産経WEB(9月2日)によれば、扶桑社の歴史偽造教科書の後継である育鵬社歴史教科書が、来春から「約4万4500人の中学生に押し付けられるという憂慮される事態になりました。この育鵬社の歴史教科書を他一社の「普通の!?」教科書と比較しながら、その歴史の偽造と真実の近現代史を考えていきます。御都合のつく方は、どうぞ、ご参加ください!
○日時 11月10日(木)19:00~21:00
○場所 東京中野・協働センター・アソシエ
中野区中野2-23-1 ニューグリ-ンビル309号 中野駅南改札口1分
電話 03-5342-1395
○テーマ 「日露戦争(なぜ、ロシアと戦争をしたのか?)」
○内容
育鵬社歴史教科書は「ロシアとの激突・日露戦争」において、イラストの中学生に「この戦争は日本にとって、どんな意味があるんだろう」と言わせています(P172)。一番、大切なことは「なぜ、『この戦争』を日本はしたんだろう」のはずですが、こういう疑問は、中学生に持たせたくないのでしょう。
したがって、この教科書によると、戦争の原因は「ロシアでの極東での軍備増強をこのまま黙認すれば、わが国の存立の危機を迎えると考えた政府は、開戦を決意し、1904(明治37)年2月、日露戦争が始まりました」(P173)!? となっています。なんとも、呆れるしかない歴史偽造をシャーシャーと・・・「朝鮮を以テ我ガ勢力区域二収メント欲セバ先ツ露ト戦ヲ開クノ決心ナカルヘカラズ」以外に、日露戦争の原因は有りませんでした。
育鵬社教科書記述は「日露戦争は偉大な祖国防衛戦争」と、歴史を偽造して中学生に教えたいのです。また、「戦争が始まりました」などと「台風が来ました」と同格に「戦争」を主語にしていることにも呆れます。「戦争が」自然に「始まりました」なんて、あり得ないでしょっ!? 「政府は、開戦を決意し」なのですから「戦争を始めました」としなければ日本語文章としても、歴史事実としても不適切・・・文部科学省の検定、って、いったい何を見ているんでしょうかね?
その他、日英同盟を結んだ小村寿太郎を「国益以外念頭にない人」と「国家益」に邁進した人物を手放しで称賛し、20万に及ぶ戦病死・戦傷者の悲惨な数字=「国民益の大幅マイナス」には一切、触れていません。今から約100年前の大正デモクラシー期、予備役騎兵大尉でさえ日露戦争について「参謀本部は十余万の青年を満州に誘き出して虐殺したもの」と喝破しているのに・・・
日清戦争のときには無かった反戦運動が日露戦争の時は起こったことにも一切、触れていませんし・・・「陸軍大佐明石元二郎は、ロシア革命への動きを支援し、ロシアの世論を講和締結へと導きました」などという真っ赤なウソを書いていることにも呆れるしかなく・・・現在では、研究者によって「(※明石工作は)ロシア1905年革命の帰趨にはほとんど影響を与えなかった。もちろん、日露講和条約の締結とも、何らかかわっていない」と明らかにされているにもかかわらず、『坂の上の雲』と全く同等の歴史偽造の記述をしているのです。
読めば読むほど、こんなシロモノを「教科書」として中学生に渡していいのかと、怒りが湧いてくる「日露戦争」記述の徹頭徹尾の歴史偽造を、史資料に基づいて見ていきます!