植村裁判を応援してくださる皆様へ
先日ご案内した東京訴訟第11回口頭弁論のご報告をいただきましたのでご紹介しま
す。
- 抽選はなく、90席余の103号法廷の廊下に開廷30分前から80人近くが並びました。
裁判は、原告弁側に中山弁護団長、神原事務局長ほか原告の植村さんなど10名あま
り、被告側に喜田村弁護士ほか1名という状況で始まりました。以下、被告の杜撰さ
と悪意を鋭く突いた原告側の準備書面説明、今後の裁判進行をめぐるやり取りです。
【穂積剛弁護士】本日の第10準備書面について説明します。
最高裁によれば、事実摘示とは証拠で証明可能なものをいい、意見や論評は事実に
なじまないものをいう。「捏造」という言葉は文脈上、比喩でない限り事実摘示であ
ると言える。ただ万が一、「捏造」についても意見や論評であるとされるとしても、
その前提事由が事実でない場合は免責事由にあたらない。
甲5号証について検証すると、西岡氏は原告による金学順さんの記事については2
点捏造があるとしている。
「女子挺身隊の名で」という表現について「本人が語っていない経歴を付け加えた
のが、これこそ捏造だ」としている。金学順さんが語っていないと。前提事実とし
て、西岡氏は、植村記者が取材した金学順さんのテープや記者会見で、「挺身隊の名
で」とは述べていないと主張している。
しかしテープは原告も確認していない。西岡氏はどうやって確認したんこあ。金学
順さんが「挺身隊」と言っていないという証拠などもない。むしろ他紙は、金学順さ
んの記者会見の記事について「挺身隊慰安婦」「私は挺身隊だった」と韓国の東亜日
報や中央日報も書いている。金学順氏自身が挺身隊と言っていたという可能性が高
い。
西岡氏は著書の「よくわかる慰安婦問題」で、「韓国では挺身隊は慰安婦のことだ
と誤解されていた」と書いている。金学順さんが自分のことを「挺身隊」と述べたと
してもおかしくない。それなのに、金学順さんが「挺身隊」とは言わなかったという
ことを断言できるのか。支離滅裂だ。
2点目。金学順さんは「そこに行けば金儲けができる」と言われたとされている。
西岡氏は原告の記事について「義父を登場させず、地区の仕事をしている人という正
体不明の人を出してきた」と指摘し「キーセンとして売られたという事実を隠した」
と主張している。これについて検討します。
原告の記事2本のうち2番目の記事は、原告が同行取材した際に書いた記事の表現
が、訴状に書かれていないことを根拠に「捏造」と言っている。しかし、聞き取りの
際に一緒にいた団体の記録によると、このとき金学順さんんは「里長に勧められた」
と語っている。また弁護団の記録では「区長に説得された」とある。原告の記事は、
金学順さんが言及したことを表現したのにすぎない。
聴取記録は公開されていないが、西岡氏は、「地区の仕事をしている人」という表
現について「創作だ」と断定しているからには、その断定の根拠が求められる。とこ
ろが西岡氏は、断定した根拠を示していない。周辺取材もない。西岡氏が「創作」と
信じる相当の理由がありません。
実態は、西岡氏が主張することと正反対なのであり、西岡氏は確信犯なのではない
か。事実は妥当しないと知っていたのに「捏造記者」扱いしていたとしか思えない。
裁判所におかれては、西岡氏の悪質性についてもご考慮の上、判断を下されたく存
じます。
【裁判長】進行については。
【神原元弁護士】書面で提出しました。
【裁判長】被告は。
【喜田村洋一弁護士】特にございません。進行協議で示した通り。
【裁判長】次回は4月25日午後3時半ということで、その次くらいには証人尋問
を。法廷の確保が必要なので日程を押さえておきたい。
【神原】9月の2日間を押さえてほしい。
【裁判長】2期日にわたるのか。
【神原】こちらの希望です。
【喜田村】裁判所のお考え通りで。1期日でいいと思います。
【裁判長】9月だと準備の関係がある。次回弁論は4月25日で、こちらでそれまで
に進行していって、9月の期日については分からないので、提示できるかどうか検討
したい。7月だとすると難しいか。
【神原】準備があるので。
【裁判長】では7月の仮押さえというのはやめて9月にしてほしいと。
【神原】そのようにお願いします。
【裁判長】進行についての意見は、立証計画の範囲で、裁判所が日程を決めて連絡し
ます。そちらの考えは。
【神原】前回提出した通りなので、こちらとしては、西岡氏が札幌の訴訟で明らかに
した陳述内容についての反論の準備を進めている。
【裁判長】被告は。
【喜田村】決定しているわけではないので、この場で言われても。決定できるような
ものを渡したい。
【裁判長】書面は4月11日までに提出ということで。
【神原】何を出すか報告するということですね。
【裁判長】それまでに被告もご準備を。
以上です。
証人尋問の日程について、裁判長は7月、原告側は9月と主張、被告側は裁判長に同
調し、西岡氏の発言を回避(ぼろが出ないように?)して、早く終わらせたいような
気配が感じられます。西岡氏は札幌訴訟へ陳述書を提出しました。原告としてはそれ
を東京訴訟でも生かしたいと考えています。今後の進行は流動的ですが、9月に証人
尋問となれば、年内に結審、判決が来年3月ということも。次回期日は4月25日に
決まりました。東京訴訟も今年が山場です。これからも関心を持ってくださることを
お願いいたします。
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