Gaza war damage – 6 December 2023 CC BY-SA 4.0 Tasnim News Agency
はじめに – その背景
ここでドイツ連邦政府高官が政府に提出した書簡をご紹介する前に、その背景を簡単に説明させていただく:
2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の後、ショルツ首相はドイツ連邦議会でイスラエル情勢についての政府声明を発表した:「この瞬間においてドイツの居場所はひとつしかない。ー イスラエル側にいることだ。イスラエル国家の安全はドイツの国是(Staatsräson)【*訳注2】なのだ」。 ショルツ首相は、ドイツ政府は断固として、無条件にイスラエルを支持すると言明したのだった。
それ以来、ドイツではパレスチナ支持者を弾圧する一連の出来事があったが、ここでは最近、起こった重要と思われる出来事について触れさせていただく:
1)2024年3月、ニカラグアが「イスラエルによるガザでのジェノサイドを助長した」として、ドイツを国際司法裁判所に提訴したが、その審理が4月8日に始まった。ニカラグアは提出書類の中で、1948年のジェノサイド条約と1949年のパレスチナ占領地における戦争法に関するジュネーブ条約を引き合いに出し、「武器をイスラエルに送り、パレスチナ市民に不可欠な支援を提供する国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金援助を打ち切ることで、ドイツはイスラエルによるジェノサイドを助長している」と述べた。ニカラグアは、「国際司法裁判所が、ドイツにイスラエルへの武器輸出を停止すること、および国連パレスチナ難民救済事業機関 (UNRWA)への資金 拠出を再開することを命じるよう」求めている。①
2)2024年4月12日、ベルリンで、ドイツ当局によるパレスチナ支持者に対する深刻な弾圧があった。その日、ベルリンで開催されていた”パレスチナ会議”がドイツ警察によって強制的に打ち切られて閉鎖され、数人の出席者が逮捕された。そして警察は参加者や代表者たちは直ちに会場を退去せよと命じたのだった。この会議は、ニカラグアが国際司法裁判所(ICJ)でドイツを提訴したことについての認識を高めることを目的としていたものだった。 べルリンで開かれていたパレスチナ会議に介入する警察[Halil Sagirkaya/Anadolu]
また、ドイツ当局は、予定されていた講演者、パレスチナ系英国人の外科医でグラスゴー大学の学長であるガッサン・アブ・シッタ氏の入国を禁じた。 彼はベルリン空港に着いたとき、警察に止められ、3時間半の尋問を受けたのだった。そして、4月いっぱいはドイツへの入国は許可されないと言われた。アブ・シッタ氏は、去年の11月に英国に戻るまで、ガザで数週間、アル・アハリ・バプティスト病院やアル・シファ医療施設などで、負傷したパレスチナ人を治療し助けていた。彼は、ベルリンのパレスチナ会議で、ガザで目撃したことについて語る予定であった。また、ドイツ当局は彼に「ドイツの国外からビデオでスピーチをしたり、録画したビデオ演説を会議に送ったりしないように」と要求したという。②
600人の連邦政府高官が政府に出した書簡
そして、2024年4月、600人のドイツ連邦政府高官がオラフ・ショルツ首相と他の上級大臣にあてて「ドイツ政府は即効、イスラエル政府に武器を供与することを停止するように」と要求する書簡を提出した。国家公務員たちは各省庁に電子メールで書簡を送ったが、その際、「デリケートな内容であり、この分野での批判は国家による過剰な弾圧を受けるため、匿名とさせていただきたい」と断りを入れた。
この書簡作成の発端者のひとりで、省庁の管理職にある人物は、「省庁内の”恐怖の風潮”は、この15年間で経験したことのないものだ」と語っている。さらに外交官たちはドイツの評判、国際関係、ムスリム諸国との関係が傷つくことを懸念しているという。
そうした風潮に鑑みて、彼らが政府の政策を率直に批判し、曖昧さなどまったくない、非常に明確な声明をショルツ首相および上級大臣たちに提出したということは、きわめて勇気ある行為であると言えるのではないだろうか。
ちなみに、ストックホルム国際平和研究所のデータによると、2023年、ドイツはイスラエルに対し、前年比10倍増となる3億2650万ユーロ(約3億5400万ドル)の武器輸出を承認し、イスラエル軍の兵器の30%を提供したという。さらに、同研究所のデータは、イスラエルの武器の99%はアメリカとドイツから供給されており、ドイツは2番目に大きな供給国であることを示している。③
