現代批評講座―著者が語る新刊の集い
二〇一一年三月一一日の東北大震災と原発の惨事は、私たちに多くの課題を突きつけました。それらの問題は三・一一以前にも少なからず論じられてきた一方で、三・一一は私たちの国が、私たちの社会が、そして私たちの生が現在どのような歴史的状況のなかに置かれているのかをあらためてまざまざと見せつけました。この点では、明治維新以降の近現代史、日本の近代化の過程を総体的に捉えなおすことが喫緊の要請となります。「近代」そのもののあり方を問うことが迫られているのです。
新しく立ち上げました「現代批評講座―著者が語る新刊の集い」は、そうした混沌とする時代状況をさまざまな側面から切開して、少しでも豊かな地平を築くことのできる糸口を探求するために開かれた試行の場であります。新刊について著者から直接に語っていただくことによって、そして著者とともに考えていくことを通じて、私たちはみずからの環境を作りあげていくことに参画していきたいと考えます。
二〇一三年二月一〇日
講座世話人(九月十日現在・三十五名)
伊藤述史(大学非常勤講師)伊藤誠(東京大学名誉教授)今井昭彦(文筆家)岩田昌征(千葉大学名誉教授) 内野光子(歌人)上之園幸子(社会思想家)宇波彰(評論家)及川淳子(大学非常勤講師)追川恵子(デザイナー) 岡本有佳(風工房)川元祥一(作家・評論家)黒須純一郎(明海大学教員)高良留美子(詩人) 小林孝吉(文芸評論家)小林勝(ドイツ史研究)児島博紀(東京大学院博)権安理(大学非常勤講師) 佐藤俊男(デザイナー)椎名修(写真家)清家竜介(早稲田大学教員)高橋一行(明治大学教員) 澤村美枝子(フリー編集者)橋本盛作(御茶の水書房)羽田三郎(印刷会社役員)原田克子(詩人) 船木恵子(武蔵大学総合研究所)細井隆(評論家)西角純志(大学非常勤講師)仁科伸子(東京福祉大学専任講師) 三上治(評論家)矢島杜夫(社会思想史研究)山家誠一(評論家)吉留昭広(社会運動家) 米村健司(早稲田大学教員)若生のり子(美術家)
▼第四回 九月二十一日(土)午後二時〜五時〇〇分
場所:明治大学研究棟二階第九会議室 ※千代田区神田駿河台1一1 明治大学リバティータワーの裏
▼今井昭彦著『反政府軍戦没者の慰霊』(二〇一三年、御茶の水書房)
反政府軍戦没者の死体は誰がどのように埋葬処理したのだろうか。明治内戦から現在の靖国問題を再考する。 戊辰上野の戦い、会津戊辰戦役、西南戦役の戦没者の稠密なフィールドワーク。
第一章 戊辰上野の戦いにおける彰義隊士の慰霊 目次より 反政府軍戦没者の死体は誰がどのように埋葬処理したのだろうか。明治内戦から現在の靖国問題を再考する。 戊辰上野の戦い、会津戊辰戦役、西南戦役の戦没者の稠密なフィールドワーク。東京招魂社創建と戦没彰義隊士/慰霊活動の展開/むすび はじめに/橋府幕臣と彰義隊/上野の戦いと隊士の奮戦
第二章 会津戊辰戦役における東軍戦没者の慰霊―昭和戦前期までの経緯―
東軍戦没者慰霊活動の展開/ 会津鶴ヶ城をめぐる攻防戦/東軍戦没者埋葬の経緯 はじめに/白河城攻防戦と奥羽越列藩同盟/明治期における動向大正期における動向/昭和戦前期における動向/むすび
第三章 西南戦役における戦没者の慰霊―薩軍戦没者を中心に―
はじめに/西南戦役の顛末と戦没者/熊本城攻防戦/田原坂の戦い/城山攻防戦/戦没者の埋葬/戦没者の改葬と慰霊活動の展開/むすび
終 章 結語―慰霊実態を手がかりとして―
▼著者紹介 今井昭彦 (いまい・あきひこ)
一九五五年 群馬県太田市生まれ 一九八三年 成城大学文芸学部文芸学科を経て 同大学大学院文学研究科日本常民文化専攻修士課程修了 埼玉の県立高等学校社会科教員となる 二〇〇五年 博士(文学)(総合研究大学院大学)
専 門 近代日本宗教史・軍事史・歴史社会学 成城大学民俗学研究所研究員、国立歴史民俗博物館共同研究員、 筑波大学非常勤講師等を歴任
単 著 『近代日本と戦死者祭祀(』東洋書林、二〇〇五) 現 在 文筆家、群馬県立女子大学群馬学リサーチフェロー
▼本講座は世話人会が設立趣旨に沿った新刊を選定し、著者自らが新刊を紹介・説明し読者と討論する場であります。
▼今後の開催予定は、十一月、一月です。
▼参加費 五〇〇円
▼主催者連絡先 伊藤述史(090—9388—3831) 清家竜介 ryu.seike@gmail.com