国際NGOで35年間経験を積んだ谷山博史さんが23年9月24日に「沖縄を再び戦場にさせない・県民の会設立・キックオフ集会 」で行なった基調講演の内容を許可をいただき転載します。数々の米国の戦争を目撃してきた立場から「戦争はつくられるもの」と指摘し、「中国脅威論」で市民の「心の動員」を行い、経済・社会のあらゆる側面で法整備し軍拡を正当化し戦争準備が着々と進んでいる状況をストップさせるために示唆に富む提案が散りばめられていると思います。@PeacePhilosophy
2023 年 9 月 24 日
沖縄市民会館大ホール
沖縄対話プロジェクト 谷山博史
Ⅰ.祝辞と自己紹介
11 月の大集会に向けたキックオフ集会の開催と県民の会の発足を心からお慶び申しあげます。沖縄の平和運動にとって歴史的な画期ともいう重要な集会で話をさせていただくことは実に光栄です。ありがとうございます。
私は谷山といいます。「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクトを立ち上げた者の一人です。その他にも沖縄では土地規制法の廃止をもとめる活動や本部の塩川港で辺野古新基地に反対する活動そしています。母親は糸満で生まれた奄美の人間です。私は琉球弧人の2世になります。
3 年前に内地から沖縄に移住してきましたが、それまでは 35 年間国際協力NGOの活動をしてきました。タイ、ラオス、カンボジア、アフガニスタンに合せて 12 年間生活し、アジア・アフリカ・中東への出張は 100 回を越えました。その多くが紛争・戦争の現場でした。現場で見たファクトと住民の声に基づいて戦争を起こさせない活動や問題のある開発事業を中止させる活動にも携わってきました。
今回私がこの集会で話をするように依頼されたのも、沖縄での活動と海外での活動の経験通して「沖縄を二度と戦場にさせない」運動を盛り立てることを期待されたのではないかと思います。
Ⅱ.戦争の現実、分断の現実
1.「作られる戦争」の現実
最初に「作られる戦争」の話をします。近年の戦争に関する私たちの認識にまつわり付くバイアスを取り払うためです。アメリカや日本、多くの先進国の間で正しい戦争、避けられなかった戦争と見られている戦争の多くは、別の観点からみるとそうではありません。
湾岸戦争
私が人道支援に関わった戦争はほとんどがアメリカの戦争でした。1990 から91 年の湾岸戦争、99 年のコソボ紛争、2001 年のアフガニスタン戦争、2003 年イラク戦争などです。一つだけ湾岸戦争の例を話します。この戦争の危機は、イラクの隣国クウェートのイラクに対する挑発から始まっており、クウェートと密接な関係にあるアメリカがその挑発を促しました。そしてイラクのクウエート侵攻は、その直前、イラク駐在アメリカ大使がイラクの侵攻を黙認する発言をしたことで始まりました。アメリカがゴーサイン出したのです。これが正義の戦争といわれた戦争の実態です。
戦争を正当化する根拠、人権を守るの美辞麗句
先ほど挙げた 4 つの戦争はいずれもアメリカが戦争を正当化する根拠を作り出し、国際社会を味方につけて軍事力を行使した例です。また戦争を正当化させるために人権を守るための戦争という美辞麗句も使いました。例えば「アフガニスタンのタリバーンは女性に全身を覆うブルカを強制している、女性を解放しよう」といった具合です。これらの戦争は戦争が実際に起こされたという意味ではアメリカの戦争の成功例といえます。戦争が始まってしまえば結果オーライで、戦争を起こすための嘘も工作も忘れられてしまいます。しかし台湾を巡る武力紛争はまだ始まっていません。今ならまだ止められるということです。
2.分断の現実
目の前にある対立、断絶、認識の齟齬
沖縄対話プロジェクトは戦争を起こさせないためには「保守も革新も関係ない」「老いも若きも関係ない」「国籍も関係ない」という標語を使います。戦争を容認する言説が社会で影響力をもつ背景には様々なセグメントでの分断があります。私がここで分断という言葉を使うのは、対立や断絶が外部の介入によって生み出された側面を強調するためです。外部とは主に国家権力を指します。
台湾を巡るアメリカと中国との戦争が起これば最大の被害を受けるのは沖縄と台湾です。にもかかわらず今私たちの前にあるのは、沖縄と台湾双方における保守と革新の対立、沖縄における世代の断絶、沖縄と台湾の間の認識の齟齬です。
