東京の環境団体の会報で、チェルノブイリ法日本版の特集を組んで貰うことになり、数日前、なんとか、私の担当の原稿を書きました。
いざ書いてみて、改めて確信したことは、311以後の異常事態(原発事故関連のみならず、安保関連法、共謀罪の成立などなど)が全て1つの太い線でつながっているという事実です。
だから、この異常事態を根本から正常化する必要があり、そのためのキーワードは命を守ること、その最初の一歩はチェルノブイリ法日本版であることを一層確信しました。
以下、今回の原稿を書いた動機と経過に関する私的な感想です。
この秋、チェルノブイリ法日本版の学習会で、関西・中部と北海道に行きます。福島でも準備中です。
よろしくどうぞ。
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311原発事故のあとに知り合い、強く影響を受けた一人が郡山から富士宮市に自主避難した長谷川克己さんです。数年前、長谷川さんから聞いた「連戦連敗、百戦百連敗」という言葉が頭に焼き付いていて、今回の原稿を書くきっかけになりました。
なぜ、311以後、かくも連戦連敗、負け続けるのか? その原因を考える中で、自分が311以後の現実にものすごく遅れていること、全く追いついていないことに今さらながら気がつきました。
自分の認識の遅れに気づかされたのは、ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」を手にとって、読んだとき、これは俺たちのことについて書かれたものではないかと気がついたときでした。
私たちは、決して裸眼でじかに世界を眺めることはできず、なんかしらのメガネをかけて世界を眺めるのですが、今回、「ショック・ドクトリン」というメガネをかけてみて、余りにもピントがピッタリ合うのに驚愕しました。
その中で、自分がボケとまでは言わなくても、ピントのボケた空想的なおめでたい考えに陥っているのに気づかされました。
例えば、今まで、漠然と、311原発事故は国中が翻弄された不幸な国難ではないかと思ってきたのですが、実際はそれとは正反対で、放射能災害を千載一遇のチャンスと捉え、これを食い物にして今まで出来なかったメチャクチャな政策を実現した「惨事便乗」の確信犯の犯罪であると再認識しました。
山下俊一は決してぶっ飛んだ変わり者なのではなく、国難で茫然自失に陥った市民を食い物にする「ショック・ドクトリン」のエッセンスを体現する確信犯の中心的人物、それゆえ彼の責任は重大で極刑に値する人物だということです。
私ごとで恐縮ですが、私の父親は仏様と言われ、お人好し、温厚を絵に描いたようなもの静かな人間でした。
http://song-deborah.com/zizi/
私の子ども時代、その温厚な彼が私の前で「天皇は死刑になるべきだ」と口にしたので、「この人はなんて過激な人なんだろう。頭おかしいんじゃないか」とビックリした記憶があります。母親から「何をバカな寝言を言っているだい」と一蹴され、それ以上話はしませんでしたが、
しかし、彼は死ぬまで、天皇に戦争責任があり、その責任を取って死刑になるべきだという考えを曲げませんでした。
彼は、終戦一週間前に、今の北朝鮮の羅南で現地召集され、終戦、シベリア抑留からの逃避で満州平野を逃げ回り九死に一生を得た経験で、戦争の悲惨さを思い知り、その最高責任者(=天皇)の責任の重大さを確信していたからです。
http://farawayfromradiation.blogspot.com/2014/05/2014228.html
このとき、彼は、異常な現実をひたすら正確にとらえようとしただけで、その結果、おのずと天皇死刑論が引き出されたのでした。だから、その認識は温厚な彼の性格と矛盾するものではありませんでした。
なおかつ、このとき、彼は国の権力者・支配者の正体を考える時、決して、お人好しの自分を鏡にして眺めることをしませんでした。権力者・支配者が無慈悲なまでに従う「支配のルール」というものを冷静に見極めようとしました。
父親のこの2つの教え「異常な現実を正確に捉えようとすること」「決して自分を鏡に権力者・支配者の正体を考えないこと」を思い出し、今回の原稿を書き上げました。
その結果、チェルノブイリ法日本版の制定なしに、311後の「ショック・ドクトリン」の中では生きていけないこと、私たちの未来はないこと、これを改めて、一層確信しました。
私もまた、父親に見習って、たとえ性格はお人好し、温厚を絵に描いたといくら言われようとも、認識は異常な現実を無慈悲なまでに正確にとらえようとするリアリストでありたいと思います。
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion7995:180914〕