【名護】「仲間を返せ」。新基地建設に反対を訴えて22日、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前に集まった多くの県民が、怒りに震えた。県民集会の開会を前に“狙い撃ち”のごとく米軍に拘束、その後県警に逮捕された沖縄平和運動センターの山城博治議長と男性1人の解放を求め、人々は「不当な弾圧だ」と声を振り絞り、拳を突き上げた。集会では、基地建設に向け急ピッチで進む海上作業に「やりたい放題にはさせない」「基地建設は許さないぞ」と阻止を誓い、団結を強めた。
集会開始前の午前9時5分、米軍キャンプ・シュワブゲート前で反対運動を引っ張ってきた山城議長に、米軍側の警備員が突如、襲いかかり、身柄を拘束した。
比較的落ち着いていた現場は、米軍側の強引な対応で、大きく混乱した。
ゲート前では朝から市民ら約40人が抗議行動を展開した。午前9時すぎ、抗議に熱くなる市民らに下がるよう呼び掛ける山城議長に突然、米軍側の警備員が後方からつかみかかり、足を捕まえるなどして身柄を押さえ、ゲート内に連行。米兵が後ろ手に手錠を掛けて拘束した。
山城議長を連れ戻そうとした男性も手錠を掛けられ拘束されたほか、助けようとする市民らを県警が押さえた。
抗議は連日、ゲート前の提供区域を示すラインの境界付近で行われる。これまではラインを越えた場合は県警が注意や警告、強制排除などで対応していたが、今回、米軍の警備員は山城議長を狙い撃ちにした。
拘束される数分前にも、警備員が山城議長を捕まえようとして一時もみ合いになっていた。
国会議員らが説明を求めても、米軍側は全く対応せず、県警も「米軍側が行動した」と答えるだけだった。
集会後、名護署前には市民ら400人以上が集結。「解放しろ」「不当逮捕だ」と糾弾した。
接見した三宅俊司弁護士は「拘束するために刑特法を使っている。敷地内に数歩入って刑特法違反はあり得ない」と批判。米軍による身柄拘束や手錠での拘束、18日に新基地容認派の名護市議が敷地内に入った際との対応の違いについても疑問視した。
(1)拘束直前、市民に下がるよう呼び掛ける沖縄平和運動センターの山城博治議長(中央)。右下につかみかかろうとする米軍側警備員の手が見える=22日午前9時4分19秒、名護市辺野古・米軍キャンプ・シュワブのゲート(浦崎直己撮影)
(2)米軍側の警備員に引っ張られる山城議長(中央)と、止めに入る男性=午前9時5分53秒
(3)米軍側の警備員3人にゲート内へ連行される山城議長=午前9時6分12秒
(4)後ろ手に拘束され、ゲート内で座らされる山城議長=午前9時12分42秒
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