分断工作、プロサバンナ
これらの対立、断絶、認識の齟齬は権力の側からは格好の分断工作の対象となります。その実例は日本政府の開発援助、モザンビークでの大規模農業開発事業プロサバンナで見ることができます。現地の農民が大反対したこの日本の国策事業を中止させるために私たちは8年間大車輪で行動してきました。事業推進機関はコミュニケーション戦略という分断工作を仕掛けてきます。しかし 2020年ついに事業の中止を勝ち取ることができました。相手の分断工作を見抜いたことが成功の大きな要因でした。私たちが戦争を起こさせないために乗り越えなければならないのもこうした分断なのです。
沖縄で乗り越える世代の断絶
しかし素晴らしいことに、世代の断絶はここ沖縄では乗り越えられようとしています。「争うより愛しなさい」というスローガン掲げた2月と4月の平和集会と今日発足する県民の会は、実行委員会に若い人たちが沢山参加しています。
若い世代がシニア世代と協力し、シニア世代から平和運動の襷を引き継ごうとしています。こんな動きは全国のどこにもありません。沖縄だけです。沖縄対話プロジェクトが昨年12月開催した「若者とシニアのリアルトーク」もこの断絶を乗り越える一つの役割を果たしたと思っています。
3.中国を巡る動き
トランプの中国敵視とバイデンの継承
中国を巡る動き、特に中国とアメリカの関係について触れたいと思います。米中の関係はここ 10 年余りの間に激しく変化してきました。一時はよい関係にあった両国の関係が著しく悪化したのはアメリカのトランプ政権の時です。トランプは中国敵視の言動を繰り返し、経済政策においても中国企業締め出しの先鞭をつけました。バイデン政権がこれを引き継ぎました。アメリカ国防総省も中国が軍事的脅威であることを演出しています。2021 年の 3 月にインド太平洋軍の前司令官と後任の司令官が「中国が 6 年以内に台湾に軍事侵攻する可能性がある」と連邦議会で発言しました。これを機にアメリカでも日本でも中国脅威論が一気に噴き出します。
日米首脳会議と大軍拡の約束
この間日本とアメリカは何をしたか。菅前首相も岸田首相もバイデンとの首脳会談で日米共同作戦計画の正式協議や軍事費の大幅増額など大軍拡の約束をしてしまったのです。
2010 年の米国防計画見直し
軍事評論家の小西誠さんはアメリカが対テロ戦争から対中国戦争に戦略をシフトさせたのは 2010 年の国防計画の見直しにおいてが初めだったと言います。この戦略を日本の自衛隊は必至になって研究し、日本の防衛戦略を整合させようとしました。そして自衛隊の「南西シフト」すなわち南西諸島の軍事要塞化が始まるのです。2010 年というとアメリカがアフガニスタンでまだタリバーンと闘っている時期です。
私がなにを皆さんに伝えようとしているかもうお分かりだと思います。
①アメリカは対テロ戦争の次の戦争の準備を、まだ中国との関係が険悪ではない時期にしていたということ。
②日本の自衛隊も政府もアメリカの対中国戦略に必死でついていこうとしており、その結果が琉球弧の軍事要塞化、ミサイル基地化だということ
③軍事戦略のシフトとその戦略を実施するためには、予算化を含めて国民の解、少なくとも容認が必要であり、そのために国民の心を動員する必要があったこと。心の動員に大いに役立つのが中国脅威論だったということです。
経済と社会の軍事化
一つ付け加えると、軍事化というのは軍拡だけを意味しません。軍事化は経済・社会・文化のあらゆる面で軍事優先の体制が浸透することです。経済の領域での軍事化の最たるものが経済安保推進法、軍需産業支援法、次の国会で法案提出されるセキュリティクリアランス法です。そして社会面での軍事化の最たるものが土地規制法です。土地規制法は基地や原発などの安全保障上重要な施設の周辺と国境離島を区域指定し、区域内の住民や法人を調査・監視する法律です。防衛機能に支障があるとみなされる行為に対しては刑罰を科されます。恐ろしいのは、政府がこの法律を成立させ実施するために露骨なまでに中国脅威論を使ったことです。
Ⅲ.希望
1.沖縄には反戦・非戦の勢力がある
状況はとても厳しいです。しかし厳しいとはいえ、絶望してはいけませんし、絶望する必要もありません。
