による政権交代を実現し、人間の生命と尊厳、平等と自由を最大限に追求する政策転換を実現するかが、この選挙の最大の争点である。
 立憲野党は市民連合が提案した共通政策に合意しており、選挙における協力は日本における民主主義の回復と国民生活の救済という大義に基づくものである。各党には、協力の実を上げ、政権交代を実現するよう再度求める。また、市民連合も野党の前進のために戦い抜きたい。

2021年10月14日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合