東京の杉原浩司(武器輸出反対ネットワーク:NAJAT)です。こちらにも 投稿させてください。[転送・転載歓迎/重複失礼]
明日8月20日(月)から24日(金)まで、ホテル椿山荘東京で武器貿易条 約(ATT)第4回締約国会議が行われます。日本が議長国となり、髙見澤將 林(たかみざわのぶしげ)軍縮会議日本政府代表部大使が議長を務めます。 初日20日午前には河野外相が演説します。
武器貿易条約第4回締約国会議の開催(外務省) https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_006320.html
河野外務大臣の武器貿易条約第4回締約国会議への出席(外務省) https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_006332.html
<高見沢軍縮大使>兵器取引規制「アジアの締約国増を」(8月17日、毎日) https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180817-00000105-mai-pol
会議は事前登録制ですが、私たちNAJATからは10人ほどが参加し、日本の 市民社会からの声を伝えることにしています。
ATTは、2013年4月の国連総会で圧倒的多数により採択され、2014年12月に 発効。現在までに96の国・地域が締約国となっています。
ATTには、締約国が、条約で規制対象となっている通常兵器が輸出先でジ ェノサイドや人道に対する罪などの実行に使用されるだろうことを知って いる場合や、国際人道法や国際人権法の重大な違反の実行や助長に使用さ れる「著しい・圧倒的な」リスクがあると判断した場合に、締約国は、武 器輸出を許可してはならないことが盛り込まれています(第6条・第7条)。
今まで の締約国会議の際にNGOが一貫して問題にしながら、本会議で議論 されてこなかったのが、イエメンを無差別空爆し、飢餓やコレラなどの拡 大を含む「世界最悪の人道危機」を引き起こしているサウジアラビアに対 して、イギリスなどのATT締約国が公然と武器輸出を続けている点です。 こうした武器輸出が、ATTの根幹とも言える第6条「禁止」や、第7条「輸 出及び輸出評価」に抵触することは明らかです。
髙見澤議長は、条約の信頼性を揺るがしかねないこの問題を議題とするた めに、強いイニシアチブを発揮すべきです。関連して、議長国である日本 が、サウジアラビア主導の連合軍に参加しているアラブ首長国連邦(UAE) に川崎重工製の軍用輸送機C2の輸出を狙っている点や、ATT違反国 である イギリスとの間で戦闘機用の新型ミサイルの共同開発を進めている点にも 注意を喚起したいと思います。日本のこうした姿勢は、議長国としての正 当性を著しく傷つけるものであり、日本はただちにこれらから撤退すべき です。
残念ながら、この重要な国際会議に関する報道が極めて少ない中、より多 くの皆さんの注目を呼びかけたいと思います。
【関連情報】 来週の武器貿易条約(ATT)第4回締約国会議を前に ~議長国・日本は、多様なNGOと対話を~ (8月15日、認定NPO法人テラ・ルネッサンス)
https://www.terra-r.jp/news/press-release/20180815.html
子ども40人の命奪った爆弾、米国が供与と判明 イエメン空爆(8月18日、CNN、動画も)
https://www.cnn.co.jp/world/35124221.html
※米国はATTに署名したものの批准せず。
<ニュース解説>武器取引、透明性に懸念(2015年10月29日、毎日) https://mainichi.jp/articles/20151029/org/00m/070/009000c
※2015年の記事ですが参考になります。
2017年9月の武器貿易条約(ATT)第3回締約国会議に向けて ~第2回締約国会議およびその後の論点~ (榎本珠良) http://www.kisc.meiji.ac.jp/~transfer/paper/pdf/04/08_ENOMOTO.pdf
※前回第3回会議に関する論文ですが、課題は継続しています。