今世界では「台湾有事」を巡る戦争の危険について様々な言説が飛び交っており、多くの人々が不安を抱いています。その大半は中国が戦争を起こすかもしれないというものです。誰が戦争を起こすかは一先ず置いておいたとしても、戦争に明確な NO を突きつける声が社会的な勢力となっているところはどこにもありません。しかし沖縄は反戦・非戦が社会的な大きな勢力をなしています。これは世界的にみて驚くべきことです。
約半世紀の間戦争に苦しんできたアフガニスタンで対話による平和の活動を実践してきた私の盟友がいます。サビルラ・メムラワルといいます。彼は 2019年に辺野古に来て反対運動の人たちの話を聞きました。そのときこう言ったのです。「辺野古の運動は世界的に見て成功例だ。強大な権力に対してこれほど長く、粘り強く抵抗を貫き、いまだに基地を完成させていない」と。至極名言だと思います。
奇跡の集会
彼はその前年、アメリカの対テロ戦争がもっとも激しかったナンガルハル県ホギャニ郡で青年グループのリーダーとしてタリバーンと地元の長老、地方政府の役人が参加する平和集会を実現させました。その集会で対話が重ねられ一つの合意に漕ぎつけます。タリバーンと政府との休戦期間の延長を政府に提言するという合意です。3 日間の休戦期間の最後の日でした。青年たちと長老たち、そしてタリバーンは合意を携えてナンガルハル県庁に赴き、県知事と会合を持ちました。その結果県知事はこの合意を支持し、大統領に働きかけると約束します。
平和の信念と物事の見方 沖縄の集合的意思の蓄積
平和への信念をもち、物事を違った側面から見る目をもてば、不可能だとされたタリバーンとの対話も可能になり、負け続きだと見られている辺野古の運動の成功の意味が見えてきます。ここ沖縄の反戦・非戦のエネルギーは沖縄戦の経験と、構造的な差別・基地被害を長年にわたってはねのけようとしてきた沖縄の人々の集合的な意志の蓄積のなせる技なのです。
2.沖縄対話プロジェクトから何が見えて来たか
1)登壇者の言葉から見る希望
沖縄対話プロジェクトを通して見えてきたことをお話しましょう。沖縄対話プロジェクトは最近にわかに語られるようになった、いわゆる「台湾有事」すなわち台湾をめぐる戦争に危機感を抱いた有志が呼びかけ人となり、決してそれを「起こさせてはならない」と、昨年 10 月に発足させたものです。異なる立場や異なる意見の人たちの間で対話を重ねることで、「沖縄や台湾を戦場にさせない」という世論を醸成していくことをめざしています。
昨年 10 月の発足集会、今年 2 回の台湾との対話シンポジウム、2 週間前の中国との対話シンポジウムなどを通して分かったことがあります。
一つには、対話に参加したすべての対話者が「対話が必要である」という認識では一致していたことです。沖縄の中にも、台湾の中にも、台湾と中国との間にも、沖縄と日本本土やアメリカとの間にも対話が難しい環境が生まれています。だからこそ対話が必要だと皆考えていました。対話が途切れたところから戦争が始まるということです。
二つには、台湾民進党系のシンクタンクの林彦宏さんの発言にあったことですが、東アジア全体で平和構築の機関を作るなど、緊張緩和と戦争防止の取組みが必要だということです。これは抑止力が必要という立場の人も抑止力が戦争を呼びこむという立場の人も合意できる意見でした。
三つには、保守と革新の違い、抑止力が必要か危険かの違いとは関係ないところで、これまで私たちが意識していなかった事実や見方が突きつけられたことです。発足集会で発言した沖縄物産企業連合会会長の宮城弘岩さんは、琉球沖縄と中国の長い交流関係の歴史を見れば、中国が沖縄に攻めてくるなどと言うことは考えられない。攻めてきたのは日本とアメリカだったと言います。
第一回シンポジウムで基調講演をした元知事の稲嶺恵一さんは、中国は 100 年先までの長い時間の中で物事を考える。難しい問題も歴史の推移の中で解決策を見出していくとして、暗に中国の軍拡が脅威だ脅威だと言って対決姿勢を鮮明にするアメリカや日本をけん制しました。
第二回シンポジウムの基調講演をした張鈞凱さんも同じようなことを言っています。アメリカは善か悪か、勝つか負けるかのゼロサムゲームで物事を考え、推し進める。しかしこの発想は戦争にしか向かわない。中国やアジアの私たちはこれとは違った発想を持っていると。日本もアジアに含まれますが、アメリカ的な発想に毒されていることを批判しているのです。
