Scott Bessent Admitted that the U.S. Manipulated Iran’s Currency (Glenn Diesen & Jeffrey Sachs, January 28 Japanese Translation)
グレン・ディーセンのYouTubeチャネルより
1月28日(木)、差し迫るように思える西側(イスラエル・米・欧州)の対イラン攻撃いついて、グレン・ディーセン教授がジェフリー・サックス教授と対談した。日本語訳をお届けする。この戦争は昨年の「12日戦争」の延長、ひいては、1979イランイスラム革命以来のイスラエルと西側の「悲願」であったイラン政権転覆の試みである。あいかわらず西側は、イランの「独裁」、「腐敗」、「人権侵害」を口実に、政権転覆されても仕方がないといったナラティブを流しイラン破壊を正当化しようといている。スコット・ベッセント財務長官が、ダボス会議にて、イラン「抗議デモ」のきっかけなとなった「通貨暴落」でさえ、米国の仕業だったということを認めている。それを祝うようにせせら笑うベッセント。邪悪な帝国のレイシズムを隠そうともしない。それを西側メディアは報じもせず、イランを倒せと大宣伝している。サックスは、今からでも戦争を止められる、止めるために全力を尽くさないといけないと言っている。
翻訳は冗長な部分は取り除き要点がよくわかるよう整えている。ハイパーリンク、太字は乗松聡子がつけた。文脈がわかるようにトランプやベッセントの発言の内容を挿入した。
グレン・ディーセン:
本日は、トランプが現在イランに対して行っている脅しについて議論するため、ジェフリー・サックス教授をお迎えしています。
いまテヘラン側から見たら、この地域における米国の大規模な軍事力の集積が見えてきます。英国、ドイツ、スペイン、イタリアの輸送機が中東に向かっているようにも見えます。そして意図という点では、攻撃は避けられないように思われます。イスラエルがそれを望み、ワシントンもそれを望んでいる。政権転覆について語っています。そしてソーシャルメディア上で、トランプは次のように書いています。引用します。「巨大な艦隊がイランに向かっている。大きな力と熱意、そして目的意識をもって急速に移動している。」さらに、時間が残されていないとも書いています。
(トランプのSNS投稿の日本語訳:
大規模な艦隊(アルマダ)がイランへ向かっている。非常に速く、強大な力と熱意、そして明確な目的をもって進んでいる。偉大な空母「エイブラハム・リンカーン」を旗艦とするこの艦隊は、ベネズエラに送られたものよりも大規模だ。ベネズエラの場合と同様に、必要とあらば、迅速かつ暴力的にその任務を遂行する用意があり、意思も能力も備えている。
イランが速やかに「交渉の席に着き」、公正で公平な合意――核兵器は一切認めない――すべての当事者にとって良い合意を交渉することを望む。時間は刻一刻と失われており、まさに一刻を争う状況だ。
私は以前にも一度イランにこう告げた――「取引をせよ!」。彼らはそうしなかった。その結果が「ミッドナイト・ハンマー作戦」であり、イランに対する大規模な破壊だった。次の攻撃ははるかに深刻なものになる! 二度とそのような事態を起こさせるな。
この件にご注意いただき、感謝する。
ドナルド・J・トランプ大統領)
これらの脅しをどう見ますか。
ジェフリー・サックス:
明らかだと思います。イスラエルにとって、これは30年にわたるイラン政府転覆の試みです。米国は基本的にイスラエルの言うことを実行します。したがって、イスラエルは絶えず米国をイランとの戦争に引きずり込もうとしてきました。昨年夏にもそれを行いました(注:米国がイランを攻撃した昨年6月のいわゆる「12日戦争」)。目標は政権転覆、つまり打倒でした。しかしそれはうまくいきませんでした。
その後、米国は経済的手段を用いてきました。米国の財務長官スコット・ベッセントが「経済的ステートクラフト」と呼んだものです。
しかし彼は、イラン経済を破壊するために米国が意図的に講じた措置を明確に説明しました。再び、その狙いは政権転覆でした。それもうまくいきませんでした。そこで今、空母打撃群がイラン攻撃に向かっています。つまり、攻撃は差し迫っています。
ここでの目的は、最初から交渉ではありませんでした。交渉の機会があるたびに、イスラエルは「交渉するな」と大騒ぎしてきました。もちろん、10年前にイランと核合意が成立しました。包括的共同作業計画、いわゆるJCPOAです。これは2015年7月20日、国連安全保障理事会決議2231によって実際に承認されました。しかしトランプは第1期政権でこれを破棄しました。
