2011年11月9日 連帯・共同ニュース第184号
9条改憲阻止の会
■ 「長く編まれた毛糸の紐で経産省を包囲するという発想は男どもからは生まれようがない」。10月29日の「原発いらない福島の女たち」の座り込み最終日に実現した行動について僕の周りにいた人が漏らしたものだった。僕も同感だった。この毛糸の紐が意味したものを経産省や原子力ムラの住人たちがどのように理解しえたかは疑問だ。彼らはその意味を分からなかったかも知れない。あるいは分かったにしても理解を拒もうとし推察される。この毛糸の紐はそれを編んだ人々の意志の表現であり、こころの底からの声である。脱原発の決意であり静かであるが力強いものである。この背後には人々の生活や生命からの息吹が匂い立っている。経産省の官僚たちが無視しても真綿のように締め付け続けるものである。この毛糸の紐の意味を汲み取らなければ彼らがやがては立ち行かなくなることも疑いない。原発再稼働→原発保持の戦略を締め続ける力としてそれは深く、広く広がっていくものだからである。来年の春には原発の全機が稼働を停止する。それが一つの山場をなすが、それを含めて脱原発の闘いは長期戦になる。僕らは原発いらない社会から国民の声や意思で動いていく社会へというビジョンを持ってこの長期戦に向かう。
■ 僕は経産省や原子力ムラの住民たちが原子力行政を取り仕切ってきたと認識している。よく言われるように政府は彼らの企画や立案にただ判を押して承認してきただけある。原子力発電の推進には専門的な知識と判断が要したからであるが、体制や権力を実体的支配してきた日本の伝統的な官僚の存在ということもある。原発の存続を決める戦略や政治的構想が経産省や原子力ムラにあり、野田政権はそれに主導されていると思う。財務省に主導された増税路線と同じである。経産省や原子力ムラは福島第一原発の事故の中でもそれの収束や事態の解明に意を注ぐ以上に、原発再稼働→原発保存の戦略を描き、そこから次を構想してきた。後手に回る情報の開示や隠ぺいなどはこの戦略から出ている。また再稼働をめぐる動きから垣間みえるのもそれである。僕らはこの経産省の戦略に脱原発運動の集中点を定める。同時に人々の声や意思を広げても行く。
経産省に集中的に対抗する運動は脱原発運動の広がりに結び付く。9月11日の経産省包囲はその後の二カ月の間にテント前広場や女性たちの座り込みなど多くの運動を生みだしてきた。これをさらに発展させるために11月11日(金)に再度の経産省包囲がある。11日16時から宣伝活動があり、18時からキャンドルを持った人々の経産省包囲が展開される。 (文責 三上治)