「日米安保条約」を破棄するぞという市民の方全部へ
2012年3月31日に明治リバティーにおいて「日米地位協定を問う」というシンポジュームが開催されました。主催は「伊達判決を生かす会」です。砂川闘争で米軍基地に突っ込み、被告となった坂田茂氏、土屋源太郎氏や塩川喜信氏、正清太一氏が共同代表を務めてます。伊達秋雄裁判長が下した、「日米安保条約は憲法9条に違反する条約であり、その条約が根拠となる米軍基地へ侵入しても有罪ではない」という過去の無罪をひっさげ、安保条約無効を叫ぶ高齢者四人衆です。事務局長の吉沢弘久氏も高齢者ですが、いずれ劣らぬ平和の志士であり、その行動力たるや並の青年ではかないません。私などとうの昔に還暦も過ぎたというのにまだぞうきん以外は持ったことがありません。光栄に思ってはいますが。
それはさておき、このシンポジュームで特筆すべきは、会が常々提唱している「16号共闘」と「党派を超えて」を見事に実証したシンポジュームであったことです。私達はこの事実をもって本年を「安保破棄元年」とも言い、その礎としての「日米地位協定段階的消滅」の始まりとも言えると感じています。長広舌に飽きた方はここでこのメイルをすぐ削除して下さい。興味を持たれた方は継続してお読み下さい。
勿論、私は皆様が継続してお読み頂けると信じて疑いません。
追記:「16号共闘」とは国道16号に蝟集する米軍基地等の軍事施設の撤廃の為に行動する民主団体・反戦団体の共闘を目指す運動です。
冨久亮輔
「日米地位協定を問う」シンポジュームの概略
2012.04.10
日時 : 2012.03.31 午後13:00~17:00
場所 : 明治リバティータワー
主催 : 「伊達判決を生かす会」
参加者 : 230名
賛同団体 : 22団体
メッセージ : 沖縄5団体、衆議院議員5氏、参議院議員3氏
メッセージを寄せて下さった方
第3次米軍嘉手納基地爆音訴訟団長 新川秀清さん
第3次米軍嘉手納基地爆音訴訟弁護団長 池宮城紀夫さん
普天間基地から爆音をなくす訴訟団長 島田善次さん
辺野古ヘリ基地反対教代表委員 安次冨浩さん
沖縄平和運動センター 山城博治さん
元宜野湾市長 伊波洋一さん
衆議院議員 照屋寛徳さん 社民
玉城デニーさん 民主
瑞慶覧長敏さん 民主
近藤昭一さん 民主
赤嶺政賢さん 共産
参議委員議員 糸数慶子さん 無所属
山内徳信さん 社民
相原久美子さん 共産
賛同団体 (五十音順)
厚木基地爆音防止同盟 第4次厚木爆音訴訟団
麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会
安保無効を進める会
沖縄意見広告運動
沖縄・日本の基地を亡くす草の根運動
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック
神奈川平和運動センター
9条改憲阻止の会
静岡・沖縄を語る会
新宿懇談会
JUCON
タンポポ舎
日本平和委員会
反安保実行委員会
辺野古への基地建設を許さない実行委員会
変革のアソシエ
フォーラム平和・人権・環境
明大土曜会
横田基地の撤去を求める西多摩の会
横田基地被害をなくす会
横田基地問題を考える会
*ああつかれた。これだけいっぱい印字してきたのは「日米地位協定」の異常さ、不平等さを考えようという「伊達判決を生かす会」の提案に如何に多くの方々が「地域を問わず」、「党派を超えて」賛同して頂いたかを実感して欲しかったのです。今や革新たるものに垣根はなくなりつつあります。それは伊達秋男裁判長の功績であると考えています。
<主催者報告> ◇米軍立川基地拡張反対闘争と伊達判決の果たした役割
◇日米地位協定改正要求の必要性
<基調報告Ⅰ> 松元剛氏 琉球深奥政治部長
◇沖縄から命の重さの二重基準をただす。―地位協定改定のうねりをー
◇米軍ヘリ沖縄国際大学墜落事故―ビデオ上映―
*現実に起きた暴力・強盗・陵辱事件を例に取り詳しく説明
<基調報告Ⅱ> 新原昭治氏 国際問題研究家。
◇国民の権利より米軍特権を優先する地位協定の根源を衝く
*安保条約、地位協定等に関する日米秘密文書を調査
・研究結果を説明
<賛同団体代表自己紹介 > 日本平和委員会 フォーラム平和・人権・環境 等々
<国会議員挨拶 ・メッセージ>
< 全国基地爆音訴訟運動報告> 厚木基地爆音防止期成同盟 藤田栄治氏
<沖縄の現地報告> 沖縄訪米団代表団の活動など 沖縄一坪反戦地主・関東 吉田庄司氏
高江ヘリパッド反対闘争 9条改憲阻止の会 冨久亮輔氏
<主催者・司会者> まとめ・閉会
