オーストラリアの『エイジ』紙によれば、『エイジ』紙がウィキリークスから独占入手した東京発のアメリカ公電の中に2008年から日本政府の内閣情報調査室が対中国・対北朝鮮・対テロ攻撃目的の諜報組織を設立したと報道しています。
『エイジ』紙によれば日本が人的諜報組織を再建するのは戦前の特高警察以来で、この決定は福田内閣時に行われ、麻生内閣へも引き継がれたものだとのこと。当時の三谷秀史内閣情報官は柳俊夫公安調査庁長官も同席したアメリカ国務省調査局のランドル・フォート局長との会談で、「(最優先は)人的諜報」の分野だと説明し新たな人材訓練プロセスが開始されることを説明し、また、フォート局長は日本企業や商社の海外ネットワークの”遊休資産”(潜在能力とでもいえばいいか)を選んで活用することを促したと報じています。
第一報の段階ではこの公電の重要性は判然としませんが、日本が人的対外諜報組織の再構築に本格的に乗り出したこと、またそれには民間ネットワークを活用するというアイデアが出てきたとのことのようです。教育や鉄道など公共サービスが国有から民営化する流れの果てに民間軍事会社の勃興などがありますが、日本では諜報組織のアウトソーシング、いわば民間諜報ビジネスが成立する様になるかもしれません。国家機関としては対外諜報活動を行わないという、戦後平和憲法の呪縛に政府自身もまだ縛られているということでしょうか。