「国会前、女の輪から焔(ほむら)立つ」(舞祥)
寒風が吹きすさび、実際の外気よりもはるかに体感温度は低く、底冷えのする天気だった。
妻に誘われて国会前に行く。逆動員されたのは初めてかもしれない。「日比谷公園」あたりに来た時、既に遠くからスピーカーで何か喋っているのが聞こえた。
最初に経済産業省前「テントひろば」に立ち寄る。彼女はそのまま国会前に向かい、私は久しぶりのテントに入りこみ、当番で張っていた方たちと交流する。その内、知り合いの方々も何人かやってきて、一緒に雑談をしながら、この日まくチラシの折り込みなどを手伝った。なにしろこの日は「赤い色」を身体に付けての集まりであり、彼女はわざわざ赤いコートを羽織っての参加であるが、こちらは、赤色の衣類は何も持っていない。それ故、ここでの待機と相成ったのだ。或る人が、そこに赤いマフラーがあるから、それを巻いて行ったらどうだと言ってくれたのだが、どうも気後れしてそのまま居座ることにした。
国会は二重のヒューマンチェーンで取り巻かれているから、多分1万人以上は来ているだろう、という報告。
さすがに「赤い色」での集まりは迫力もあるし、何しろきれいだという報告。
嘗ての三派全学連の集会みたいで、その内、青や白の色分けになって来るんじゃないの、というもの。
メディアはどう放道するんだろうか、これだけ派手なデモなんだから、まさか無視はできないだろうね。いや、分からないよ、このところ記者連中がすくんでいるからね。NHKはまず何もやらないだろう(この点では衆議一致)。
この「赤い色」は何を意味するの、という誰かの問いに、アリストファネスの風刺劇『女の平和』が戦争をする男たちに、セックス拒否を宣言して「反戦」を訴えた事例からきているのではないかという意見。いや、そうではなくて1975年のアイスランドで起きた「女性の地位向上」のための女性たちの家事放棄デモ・大集会で「レッド・ストッキング」を身につけたことがそのいわれだそうだ、というもの。なかなか皆さん方は博識である。
外では寒風をモノともせず、2時半過ぎてもまだ国会めがけて赤い上着をなびかせて走って行く女性たちの姿がちらほら見える。
男たちがだらしないから、そのうち女たちに尻をたたかれることになりかねないな、と誰かがしみじみつぶやく。
テントの中は、何とか雨風はしのげるものの、やはりかなり冷える。勿論外よりかはずっとましではあるが。こういう強風の時は、隙間風の襲来が凄い。
3時頃、赤いマントを着こんだ年配の女性が、あまりの寒さに帰って来たわ、と言いながらテントに飛び込んできた。
第二弾、第三弾のこの種の企画をやらなくては、意味がなかろうと思う。
妻の感想は、まだまだ若い人たちの姿が決定的に少ない。相変わらず年配者中心で、デモのわきを通り過ぎる若い女性たちに呼びかけても、照れ笑いをしているだけだった、と憤慨。大手メディアが完全に無視(自主規制=委縮)している(「東京新聞」のみが一面報道)現状を打開するためには、われわれのような小さなメディア報道が一層頑張らないといけないし、多くの人たちに呼び掛けるためには、更にもっと別の伝達方法も考えて行かなければなるまいと思った。
〔opinion5127:150118〕