財政破綻論への疑問

アベノミクス初期のころ盛田先生の論考には大いに勉強させていただき感謝しているのだが、最近の主張は???と感じる部分が多い。

最近の「日本の財政は破綻しているのか、いないのか」も、同様な印象を持った。

今回は一点だけ指摘させていただく。

国家財政をわかりやすく説明するために、次の例が使われている。

「一般家庭にたとえると、年収の倍の支出を埋めるために銀行から年収分に相応する融資を受けているのと同じである。しかも、すでに借金の累積は年収の20年分に達している。こういう家庭の収支を見て、「破綻していない」と言えるだろうか。」

 

この例は毎年国家予算案が公表された際に新聞各社がかならず使用するごく見慣れた例であるが、この例がよろしくない。

あえてこの例を使うのなら「銀行」の部分を「両親」に直さなければならない。

つまり「一般家庭にたとえると、年収の倍の支出を埋めるために両親から年収分に相応する融資を受けているのと同じである。しかも、すでに借金の累積は年収の20年分に達している。と。

しかし、この両親は息子への貸金の3倍の資産を持っているのである。

この家庭は、はたして破綻しているのだろうか?

私は破綻していないと思うし、借金も返済できる(正確には相殺できるということだが)と思う。

前提となる事実

「GDP500兆円、国家財政規模(財政支出)100兆円、財政収入50兆円、国家累積債務1000兆円(GDPの200%)」

このなかになぜ「国民の純資産(国富)3000兆円を加えないのだろうか。これを加えることによって違う世界が見えてくる。