5/20アカデミー「共謀罪と警察が作り出した覚醒剤11キロ密輸事件」

第96回草の実アカデミー

いま国会は共謀罪が最大の焦点となっています。毎月主催している勉強会で、「共謀罪と、警察が作り出した覚醒剤11キロ密輸事件」をテーマにジャーナリストの寺澤有氏に講演してもらいます。

戦後最悪の法案である共謀罪、そして昨年国会で改悪された刑事訴訟法。このふたつがリンクしてとんでもない事態になっていることがわかる「警察によるヤラセ覚醒剤11キロ密輸事件」です。

5月20日(土)14:00~16:45

「共謀罪と警察が作り出した覚醒剤11キロ密輸事件」

講師:寺澤有氏(ジャーナリスト)

※第2回 一億三千万人共謀の日プレ企画

場所:巣鴨地域文化創造館の第一会議室

●交通 「JR山手線 巣鴨駅」(北口)より徒歩15分

「JR山手線 大塚駅」(北口)より徒歩12分

「都営三田線 巣鴨駅」3A番出口より徒歩15分

地図: <http://www.toshima-mirai.jp/center/e_sugamo/>

http://www.toshima-mirai.jp/center/e_sugamo/

□ 資料代:500円(会員無料)

□主催:草の実アカデミー(公益社団法人マスコミ世論研究所)

http://kusanomi.cocolog-nifty.com/

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 ◎一度失敗した覚醒剤密輸を警察が助長

今年3月10日、覚醒密輸約11キロを密輸したとして逮捕・起訴された片山徳男被告の裁判で、東京地裁は懲役17年・罰金800万円の判決を言い渡した。

国会の最大の焦点は「共謀罪」だが、この覚醒時代密輸事件を探っていくと、“共謀罪時代”の警察捜査手法や裁判における問題点が浮かび上がってくる。

2014年3月28日までに、タイ人Aは、タイから日本へ覚醒剤密輸計画があることをタイ警察に密告した。そこでタイ警察は日本の警察に知らせ、日本警察とタイ警察が連携して、わざと輸入させて日本で摘発することにした。

覚せい剤はタイから密輸されたのだが、現地の運び屋タイ人Bが11キロの覚醒剤を所持していたものの、犯意を失ってブツをホテルに置いたまま逃げてしまった。そこに来たタイ警察が覚醒剤を押収して10日間警察が保留した。密輸に失敗したのだから、事件はこの時点で終わったのである。

ところが、タイの捜査官が逃げた運び屋Bを装って、片山被告の共犯者が滞在するホテルまで11キロの覚醒剤を届け、日本に運ばせた。つまり、いったんゼロになったところから、警察官が運び屋となって犯罪を作り上げた。

◎「匿名証人=自称警察官」の恐ろしさ

このような、泳がせ捜査が違法かどうかが裁判の争点だった。しかし、もう一つ重大なのは、この裁判では匿名証人が認められ、警察官と称する男が証人尋問で調べを受けたことだ。

匿名だから裁判長は、「検察がいう本人に間違いないですね」という旨をひとつ質問しただけですんだ。厳重な衝立により証人の全身は隠され、姿も見えない。

被告人も、弁護人も、傍聴者も、裁判官も、誰もその人物の素性を知らない。だから“自称警察官”としか言いようがないのだ。この“名無しの権平証人”は極めて危険ではないだろうか。

実は2016年5月の国会で「刑事訴訟法の一部を改正する法律」が成立した。その中身は盗聴の大幅拡大、司法取引導入など様々な問題がある。いま議論されている共謀罪の橋渡しとなる警察捜査フリーハンド法といっていいシロモノだ。

このときに匿名証人が認められるようになったのである。弁護人にすら素性を知らせなくてもいいのだから、今回の裁判のように捜査官が匿名証人として出廷したり、警察協力者(司法取引に応じた人など)が素性を全くしられずに出ることも可能になったわけだ。

おそらく改正施行後の「匿名証人第一号」が、今回の覚醒剤密輸事件の裁判だろう。

これまで述べたような捜査手法や裁判が常態化したところに共謀罪が成立すればどうなるのだろうか。

警察の不祥事等を長年追及してきたジャーナリストの寺澤有氏に話してもらう。