書簡の原文(ドイツ語)へのリンク:https://diefreiheitsliebe.de/politik/600-bundesbeamte-fordern-von-bundesregierung-waffenlieferungen-an-israel-umgehend-einzustellen/
なお訳者注として、ざっとした翻訳にはDeeplを利用したが、翻訳者(グローガー理恵)は一語一語、一文一文ごとにチェックし、できるだけ原文に忠実に、明確な文にするように努めた。
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ドイツ連邦政府高官600人が連邦政府にイスラエルへの武器供与の即時停止を要求
2024年4月7日
半年前の今日、ハマスがイスラエルを攻撃し、1,200人が死亡した。その日以来、イスラエルは間断なくガザ地区を爆撃し、これまでに33,000人以上のパレスチナ人を殺害してきた。 今、600人のドイツ連邦公務員と官庁職員が、ドイツ政府に宛てて、政府の政策を変えるようにと要請する書簡を書いた。
彼らの書簡を記載する:
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親愛なるオラフ・ショルツ連邦首相、
親愛なるロベルト・ハーベック経済大臣
親愛なるアナレーナ・べアボック外務大臣
親愛なるマルコ・ブッシュマン法務大臣
親愛なるクリスチャン・リンナトナー財務大臣
親愛なるスヴェーニャ・シュルツェ開発大臣
私たちはあなた方に呼びかけます。なぜなら私たちは連邦公務員および官庁職員として基本法の基本原則に拘束されているからです。基本法25条第1項は、国際法に関する法律の適用を一般的に命じています。この規定は、ドイツ連邦憲法裁判所によれば、「国際法の一般規則は ” 移管法 [仮訳]” なしに、すなわち、直接的にドイツの法体系に組み込まれ、ドイツ国内法よりも優先的に位置づけられる」という効力があります。
イスラエルはガザで、国際法、ひいては私たちが連邦公務員および官庁職員として義務を負う基本法に明らかに反する犯罪を犯しています。ドイツ連邦共和国は、国際法に違反して占領されているガザやその他のパレスチナ領土における、国際法違反であるイスラエルの政策を政治的、経済的、軍事的に支援しています。 したがって、連邦公務員としての私たちの義務は、連邦政府のこの政策を批判し、連邦政府は憲法と国際法を厳格に遵守しなければならないということを警告することであります。
イスラエル占領軍(IOF)側によるパレスチナ市民に対する、およそ6ヶ月間にわたる絶え間ない過剰な軍事暴力は、計10万人以上にのぼる負傷者・行方不明者・死者と190万人以上の難民を生み出して、ガザ地区を完全に破壊しました。2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の後、イスラエル政府が「自衛」と宣言した、イスラエル軍による軍事攻勢は、このような短期間における破壊規模という点では他に類を見ない、あまりにも大規模なものであります。 ゆえに、2024年1月26日に国際司法裁判所が下した裁決は、IOFの暴力行為を「ジェノサイドの可能性が強い行為 」とカテゴライズし、その時点ですでに明らかだったイスラエル政府によるパレスチナ人に対するジェノサイドを防止するために、イスラエルに対して暫定措置を命じるというものでした。
国際司法裁判所(ICJ) は、とりわけ飢餓に苦しむガザ住民への人道援助を可能にしなければならないこと、同様に、ジェノサイドへの扇動は阻止されなければならず、処罰されなければならないことを裁定しました。 ハマスが民間人を人間の盾として使っているという議論は、この過剰な暴 力の行使を正当化するものではないということ。 この見解は、名声あるイスラエル人のアハロン・バラク判事を含む、16人中15人のICJ 判事によって支持されました。
軍事攻撃の開始以来、イスラエル政府はガザ地区への生命に不可欠な食糧の供給を事実上、許していません。それによってイスラエル政府は、人道に対する罪を犯し、ガザ地区に拘束されている何十万人ものパレスチナ人の餓死を意図的に招いています。