報告者のシンポジュームに対する感想:
基調報告者の松元剛氏も新原昭治氏も1時間15分の講演時間は窮屈そうであった。充実した内容であったが講演者の「もっと話したい」という気持ちが顔に出ていた。その分、懇親会で幾分は挽回させて貰った。再度の講演もお願いした(実現するかどうかは未定)。
それにしても主催者報告、賛同者挨拶、その他の報告、諸々の発言がそれぞれ長かった。この問題には相当の思い入れがある様子で殆どの人が時間超過をかまわず話し続けて司会者を困らせた(静かで発言が少ないよりも良いのだが)。予定の5時を過ぎても何時終わるか判らない熱気に5時半がきて「アッピール」提案ができなくなった。
会場の人は資料中の「アッピール」書を見て頂く事となったが、このメイル読者は下記の「アッピール」文を「伊達判決を生かす会」の提案と理解していただきたい。
送信者の戯言:
今回、米軍属の無謀運転による沖縄青年の死亡事故は被告の1年半の禁固刑が決定はしたものの米軍の「好意的配慮」という傲岸不遜な外交的(というより宜野湾市長選にたいする米軍の謀略的介入)がなさしめた結果に過ぎず、地位協定改訂の戦果とは言い難い。各飛行場の爆音訴訟は補償の部分は勝利するが「飛行差し止めに関しては司法が第三者行為論を盾に取り、いつも逃げ回っている。「高江・通行妨害恫喝裁判」も明らかに「住民の会」の分断を謀った謀略裁判である。「砂川裁判の」跳躍上告は言わずもがなである。司法が行政から自立しない限り、地位協定の改定はおぼつかないだろうと思量する。
ガティンナラン ! チャースガー ? 文責 冨久亮輔
アッピール
現在、米軍基地が南は沖縄の34ヶ所から北は北海道の18ヶ所まで、この東京にも8ヶ所あり、全国で133ヶ所を数えている。これらの基地の存廃、使用、基地に常駐しまたは利用する米軍人、軍属の日本における法的地位を定めた日米地位協定は、米軍占領時から1960年日米安保条約改定までの米軍特権優先の日米行政協定を引き継いで今日まで来ている。さらに、その運用について協議する日米委員会でも、また外務省の秘密マニュアル「日米地位協定の考え方」の内容でも、米軍特権優先の基本が貫かれている。
昨年1月、沖縄で帰省中の與儀青年を自動車事故で死亡させた米軍属が「公務中」の出来事であるとして当初は米軍の法廷で寛大に裁かれようとし、遺族や友人の猛烈な抗議から米軍の「好意的配慮」で日本の裁判に映され有罪となったことは、記憶に新しい。2004年8月に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、事故現場に駆けつけようとした消防・警察や市長、報道関係者が直ちに現場を米軍が占拠して立入りを阻止されたのも、地位協定に基づくとされた。厚木、嘉手納など基地爆音訴訟でも、爆音による健康被害の賠償金は認められるが、夜間などの飛行制限はまったく行われない。爆音被害に限らず米軍が起こす事件や事故による被害者への損害賠償は、地位協定の定めを超えて日本政府が支払っている。米国が負担すべき米軍の日本駐留の経費、基地の維持や移転に必要な経費の一部を、地位協定の規定を超えて日本が負担している「思いやり予算」には、年間3千億円、5年間で1兆円をはるかに超す国民の血税が投入されている。
米軍が常駐する韓国やドイツ、イタリアでは、地位協定の改定が行われ、それぞれの国内法適用度合いが濃くなり米軍の特権が薄くなっている。日本においても、米兵による少女暴行事件や沖国大ヘリ墜落事故などの衝撃的な事件・事故が起こされる度に、沖縄、神奈川などの県知事や議会から、また、弁護士会、青年会議所、連合などの諸団体から、地位協定改正の声が起きているが、歴代政府は改訂交渉に入らない。
與儀与儀青年の事件処理で遺族・友人の怒りに燃えた取組みが、米国の「好意的配慮」を引き出した。そして普天間基地移転、在沖海兵隊の移動が米国の財政問題からも問題になってきている今日、在日米軍基地周辺住民の生命・安全・健康が守られ、米軍に日本の法の遵守と国民の人権への配慮を義務付けるような、地位協定の改正を日米両政府に要求して行く機会である。小異を捨てて多くの運動団体が大同につき幅広い国民運動を展開し、日本政府がこれまでのような対米従属的な態度と縁を切り国民の側に立って地位協定の内容と運用の実態を改める交渉に臨むように、要求して行こう。
2012年3月31日
伊達判決53周年シンポジュウム「日米地位協定を問う」
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0856 :120412〕