つまり、イスラエルには交渉による解決を望む意思は一切なかったのです。そして米国がイスラエルの指示に従う以上、米国がイランと真剣な交渉を行う用意があったことは一度もありません。トランプはそれを昨年夏にも再び示しました。米国の支援を受けてイスラエルがイランを爆撃したのは、2025年6月12日と13日でしたが、それは米国とイランの交渉が予定されていた2日前でした。
したがって、これはイランの交渉の問題だという考え方は虚偽です。これはハイブリッド戦争によって遂行されている政権転覆作戦です。つまり、サイバー戦を試み、街頭の不安を煽り、経済を圧殺し、爆撃し、暗殺を行う。あらゆる手段を用いて、この政権を転覆させようとしているのです。
そしてトランプはトランプらしく、こうしたことを公然と発信します。「我々の言うことを聞かなければ、これはベネズエラと同じだ」。彼はこう言っています。「この艦隊は、必要であれば迅速かつ暴力をもって任務を遂行する用意があり、能力もある。」これは完全なる恫喝行為です。
人々は理解すべきです。国連憲章の下で――トランプの副首席補佐官はこれを「形式的なもの」と呼びましたが――それは国際法です。ホワイトハウスのギャングにとってではなく、人類のためのものです。憲章第2条第4項はこう定めています。「すべての加盟国は、他国の領土保全または政治的独立に対する武力による威嚇または武力行使、あるいは国連の目的と両立しないいかなる方法による行為も慎まなければならない」と。
これが、今まさに起きている状況です。
グレン、我々はこれをベネズエラで既に経験しました。露骨で、甚だしい脅しがあり、その後に侵攻が行われ、大統領とファーストレディが拉致され、さらに米国がベネズエラを支配していると主張しました。タンカーから石油を奪い、それを米国に送ることまで行い、ドナルド・トランプはその金は自分のものだと宣言しました。
このような厚かましさと無法状態が、今の世界の一部なのです。しかしイランは、世界にとってはるかに危険な事態です。それでも私は、ヨーロッパの国がこれに対して一言でも異を唱えるのを待ち続けています。「それは良くない考えではないか」「戦争をすべきではないのではないか」「国連憲章を守るべきではないか」と。
ヨーロッパへの問いはこうです。米国がヨーロッパを攻撃しそうになった時だけ声を上げるのか(注:トランプの主張するグリーンランド領有に意義をとなえた欧州指導者たちを皮肉っている)。それとも、ヨーロッパには何らかの原則があるのか。数日のうちに、それが明らかになるでしょう。
グレン・ディーセン
最初のイラン攻撃の際、「イスラエルは我々の汚れ仕事をしている」と述べたメルツ首相は、今や「イラン政権の命運は尽きている。数週間かもしれないが、この政権には統治の正統性がまったくない」と発言しています。つまり、ヨーロッパ諸国は完全にこれに乗っかっているのです。
しかしトランプはまた、今こそイランが取引をする時だ、さもなければ強く叩く、とも言いました。彼はどの取引を指しているのでしょうか。核合意のことでしょうか。しかし、これは非常に不誠実に見えます。なぜなら、彼らはすでに目標が政権転覆であることを公然と述べているからです。政権転覆では、統一された反対勢力を作ることなどできません。つまり、我々が目にしているのはイランの破壊です。
ジェフリー・サックス:
米国は交渉による取引に関心はまったくありません。なぜなら、交渉による合意は10年以上前から可能だったにもかかわらず、成立するたびに米国がそれを破棄してきたからです。そして、合意破棄を最も強く主張してきたのはイスラエルでした。トランプはイスラエルのために働いている以上、交渉の意図などまったくありません。彼らは政府を転覆させようとしているのです。
メルツは恥を知るべきです。しかし、これもまた典型的です。その発言はこれまで見ていませんでしたが、ヨーロッパのごろつきぶりは驚くことではありません。ただ、いつも失望させられます。原則に立ち返ろうとするのは、ヨーロッパ自身の狭い利害が危機にさらされた時だけのようです。そうなると突然、「米国がグリーンランドを口実にデンマークを攻撃するのはおかしい。それは乱用だ」と言い出す。しかし、イラン政府を転覆させることは問題ない。
いま、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、そしてヨーロッパのメディアで自由に流れているプロパガンダについて、少し時間を割く価値があります。経済崩壊はイラン政権の腐敗と失政の結果であり、統治に適していない、というものです。まさにメルツ首相があなたに読んでくれた発言のとおりです。
人々は、これがゲームの一部であることを理解すべきです。そしてそのゲームは、きわめて下品です。しかし、少し注意を向ければ完全に理解可能なものでもあります。
米国の財務長官スコット・ベッセントは、ダボスでこれを非常に明確に、ほとんど漫画のような形で説明しました。