イスラエルは戦争の武器として意図的に飢餓を利用しているのです!それゆえ、すでに2023年10月10日、ヒューマン・ライツ・ウォッチはガザ地区を人道的大惨事と指摘しました。 殺害されたパレスチナ人の70%が女性と子どもであることから、2024年1月19日、ユニセフ(UNICEF)は「イスラエルの女性と子どもたちに対する戦争」と呼びました。 記録されたイスラエル兵による戦争犯罪が多すぎて、私たちが、そのすべてを列挙することは不可能でしょう:パレスチナ人の女性や少女に対する性的暴力、非拘禁者に対する拷問、リン弾、民間人・人道的施設の標的破壊、同様に、援助団体の活動家、医療保険従事者、ジャーナリストの標的殺害などです。
ガザ地区での攻撃の最初の3ヶ月間だけで、イスラエルは4万5千発以上の爆弾を使用しました。 その重量と破壊力は、米国が広島に投下した核爆弾3発以上に匹敵するものです。ガザは、イスラエル政府の許可がなくては出入りすることのできない封鎖された領土です。したがって、イスラエルの目的は最初から、はっきりとしていました: できる限り多くの民間人の犠牲者を出してガザ地区を完全に破壊することでした。イスラエル政府高官たちは、2023年10月7日後の数日間に発表したことを、この半年以内に実行に移しました:
▪ 我々はガザを無人島に変えるのだ。- ベンヤミン・ネタニヤフ、イスラエル首相
▪ 重点はダメージに置くのであって、正確さに置くのではない。- ダニエル・ハガリ、イスラエル国防軍・海軍少将
▪ 我々は人間の動物と戦っているのだから、それ相応に行動する。- ヨアヴ・ガラント国防相
▪ ハマスが人質を釈放しない限り、1グラムの人道的援助もガザ地区に届くことはない。ガザ地区に届く唯一のものは、空軍からの何百トンという爆薬だ。- イタマル・ベン-グヴィル国家安全保障大臣
▪ 人間の動物はそのように扱われなければならない。お前たちは地獄を望んだのだから、地獄を得ることになるのだ。- ガッサン・アリアン、イスラエル軍調整部長
このような人間軽蔑の発言に煽られ、イスラエル兵は毎日毎日、途方もないスケールの戦争犯罪を犯し、それらは撮影され、オンラインでシェアされます。 なぜなら、彼らには恐れるような処罰なんてまったくないのです。2024年3月22日、ユニセフのスポークスマンであるジェームス・エルダーは、こう述べました: 「その恐怖の深さは我々の表現能力を越えるものである。(中略)それは完全な壊滅である。」
2024年3月18日、ロイター通信は1万3千人以上の子どもが殺害され、計3万1千人以上の人々が殺害されたと報道しました。 何千人という人たちが行方不明で、いまだに瓦礫の下に埋もれたままで、そこから救出されることができずに生き埋めになっています。
2023年11月9日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、ガザ地区を「子どもたちの最大の墓地」と呼びました。 2024年3月18日、EUののジョゼップ・ボレル外務・安全保障政策上級代表は「2023年10月7日以前、ガザ地区は世界最大の野外刑務所だった。2023年10月7日以来、ガザ地区は世界最大の野外墓場となった」と断言しました。
イスラエル軍の犯罪はまた、罰せられることなく、ガザ地区以外にも及んでいます。ヨルダン川西岸地区では、2023年10月7日以降、350人以上のパレスチナ人女性が殺害され、5千人以上のパレスチナ人女性が捕らえられました。それに伴い、2023年は、75万人のパレスチナ人が自分たちの家を追われ、およそ1万5千人のパレスチナ人が殺害されたイスラエル建国時(1948年)以来、ヨルダン川西岸地区で殺害されたパレスチナ人の数がもっとも多い年となりました。
2023年10月7日以前、2023年だけで、300人以上のパレスチナ人(その内の150人以上が子ども)がイスラエル軍によって殺害されました。これらの犯罪はすべて、イスラエルが制裁を恐れることのないような法的空白状態の中で犯されているのです。これは、機能する法治国家内における民主的行動ではありません。イスラエルは、イスラエル国民には民主主義を認める一方、国際法に基づけば、違法に占領されているパレスチナ人住民の権利を組織的に剥奪している、アパルトヘイト国家です。イスラエル政府は、2024年1月26日の国際司法裁判所(ICJ)裁定の条項を履行したという証拠を提示していませんし、最近採決された即時停戦を命じる2024年3月25日の国連安全保障理事会の決議にも従っていません。
しかも、イスラエルによる意図的な国際法無視は、2024年1月14日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相によって発言されています:
「ハーグも悪の枢軸もその他の誰も、誰一人として我々を阻止することはない。」 このような意思表明にもかかわらず、ドイツ政府はイスラエルに戦争兵器を供給し続けており、そうすることによって自国の調達ガイドラインに違反し、明らかに国際法違反を犯しています。2023年10月7日は孤立した出来事として見なされており、イスラエルの自衛権は、75年以上にわたるイスラエルの占領、搾取、パレスチナ市民への弾圧を認めることなく、前後関係に結びつけることなしに、そこから [訳注:2023年10月7日を孤立した出来事と見なすことから] 導き出されています。
連邦政府の国際法違反の政策に公然と異議を唱える私たちの義務は、言うまでもなく、連邦公務員法第60条と共に基本法第25条、ジェノサイド犯罪の防止及び処罰に関する条約、2024年1月26日のICJ(国際司法裁判所)による暫定措置決定に由来します。私たちは、また、この書簡で「ガザに関する大西洋両岸の国々の官吏の声明」に言及します:彼らの「我々の政府の政策が誤りであるときに声をあげることは、我々の義務である」との声明は2024年2月2日に発表されました。【*訳注1】
「国是 (Staatsräson)【*訳注2】」という標語で、定義のない、法律および憲法のどこにも定着しない、法律用語と憶測されるような言葉が、つくり出されました。さらにこの言葉は、政府自身の政策を正当化するために何度も引用され、そのため、人治国家を無条件に支持するという結果を招いています。とりわけイスラム教徒の同胞は連邦政府によって一般的懐疑のもとにおかれ、イスエル支持を表明することを強制されるか、さもなければ反ユダヤ主義者として晒し者にされ、自分たちの基本権利を剥奪されることを脅かされています。このように、ドイツ政府は「国是」の概念を定義してドイツに強固に定着している構造的な反ムスリム人種差別と反ユダヤ主義を真摯に認める代わりに、恐怖を煽っています。この一方的な姿勢は、連邦首相がドイツに住むパレスチナ人の親族の哀悼を軽視したことに象徴されています。首相が公に弔意の表明をしたのはイスラエル人の親族に対してのみでした。
ドイツが近年に犯したいくつかの大量虐殺に関連するドイツの歴史的責任に鑑みて、私たちは、ドイツ政府がここで、その歴史的責任を果たし、国際法に反するイスラエルへの一方的な支援を即座に終わらせ、その結果 著しく傷ついたドイツの評判を少なくとも部分的に回復することが、ドイツ政府の義務であると考えます。
「もう二度と(Nie wieder)!」とは今なのです。 それゆえに、私たちは連邦政府に以下の措置を即座に導入して、其々を積極的に支援してくださるよう要請いたします:
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- ドイツは、イスラエルやすべての国際機関に対し、ガザ地区の即時停戦を支持する断固とした明確な立場をとらなければならない;
- ドイツはイスラエル政府への武器供与を即時停止しなければならない;
- ドイツはイスラエルを説得し、遅滞なくガザ地区への援助物資の搬入を許可するように全力を尽くさなければならない。 イスラエル側のこれ以上の遅延は制裁を受けなければならず、ドイツは直ちに自国の影響力の範囲内で適切な措置をとらなければならない。これには、イスラエルとの政治的・経済的関係の凍結も含まれる。
- ドイツは、ガザ地区のUNRWAへの支払いを直ちに再開しなければならない。とりわけ、イスラエル政府からは、国連救済組織に対する根拠のない非難について、今日に至るまで何の証拠も示されていないからである。
- 最後に、ドイツは1967年の国連安全保障理事会決議242で国際法によって定められた国境内にパレスチナ国家を承認することを決然と積極的に支持しなければならない。
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遺憾なことに、イスラエル政府による国際法に反した非人道的な行動を批判する声は、ドイツ政府によって組織的に封殺され、批判者は疎外され犯罪者にされています (例:2024年ベルリン国際映画祭【*訳注3】、毎週の[訳注:パレスチナ支持の]デモ、ソーシャルメディアなど ) 。 同様に私たちも、この私たちの見解表明に関連して犯罪化されることや処罰されることを恐れています。それゆえに、私たちは[この書簡の] 署名者の名前を意図的に公表していません。2023年と2024年のドイツにおいて、基本法によって保護されている表現の自由が、これほどまでに厳しく制限されるような事態へと発展したことは、不安を駆り立て、きわめて憂慮すべきことであるため、私たちはこのような手段をとらざるを得ませんでした。