2)一つの中国と「台湾有事」
アメリカが対中国の戦略を明確に打ち出し、日本もそれに追随して大軍拡を進めてます。そして中国が近いうちに台湾に武力行使をするという情報を拡散し危機を煽っています。そのことはすでに述べました。しかし第三回シンポジウムの中国からの登壇者、呉寄南さんも厳安林さんも、中国が台湾を武力統一をすることを否定しています。台湾統一は中国政府の悲願だが、あくまでも平和的統一が原則だといいます。武力行使があるとすれば、中国の国是である「一つの中国」の枠組みが壊されたとき、すなわち台湾が独立を宣言したり、外国が介入して台湾の統一が不可能になったときだと言います。台湾の登壇者も一つの中国の原則は台湾の憲法に規定された原則でもあると述べています。
第三回シンポジウムの基調講演をした元駐中国大使の宮本雄二さんも明確に述べています。「一つの中国」の原則は 1972 年の日中共同声明や 78 年の日中平和友好条約で日本が支持するとした国際約束であり、アメリカも同様の立場を約束していると。
ここまでは疑問の余地のない事実です。
だとすると台湾統一は中国の国内問題ということになります。安倍元首相がいうような「台湾有事」は「日本有事」」でも「日米同盟の有事」でもないのです。また、日本は中国の立場を公式に支持しています。なのになぜ日本では台湾が中国に侵略されるとか、台湾の自治権を脅かす中国はけしからんという世論が形作られているのでしょうか。
私は中国が武力で台湾を統一することにも反対ですし、台湾の中に独立したいと考える人がいることも当然だと思っています。しかし今私たちの目の前にある最大の命題は戦争を起こさせないということです。中国が好きか嫌いか、台湾の独立を支持するかどうかの問題ではありません。台湾が独立するよう仕向けたり、政治的、軍事的に介入すれば確実に戦争になることが分かっているのですから、現状を維持し、時間を稼ぎ、時間をかけて平和的な解決の道を見出していくしかないのです。台湾の世論の大半が現状維持であるということは、台湾の人たちもそのことが分かっているということです。
あまりに明快なこの論理を、善悪論や人権論をさしはさむことで逸脱するのはとても危険なことです。戦争は作られるという大局的な視点に立てば戦争は止められるのです。台湾有事は起こらないのです。起こすとすれば私たちかもしれません。
ここで第三回シンポジウム「中国との対話」をオンラインで聞いた石垣島の若い友人花谷まゆさんのメッセージの一部を紹介します。
「石垣島の陸自配備計画が持ち上がった当初、私自身『中国は怖いけど陸自配備は反対』という意見でした。中国と台湾の関係も知らなかったけど、今は一つの中国原則というものを理解できます。日本も米国も公式には台湾は中国の一部だと認めているのに、台湾の(中略)独立支援するような動きや報道をしていて、おかしいと分かるようになりました。」「どんな識者や専門家の話を聞くべきなのか、判断がつかない時は、みんなの命が大切にされるにはどうするべきかを前提に置いている人の話を聞くようにしたら良いと思っています。一部の犠牲は仕方ないという考えは危険です。」
このメッセージは「中国は怖いけど自衛隊基地には反対」という立場だった花谷さんが、この矛盾を突き破る視座を獲得したことを雄弁に語っています。
Ⅳ.これからどうしたらよいか
さて、「台湾有事」は起こらない、と言いましたが、危機が作られているのも事実です。危機の実態と構造が見えている沖縄の私たちが動かなければ戦争は止められないかもしれません。そのためには大切だと思うことを4つお話して講演を終わります。
1.戦争を起こさせない視座
私たちが戦争を起こさせないための目・視座をしっかり持つことです。
①視座の一つ目は「戦争は作られる」「分断は作られる」という戦争のカラクリを見抜く目をもつことです。
②二つ目は先ほど述べた「一つの中国」原則を前提に緊張緩和と平和的解決を目指すしか戦争を止める術はないという認識を多くの人と共有することです。