スコット・ベッセント氏のダボス会議での発言。ディーセンとサックスが話題にしているのは冒頭の1分強の部分グレン、許されるなら、彼の言葉をそのまま読ませてください。過去1年間に何が起きてきたのか、人々に理解してもらうためです。
彼はインタビュアーからこう尋ねられます。「制裁について何か言いたいことはありますか。あなたが取り組んできた別の問題ですが、イランに関して何を計画しており、どのような影響を与えるつもりですか?」
これに対し、ベッセントはこう答えます。
「そうですね、財務省の制裁があります。昨年3月に私がニューヨーク経済クラブで行った演説を見ればわかりますが、そのとき私は、イランの通貨は崩壊寸前だと述べました。もし自分がイラン市民なら、資金を国外に移すだろうと。トランプ大統領は財務省とOFAC部門、すなわち外国資産管理局に対し、イランに最大限の圧力をかけるよう命じました。そしてそれは成功しました。12月には経済が崩壊しました。主要銀行が破綻し、中央銀行は紙幣を刷り始めました。ドル不足が起き、輸入ができなくなりました。これが人々が街頭に出た理由です。これが経済的ステートクラフトです。銃弾を一発も撃たずに、物事は非常に前向きに進んでいます。」
これは驚くべき発言です。あまりに驚くべきなので、ニューヨーク・タイムズは報じる勇気がなかった。ワシントン・ポストも報じる勇気がなかった。なぜなら、ベッセントが説明しているのは、米国が金融手段を用いて政府を倒し、人々を街頭に引き出し、大規模な不安を引き起こしたという事実だからです。そして「物事は非常に前向きに進んでいる」とベッセント氏は言うのです。
その下劣さはあまりにも衝撃的で、主流メディアは触れようともしません。しかし彼らは毎日のように、失政、腐敗、経済崩壊、人々の苦しみについての記事を流します。その苦しみが、米国の財務長官自身が説明した「米国のゲーム」であることには触れません。
私は最近、人々と話しましたが、米国の行動のために石油代金が支払われないのです。支払いは届かず、誰もが制裁と脅威の下にあります。世界中の銀行が取引処理を拒否しています。これが米国によるドルの武器化です。目的は混乱を生み、銀行破綻を起こし、通貨を崩壊させ、人々を街頭に引き出すことです。ベッセントが言うとおり、「これが人々が街頭に出た理由」なのです。彼は因果関係を明示し、それを喜んでいます。「非常に前向きに進んでいる」。
もしこれが、人々が安全だと考える世界の姿なら、残念ながら、それが完全な破滅と惨事への道であることを思い知るでしょう。これはあらゆる原則に反する、純粋なギャング行為です。
なぜメルツが、あるいはヨーロッパがこのギャング行為の一員なのか、私にはまったく理解できません。彼らはJCPOAの交渉当事者でもあり、米国がそれを破壊するのを見ていました。真実を知っているのに、真実を語らないのです。
グレン・ディーセン:
まさに圧倒的なプロパガンダです。あらゆる証拠が目の前にあり、ベッセント自身が「こうしてイランを不安定化させ、経済問題を引き起こし、人々を街頭に追い出した」と語っている。マイク・ポンペオは「暴徒の中にはモサドの工作員がいる」と言っています。イスラエルのニュースを見れば、暴動を煽るために武器を送り込んでいることを説明しています。
私はイランで何が起きているかについて討論に参加しましたが、これが完全に西側の介入なしに起きた純粋に自発的な運動だと言わなかっただけで、「イラン人の苦しみに無関心だ」「政権擁護者だ」と非難されました。つまり、本当にイラン人のことを思うなら、イランを爆撃すべきだという理屈です。これがどれほど倒錯しているか。これはすべての戦争で同じです。シリア人のことを思うならアサドを打倒せよ、ウクライナ人のことを思うなら戦争を永遠に続けよ、というわけです。あまりにも卑劣です。
ジェフリー・サックス:
そのとおりです。しかし興味深いのは、もし本当にイラン人のことを思うなら、ベッセント自身の言葉に耳を傾けるべきだという点です。彼は、イラン人を苦しめることが目的だと言っています。それほどまでに苦しめ、人々を街頭に溢れ出させる。そして暴力が起きると――多くは偽旗で、扇動者やモサドによって煽られたものですが――ベッセントは「非常に前向きに進んでいる」と言うのです。
ちなみに、彼は最後の一文を言い終えたとき、小さくニヤリと笑っていました。その笑みを抑えることができなかったのです。下劣さを一層際立たせる仕草でした。
人々はベッセントが誰なのかを理解すべきです。彼は米国の財務長官です。普通なら、マクロ経済や財政政策、税制に詳しい人物だと思うでしょう。しかし違います。彼はヘッジファンド運営者で、ジョージ・ソロスと共に英国ポンドを破壊したことで名を上げた。1992年のことです。通貨を破壊できる、というのが彼の特技なのです。