ベルリン、2024年4月
ー翻訳終わりー
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【*訳注1】ガザに関する大西洋両岸の国々の官吏の声明: 2024年2月2日に発表された声明は、EU、オランダ、米国の官吏が作成に関わり、さらにベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、英国の官吏らによって署名された。声明文(英語)へのリンク:It Is Our Duty To Speak Out When Our Governments’ Policies Are Wrong
【*訳注2】国是 (独語=Staatsräson):Staatsräson (仏語-raison d’État、伊語-ragione di Stato)には国家理性、国家理由、国益などの和訳があるようですが、現在、日本では国是という和訳が主に使われているようなので、そのように和訳させていただいた。
この“Staatsräson (国是)” という表現は、アンゲラ・メルケル首相 が、イスラエル建国60周年にあたる2008年3月18日に、エルサレムのクネセト(イスラエル国会)で、ドイツ初の首相として演説を行った際に、ホロコーストに言及し、「ドイツの歴史的責任は、わが国の国是(Staatsräson)の一部です。……..ドイツ首相である私にとって、イスラエルの安全保障は譲渡不可能なものです」と語ったことに由来している。
2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃以来、このメルケル首相の言葉は、オラフ・ショルツ現連邦首相(SPD)を含めて、再び頻繁に引用されている。ドイツ連邦議会でのイスラエル情勢に関する政府声明では、イスラエル大使が議会の傍らに立ち、ショルツ首相は「今この瞬間、ドイツの居場所はひとつしかない。イスラエルの安全保障がドイツ国家の国是である』というのは、そういう意味だ」と述べている。
[Source:Bayerischer Rundfunk (BR24)]
しかし、このドイツ連邦政府にあてた書簡の中で600人の国家公務員は、「 ”Staatsräson(国是)”という言葉が具体的に何を意味するのか、その概念が定義されたことはなかったではないか」と問題提起し、 この言葉が政府の政策を正当化するために何度も引用されていることを批判している。
【*訳注3】2024年ベルリン国際映画祭:このベルリン国際映画祭で起こった”反ユダヤ主義非難”については、日本の長周新聞が要点をとらえた報道をしてくださっているので、そこから引用させていただく。[記事へのリンク:https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/29617] :
『今年のベルリン国際映画祭の最優秀ドキュメンタリー賞に、イスラエルとパレスチナの映画制作者集団が監督した『ノー・アザー・ランド』が選ばれ、あわせてパノラマ観客賞も受賞したことが話題を呼んだ。映画祭最終日(2月25日)の授賞式には、パレスチナのバセル・アドラ監督とイスラエルのユバル・アブラハム監督が登壇してスピーチをおこなった。アドラ監督は「ガザ地区で何万人もの同胞がイスラエルに惨殺され、大量に虐殺されている今、受賞を祝う気分には到底なれない」とのべた後、「ドイツには、国連の呼びかけを尊重し、イスラエルへの武器送付を止めていただきたい」と訴えた。アブラハム監督も「彼(アドラ監督)は何百万人ものパレスチナ人といっしょに占領下の西岸地区に閉じ込められている。私たちは停戦を求める必要がある。占領を終わらせるための政治的解決を呼びかける必要がある」と訴えた。
これに対して、ドイツ政府・ベルリン市当局や大手メディアが「反ユダヤ主義」だと非難し映画祭そのものを攻撃した。』
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《参考にした記事》
https://consortiumnews.com/2024/04/15/german-police-shut-down-palestine-conference/
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5236:240425〕