運転者ネット情報/2.20組合員集会報告

著者: 松岡宥二 まつおかゆうじ : 新産別運転者労働組合・運転者ネット
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継続就労者には厚生年金加入を

2月20日(日)、組合員集会が開催されました。昨年9月7日に行われた労供労連と東京環境保全協会(東環保)との労使協議会で、東環保から提案された、週40時間労働、みなし残業、雇用保険・健康保険・厚生年金の加入(事業所の被保険者になる)等、労働基準法違反状態の解消に議論は集中しました。

発言者の多くは、厚生年金に加入させられていないので、働けなくなったら生活保護に頼るしかないと、老後の不安を訴え、三法(雇用保険・健康保険・厚生年金)の被保険者にするように経営者側に要求すべしと訴えました。ある組合員からは、年金は老齢年金だけでなく、生涯、遺族年金もあるので、年齢にかかわりなく法律に従って加入すべきであるとの指摘もありました。会場で、年金に加入している者を調べましたが、加入しているとして挙手したものはほとんどいませんでした。

こうした組合員の発言に対して、集会の司会者(専従役員)は「経営側の真意は、週40時間労働の実施や厚生年金の加入を積極的に実施しようということではない」と、経営側に要求する姿勢を示しませんでした。

健康保険や厚生年金の加入義務を怠っている事業所(労働者数は約2000万人)は全国的に膨大な数で、その金額は16兆円にも達するといわれており、国会でも問題になっています。

例えば、「朝日新聞」(2011.3.6)には、「厚生年金加入『非正社員にも』 首相が意向」というタイトルの記事が掲載されている。

それによれば、(以下、引用)「菅直人首相は5日、税と社会保障の一体改革を議論する集中検討会議で、『非正規労働者の人たちに社会保険に入ってもらうことは、ほとんど合意ができている。全力を挙げてやってみたい』と述べた。会社員が対象の厚生年金の加入条件を緩め、非正規雇用の労働者にも対象を広げる考えを示したものだ。

雇用の流動化や就職難から、パートの主婦に加え、最近は若い世代にも非正規労働者が急増している。本来は自営業者を対象にした国民年金加入者のうち、今では雇用されている労働者が4割を占める。そこで将来の不安を減らすためにも、老後に受け取る年金額が比較的多い厚生年金への加入を促す狙いがある。与謝野馨経済財政相は5日の会議後の記者会見で、「非正規労働者が社会保障から取り残された存在になると、将来の無年金、低年金を作り出してしまう」と強調した。

現行制度では、非正規労働者でも労働時間が正社員の4分の3(通常週30時間)以上なら厚生年金の対象になる。年金改革論議の中で、こうした条件を見直していくことになりそうだ。医療保険でも、大企業の会社員が入る健康保険組合や中小企業社員向けの協会けんぽに非正規労働者が加入できるよう検討する。

自公民政権時代にも、厚生年金の対象に非正規労働者を加える法案が提出されたが、廃案になっている。」

かつて、太田書記長は「生活保護を受けるのは国民の権利だ」といいましたが、法律に違反して加入義務を怠っていて、権利だけ主張するのは誤りです。

来年度の東京23区の生活保護費は15%も増加(4133億円に達している「東京新聞」2011.3.8)して、台東区は一般会計の23%にも達します。足立区の生活保護費は483億円にもなり、健康保険や厚生年金の未加入は国や地方の財政を圧迫しているのです。

高齢者に仕事を

新運転に年齢制限はありませんが、事業所が高齢者を使用したがらない現状なので、実際には高齢者が就労することは困難です。高齢者対策として特対部が設置され、企業組合ロマン交通を設立しましたが、両者とも高齢者組合員のために機能していません。

東支部の組合員10数名が、野菜の栽培と販売、廃油の回収、便利屋、リサイクルなど、高齢者ができる事業を計画立案して、新運転として取り組むことを提案しました。こうした事業を展開するには、法人化が必要になると思われます。

スペインのモンドラゴン等、ヨーロッパには多くの労働者協同組合(出資した労働者が働く)があります。日本には労働者協同組合はありませんが、それに似た組織として、中小企業等協同組合法による「企業組合」があります。新運転には高齢者対策としての企業組合ロマン交通が認可されています。

企業組合ロマン交通は、患者輸送サービスの事業をしていますが、高齢者には無理な仕事で(従事している組合員もなく)、巨額の負債を抱えており、組合員集会でロマン交通の総括と清算を求められています。これとは別個に企業組合の事業を進める必要があります。

今週会の活発な討論を継続するため、5~6月に再度、組合員集会を行うべきです。そして、労使協議会に現場の声を反映し、コンプライアンスを実現すべきです。

初出:「新運転・労働者ネット」第34号(2011.3.15)より転載

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座  http://www.chikyuza.net/
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