これほどまでに下劣で露骨であるがゆえに、やはり報道する価値がないとされているのでしょう。
グレン・ディーセン:
財務長官が経済的ヒットマンなら、心配すべきです。とりわけトランプがハンドルを握っている状況では。では、この戦争が拡大する可能性について伺いたいと思います。米国側の狙いも、イラン側の発信も、これは以前の戦争とはまったく異なり、事実上「ゼロか100か」になるという印象を与えています。この戦争は地域内に封じ込められる可能性はどの程度あると思いますか。
なぜなら、イランはすでに「この戦争に参加する者は誰であれ、報復の対象になる」と言っているからです。そして一方で、サウジアラビアは「自国の空域は使用させない」と述べています。つまり、彼らはこの事態を深刻に受け止めている。
ジェフリー・サックス:
私は軍事の専門家ではありませんが、把握している限りで、いくつかのことが分かっています。第一に、イランはイスラエルの防空網を突破できるということです。イランはそれが可能な極超音速ミサイルを持っていることを示しました。最初は極めて重要な標的を狙いませんでした。しかし、生存を賭けた戦争になれば、重要な標的を狙うでしょう。
第二に、(昨年6月の)イラン核施設への攻撃は、戦争を終わらせるどころか、イランの核保有への道(それをイランが望むとすれば)を妨害することすらできなかったということです。現在保有している濃縮ウランを原爆用レベルまで引き上げるのに必要な追加濃縮量は、さほど多くありません。したがって、これが存亡を賭けた闘いになれば、イランは疑いなく核兵器開発に突き進むことができるでしょう。
イランは核兵器を望んでいないと、検証できる形で述べてきました。IAEAの監視を受け入れ、濃縮に厳しい制限を設けると。しかし、それを10年前にトランプが破棄したのです。
状況がイランにとって深刻になれば、他国がイランを支援する可能性があります。イランは大国です。イスラエルは暗殺、モサドによる攻撃、爆撃、斬首攻撃を試みましたが、うまくいきませんでしたし、今後もうまくいくとは思えません。
これは大規模な戦争への前奏曲になりかねません。これは米国の裏庭にあるベネズエラとは違います。世界で最も爆発性の高い地域での戦争となり、周囲には核武装国が存在し、利害関係も重大です。完全に無謀で、世界的破滅を招きかねません。だからこそ、今すぐ阻止されるべきなのです。
そして繰り返しになりますが、この件についてのドイツの見解を聞いて、私はあらためて失望しています。もしこの世界に、もはや「このような爆発性の高い地域で、国連体制のあらゆる原則に完全に反する戦争を仕掛けてはならない」と言える国が存在しないのであれば、全面的な破局に至る可能性はきわめて高いと言わざるをえません。
国連安全保障理事会は直ちに招集され、継続的に会合を開き、世界で唯一の責任を果たすべきです。すなわち、米国、そして米国大統領に対し、こう明確に言うことです。「このような脅しをしてはならない。ましてや攻撃など許されない」。脅しそのものが、国連憲章に対する重大な違反です。
グレン・ディーセン:
もはや阻止できないのではないかという不安があります。これだけの戦力が集結しており、トランプによれば回避策は「取引」だけですが、それは事実上存在しません。
ジェフリー・サックス:
トランプは、強固な反対の壁に直面すると引き下がることがあります。実際、彼はしばしばそうします。今のところ、その壁に直面していません。しかし、引き金が引かれる瞬間まで、そしてその後であっても、反対の壁を築こうとする努力をやめるべきではありません。
ヨーロッパには、人類に対する最低限の責任感を持つ人物がどこかにいるはずです。世界には、この戦争を望まない国が多くあります。私は、サウジアラビアは戦争を望んでいないと確信しています。カタールも望んでいません。アラブ首長国連邦も、トルコも望んでいません。彼らは、本当にイスラエルが作り出した新たな地域戦争に巻き込まれ、全面的な大惨事へと発展することを望んでいるでしょうか。私はそうは思いません。それを望んでいるのは、イスラエルと、その属国である米国だけです。
(翻訳以上)
こちらとあわせて読んでください。
暴かれる実態:イラン抗議を煽るCIA支援NGOの数々(アラン・マクラウド)
初出:「ピース・フィロソフィー」2026.01.29より許可を得て転載
https://peacephilosophy.blogspot.com/2026/01/scott-bessent-admitted-that-us.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion14654:260131〕










