2014年3月31日 連帯・共同ニュース第325号
■ 昨年、政府は4月28日に「主権回復の日」とうたった記念集会を行いました。あらためて申すまでもなくこの記念集会は安倍首相の独善的な振舞いとして多くの人々の非難と失笑のうちに終りました。さすがに今年はという声は聞こえてきません。そのかわりに、安倍内閣は憲法解釈の変更による「集団自衛権行使容認」を画策しています。アメリカのアジア戦略への回帰が背景にあるのですが、安倍政権は日米同盟の深化を看板としながら、対中国や対北朝鮮への対応を強めています。安倍はアメリカの中近東を軸にした「反テロ戦争戦略」からの転換に便乗して、対中国や対北朝鮮を念頭にした戦争体制の構築を進めているのです。かつての小泉―安倍政権下でのイラクやアフガニスタンへの自衛隊の派遣を今度はアジアで展開しようとしているのです。「集団自衛権の行使」はイラクやアフガニスタンでのアメリカの自衛権行使の戦争にイギリスが集団自衛権を行使して参加したことと同じことを演じます。かつてのイラクへの自衛隊派遣にはまだ憲法9条の制約が機能していたのですが、その制約を取り払い行動できることを画策しているのです。大きな枠組みではアメリカのアジア戦略への回帰に規定されているのですが、同時に日本独自のアジア戦略や戦争政策も含まれていることにも注目しなければなりません。
■ 安倍は戦後体制の脱却のいたるところで語っています。これは日米同盟の強化や深化と矛盾するところであり、安倍が歴史修正主義者としてアメリカやアジア諸国の人たちに警戒されているところです。彼が戦後体制からの脱却を展望する限り、それは戦後体制の清算と戦前体制の復権を志向するほかはなく、これは日米同盟の深化論と矛盾や亀裂を生みだすしかないのです。それは戦後体制の脱却論が反動的なものだからです。戦後体制の脱却はその否定=戦前体制の肯定ではなく、戦前体制を否定した戦後体制の肯定を踏まえそれを乗り越えていくという否定の否定ということでしか可能ではありません。例えば、憲法9条を生かしながら、安保体制を乗り越えて行く(否定して行く)ことです。この観点から、東アジアでの共同関係構築を目指すことは可能です。「4月28日」はサンフランシスコ体制の出発点であるのですが、僕らがこれを乗り越えて行こうとしてきたことはあきらかですが、62年目の今、あらためてそれを考え、安倍の戦後体制脱却論に対抗したいと思います。
川満信一さんから沖縄からの提起(講演)、イ・ヨンチェさん韓国からの視点(発言)、丸川哲史さん台湾・中国からの視点(発言)などで構成されるシンポジウムが行われます。
4月27日(日)13時30分―17時(文京区民センター3A)です。参加費(資料代500円)。「九条改憲阻止の会」は協賛しています。経産省前テントでは4月23日(水)に裁判(第6回口頭弁論(14時・東京地裁)があります。参加を!(文責:三上治)