放射能と月と再生 ―語り合おう再生可能文化を!
第4回テント談話室 (最終回) 「出生と死と再生の文明へー女性の立場から」
課題提起 高良留美子(詩人)
日時・2月27日(月) 午後3時~5時まで
場所・経済産業省前・反原発テント村――入室無料
詩人・高良留美子が語る「再生の文明」(前回予告した「自由民権運動と福島―志を肥やす」を変更)
メインタイトルの「放射能と月と再生」にある「月」は再生文化・文明の象徴であり、同時に太陽神(この国では天照)以前は女性中心社会の生と死の循環、その象徴でもあつた。こうした人類史を未来に繋ぎつつ、再生不能な原発を打つ。
詩「産む」
産むという漢字は 女が座産(ざさん)をしているところを表したものだ と
聞いたことがあったかなかったか
原子力発電所の建った村に わずかにのこされた産小屋で 年老いた女が
繰り返してきたお産を語る
天井からたれ下がった一本の力綱 砂の上に向き合あうように積み上げられた
二十四個のわらの小束 女はそのわら束にもたれかかり
縄をつかんで からだを浮かした
日本海の鈍(にび)色の波が岸辺を打ち 降りかかる雪が海に消える
産道に似た道が 村を横切る 女たちはそうやって産み 産みつづけてきたのに
道はいつもあらぬ方角につづいていた
人は道に行き暮れ 分かれ別れにされ 迷い 暗い渦に巻き込まれる
人は帰るところを失い 立ちつくす
産むという漢字のなかにある生という字は 生まれてきた赤んぼうを表したものだ と
聞いたことがあったかなかったか
肛門のところをかかとで押すと 赤んぼうがそっちの方へいきたがるのが
防げるんだよ と
海からだけ光のはいる産小屋で
四人の子を産んできた女は語る(以下略・『高良留美子詩集』より)