2つ目が特に重要だと思うのは、中国に対する日本人やアメリカ人の感情はヒステリックで複雑なものになっているからです。中国国内の人権問題や少数民族問題に絡めて中国を危険視したり、日本の GDP の3倍以上に経済成長したことへの妬みや恐怖心まで絡んできているからです。私はそれらを全面否定するつもりはありませんが、戦争を起こさせないということは別次元の問題なのです。ここでブレたら戦争の流れに飲み込まれます。アメリカの市民に連携を求めるときも、この視座を共有できなければ難しいのではないかと思います。
2.台湾との共同声明
次に大事だと思うのは台湾との共同声明です。
一つ目と大いに関係しますが、台湾の人たちと対話し、交流し、戦争を起こさせない視座を共有することが大切です。中国やアメリカ、日本本土、東南アジアの人々との対話、交流し、戦争反対の大同団結をすることもとても重要です。しかし、沖縄と同様戦争被害の当事者になる台湾の人たちと共通の認識に基づいたメッセージが作られなければなりません。台湾の人たち抜きでは、沖縄が被害に合わなければいいのか、台湾を見捨ててもいいのかといった転倒した批判に晒されかねません。特に欧米の市民団体はその傾向が強いのではないかと思います。台湾にもさまざまな立場や意見があって簡単ではないですが、やはり乗り越えなければならない壁です。
3.世界一斉行動
次は世界一斉行動です。沖縄には独自の国際的なネットワークがあります。辺野古新基地反対運動では世界の環境団体や平和団体と連携して運動を展開してきましたし、アメリカや中南米をはじめ世界中にウチナンチューのネットワークもあります。これらすでに連携がある団体と協力して時期を決めて世界で一斉行動を起こす必要があると思います。個々別々に行動していてもアメリカの安全保障に関わる問題ですからメディアに無視されてしまいます。一斉行動とは例えば共同声明の世界同時記者会見などが考えられます。カンボジア紛争の際、ベトナムの傀儡政権だという理由でカンボジアは人道援助も含め国際社会による経済制裁を科されたいました。そのとき私たちの団体がやったのは「国際的な弱いものいじめ」という本の国際共同出版と世界同時記者会見でした。
4.軍事化を止める
4つめです。戦争が仮に起こらないとしても、日本の軍事化は進みます。ある意味それが本来の目的で、軍事化を進めるために本当に戦争になりかねない危険なゲームをしているとも言えます。台湾有事が起こるという前提で琉球弧のミサイル基地化やミサイルの長射程化、米軍との共同作戦が既成事実化しているし、土地規制法が住民や自治体のさしたる反対もなく施行されているのです。
これには時間がありません。後戻りできないのですからなるべく早く止めなければなりません。そのためにも台湾有事が起こるという前提、そして中国脅威論を空洞化し、払しょくしなければならないのです。
まだまだできること、やらなければならないことは沢山あります。しかしやはり最も重要なのはまず沖縄の人間が結束することです。分断を乗り越えて、作られる戦争を止めましょう。「沖縄を再び戦場にさせないために」沖縄の人たちが結束するために、皆さん共に頑張りましょう。
たにやま・ひろし1958年3月18日東京生まれ。
1986年から2018年まで日本国際ボランティアセンター(JVC)勤務。2006年から2018年まで代表理事。現顧問。2015年から2019年まで国際協力NGOセンター(JANIC)理事長。現在は、沖縄対話プロジェクト呼びかけ人兼実行委員、土地規制法対策沖縄弁護団事務局次長、日本イラク医療協力ネットワーク(JIM-Net)顧問、市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)コーディネーターなど。沖縄県名護市在住。著書に、『NGOの選択』、『NGOの源流』(共に共著、めこん)、『福島と生きる』(共著、新評論)、「『積極的平和主義』は紛争地になにをもたらすか?!」(編著、合同出版)、『非戦・対話・NGO』(編著、新評論)、「平和学から世界を見る」(共著、成文堂)など多数。
初出:「ピースフィロソフィー」2023.11.5より許可を得て転載
https://peacephilosophy.blogspot.com/2023/11/taniyama-hiroshi-overcome-divisions-and.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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