事実は小説より奇なり。警察問題などにあまり関心のない人にとって、今度の草の実アカデミーの講演テーマは、ドラマや映画、小説の世界の話でしかない。
警察の協力者をS(エス)と呼ぶが、講師を務める盛一克雄(もりいち・かつお)さん(48)は、若いころから石川県警のS(協力者)にされていた。
たとえば、石川県警は何も書かれていない真っ白な調書を何枚も出し、盛一に署名・捺印を要求した。合計で何枚書いたかも覚えていないという。警察が偽造調書を頻繁に作成していたということである。
こうして偽造した調書を石川県警は利用し、第三者の逮捕状や家宅捜索令状を請求するときの証拠書類として裁判所に出していたのだ。
しかしその後、協力者として身の危険を感じることもあり、盛一さんは警察と距離をおくようになっていった。
そして盛一氏は、虚偽調書を作成して裁判所から令状を発布させることはよくある話だ、と周囲にもらしていたのである。警察が絶対に隠したいことを彼は話してしまった。
報復なのだろうか。2014年3月、盛一さんは、覚せい剤譲り渡しの疑いで逮捕される。しかし自宅や会社から覚せい剤は発見されず、その後、覚せい剤使用で再逮捕された。盛一さんはまったく身に覚えがない。
2015年5月1日、金沢地裁は彼に有罪の判決を言い渡した。盛一さんは控訴したが同年10月15日、名古屋高裁金沢支部は控訴を棄却し、有罪判決が確定している。
当時経営していた会社も失い、妻とも離婚せざるを得ない状況に追い込まれた盛一さんは、2017年に金沢地裁に国賠訴訟を提起したものの、今年6月7日、金沢地裁は原告の請求を棄却した。
7月20日の講演では、四半世紀にわたる警察と盛一さんの関係、刑事裁判の謎、国賠訴訟のポイントなどを、たっぷりと話ていただく。
■7月20日(土)第117回草の実アカデミー
警察の元Sが語る体験談「私は白紙の調書に何枚も署名捺印した」
~講演 : 盛一克雄氏(国賠訴訟原告)
・日時:2019年7月20日(土)13:30開場、14:00開演 16:40終了
・場所:雑司ヶ谷地域文化創造館 第1会議室A
https://www.mapion.co.jp/m2/35.71971291,139.71364947,16/poi=21330448165
・交通:JR目白駅徒歩10分、東京メトロ副都心線「雑司ヶ谷駅」2番出口直結
・資料代 :500円
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