環境省「東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」をめぐる重要な局面になっています。
専門家会議は、「東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」(以下「専門家会議」)と言いながら、その座長に原子力村・御用学者の頂点である長瀧重信を据える許し難い姿勢で、この会議を開始しました。
長瀧重信は、重松逸造とともに、「放射線影響研究所」(以下「放影研」)理事を務めた人物で、前例のない被ばく・原爆病で苦しむ広島、長崎の原爆被災者に対して「調査すれど治療せず」を貫いた悪名高きABCCの後身「放影研」理事としてチェルノブイリ事故調査にかかわっています。そして、重松は、IAEA事故調査委としてチェルノブイリ「安全宣言」を行って、現地住民の健康被害放置を促し、長瀧は、それを裏付けるチェルノブイリ被害の極端な過小評価を行っています。この重松、長瀧の弟子筋の山下俊一が原発事故直後の福島に入り、100mSv以下安全論をばらまいて、住民・子どもの被ばくを促進させました。
こうした長瀧を、住民の健康にかかわる専門家会議の座長に据えるとは、多国籍・他民族相互理解や友好・共生を進める委員会の座長に石原慎太郎を据えるようなものです。被ばく健康被害隠蔽への政府の露骨な姿勢を示すものでした。この「やりすぎ」が、専門家会議内部での齟齬・あつれきを引き起こすことにもなりました。
現在、焦点に躍り上がっているのは、この専門家会議の討議内容と密接不可分のものですが、傍聴規制をめぐるものです。
(長瀧座長解任も以前重要な課題です)
傍聴規制は、規制委員会系の諸会議でも、緊急会議の木村さんなどが不規則発言などを理由に長期にわたって傍聴禁止通告を受けることなどが起こっていて、これ自体、許せないものです。
しかし、環境省専門家会議の傍聴規制は、そのレベルを遙かに越えたもので、「常軌を逸した」と言いたくなるものです。
その特徴は
第一に、多くの参加希望者が選別排除されている。
第二に、当初、選別理由がついて傍聴拒否されていた人が、途中から「抽選漏れ」理由の傍聴不可になるなど、基準が不明瞭(途中から「抽選漏れ」理由にして誤魔化そうとする意図がありあり)
第三に、傍聴規制への抗議の高まりに対して、さらに強権的な傍聴規則を一方的に提出したこと。
第四に、こうした選別排除対する抗議や質問が殺到し始めた次回27日の会議では、問い合わせに対して、傍聴席は24と答えている(前回は48)。しかも、この会場が前回より広いことが明らかになり、選別排除のため座席数縮小をした意図が露呈した。
―――等々です。
この専門家会議への傍聴は、「監視市民の会」や「学習する会」メンバーなども系統的に申し込んでいて、その選別排除が問題に登っていましたが、関東ネットの母親たちの「静かな抗議」と申し入れ、そして、阿部さんが抗議文などで投じた一石が大きな波紋を起こし、これまで傍聴追求をしてきた団体・個人を始め、多くの人たちが、阿部さん達の動向を中心にして、傍聴規制の情報提供・集中や、その抗議に向けた取り組みを始めています。
上に、今回の傍聴規制の特徴に触れましたが、ここで書いたものは簡単なもので、阿部さんをはじめ、参加者が、より具体的でなまなましい傍聴統制の内容をまとめています。
そして、現在進行中ですが、これまでの10回の専門家会議に傍聴を申し込んだ人たちに、各回ごとの「可」「不可」や理由などの情報提供を求め、その情報が続々と提供されることで、環境省の選別の具体的実態がより明らかになっています。
25日(月)に、阿部さん、関東ネットが中心になって環境省への申入が行われ、その後、記者会見が行われます。この申し入れに向けては、傍聴にかかわってきた団体・個人などが、積極的に支援・応援する構造になっています(それぞれのメールなどで、重要課題として取り上げられています。またツイッター、フェイスブックでの広がりも報告されていますが、私は、ツイッター、フェイスブックを見ていないので、この方面への広がりを具体的に報告できません)。
この申し入れに向けて、上述の、傍聴申し込みと結果についての情報が、それぞれの団体参加者などから集まっています。
また、アワープラネットや朝日記者からの阿部さんへの提言で、マスコミ対策や、その一環として午後の記者会見が行われることになっています。
この専門家会議の内部対立や傍聴問題については、早くから阿部さんが、政府側の弱点で攻め立てるところと指摘したものです。
これは、現在の状況の読みであると同時に、「子ども・被災者支援法」の積極的な実質化の場であるべき専門家会議をめぐる問題として、福島県外のホットスポットで「支援法」適用・実質化への着実な運動を積み重ねた関東ネットの蓄積を背景にもつものです。
そうした実績への信頼があるために、阿部さんや関東ネットの活動や提起が、被ばくと闘う人々・団体に対して急速に波及することになりました。
環境省・専門家会議は、内部に長瀧座長の運営への不満噴出を抱え、傍聴規制への批判が強まると、傍聴規則をドタバタででっちあげたり、傍聴席を減らして、一層、傍聴選別排除の姿勢を浮き上がらせることで、その弱点をさらけ出しています。
小児甲状腺ガンの「多発」は、もはや隠せない状況です。しかも許し難いことには、鈴木眞一は、一方で小児甲状腺ガンは予後が良いから大した問題ではないと言いながら、「過剰診療ではないか」と(より悪質な安全論者から)批判を受けるや、それぞれ肺転位など手術が避けられない重症であったとヌケヌケと語っています。小児甲状腺ガンに犯された子ども達の今後がどうなるのか、深刻な状況です。
しかし、それだけではなく、小児甲状腺ガンは、通例100万人に1人という珍しい病気であるために、原子力村も、小児甲状腺ガン増加が放射線の影響であることを否定し難くなったのですが、これは氷山の一角の一角にすぎません。
福島県外の取手で報告されている児童の心臓疾患・不調の増大を始め、多くの健康被害が(政府や原子力村の必死の隠蔽・統制のもので)進行している可能性が多大です。
「子ども・被災者支援法」の精神に基づくならば、環境省・専門家会議は、予防原則に基づき、福島県内外の住民の健康や、そのことへの不安にどのように取り組むのかに向けて英知を結集すべき場のはずです。
この意味で、専門家会議は、それ自体が、被ばくと闘う住民にとって、積極的焦点となるはずのところでした。
ところが、政府・環境省は、その座長に、原子力村の最悪の一牙城=放影研前理事長の長瀧重信を据えることで、別の意味の焦点にもしてしまいました。そして、更に、多くの住民が関心を持ち、傍聴の権利を持ち、その傍聴を希望する会議の傍聴を選別排除し、さらには、傍聴要望の増大に対して(より広いスペースがあるにもかかわらず)座席数を減らすと言う子供だましの前時代的統制にでています。
この環境省・専門家会議に対して、阿部さんと関東ネットは、「子ども・被災者支援法」適用の闘いを引き継いで一石を投じ、それが、被ばくに反対する人々、諸団体への影響を広げています。
この状況に注意を向け、支援し、ともに闘うことを呼びかけます。
①、環境省への抗議と要請文への団体・個人賛同を
②、25日については、午前の申入は人数限定となりますが、午後の記者会見はオープンに参加を呼びかけています。平日昼で参加しにくい時間帯ですが、可能な人は是非参加を。
(私も午後であれば可能性があるので参加追求します)
記者会見
25日午後1時~
参議院議員会館 B107会議室