現在ドイツで進行中の反原発デモの様子をお知らせしたいと思います。反原発を根強く叫び続けているドイツ人の姿が、少しでも、日本の脱原発運動に励まれていらっしゃる尊い方々を元気づけることが出来たらと願いつつ、ご紹介させて頂きます。
今、ドイツでは核廃棄物を輸送する列車がニーダーザクセン州にあるゴアレーベン核廃棄物貯蔵場へ向かっています。そして、それを妨害しようとする反原発グループの抵抗活動が繰り広げられ、そのために20,000人の警察官が出動されデモ隊とぶつかり合っています。この核廃棄物運送を阻止しようとする活動は、もう35年近く行われています。ドイツの反原発運動は歴史があると同時に、その勢いは衰える事を知らないようです。いやむしろ勢いが日々、増していっている感すらします。2022年までには全ての原子力発電所が閉鎖されるという政府の脱原発政策に、彼らは満足していません。2022年では余りにも遅すぎると不満を訴えています。そして、いつ脱原発政策を翻すか分からない信用ならない政治家たちの動きを、目を光らせて見張っています。彼らは、もちろん原子力産業の動きを監視することも怠っていません。
日本ではTBSテレビがこの核廃棄物輸送反対運動について報道すると聞いております。
先ず、反原発組織の一つである「Ausgestrahlt」から送られてきたニュースレターをご紹介したいと思います。
このゴアレーベンへの核廃棄物輸送を阻止する活動についてリポートしています。
2011年11月26日
(Stefan Diefenbach-Trommerから)
親愛なる友人たちへ
今 日、25,500人のデモ参加者がヴェンドランドの通りに出動しました。その内23,000人は、ダネンバーグへ到着し、2,500人は核廃棄物を積んだ 列車が通る鉄道を妨害するため活動しました。ここ4時間の間、ヴェンドランドの非暴力市民運動グループ「ヴィダーゼッツン」は(核廃棄物を積んだ列車が通ること になっている)鉄道レールの一部分を占領しています。
これは、もうすぐ35年になろうとしている「ゴアレーベン対立」の歴史が始まって以来、2番目に大きいスケールの抗議デモとなります。これは、反原発運動の勢いが、幾人 かの期待や願望に反して、より強くなっていっていることを改めて示しています。
この夏に8基の原子力発電所が閉鎖したからといって、未だ、原発や核廃棄物処理に関しての対立が終ったわけではありません。我々は、表向きは「新しい核廃棄物最終貯蔵場所探しのスタート」と謳われているデタラメに丸め込まれることはしません。
我々は、悪条件に満ちた不適正なゴアレーベン岩塩層での最終貯蔵施設プロジェクトを止めること、そして核廃棄物生産をストップすることを要求します。
ダネンバーグでのデモの写真、プレスレポートは下のリンクを見て下さい。
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次にご紹介したいのが反原発グループ「Ausgestrahlt」サイトに載っていた記事です。
如何に彼らが、ゴアレーベン地下岩塩層核廃棄物貯蔵場についてクリティカルな見解を示しているということがお分かり頂けると思います。
下が原文へのリンクです。
http://www.ausgestrahlt.de/hintergrundinfos/politische-analyse/artikel/a7f744aed2/das-endlager-verwirrspiel-der-bundes.html
概説:核廃棄物最終貯蔵-連邦政府の撹乱ゲーム (Ausgestrahlt 11月15日付)
カーニバルが始まった11月11日きっかりに、ロットゥゲン連邦環境大臣は、「核廃棄物最終貯蔵場所を探すための新しいスタート」を宣言した。「もうゴアレーベンに核廃棄物を貯蔵するのはやめて、ドイツ全域にわたって、高放射能核廃棄物最終貯蔵の場所を探すのです」と、ロットゥゲン氏は州政府首相たちとの会合で述べ、更に「自分は、もうこれ以上、ゴアレーベンに既成事実を作り出したく ない」とも語った。
しかし、事実はこうである。:
1)ゴアレーベンの地下岩塩層の核廃棄物貯蔵場の建設工事は、支障なしにどんどん進められている。
ロットゥゲン環境大臣は、核廃棄物貯蔵目的には悪条件だらけのゴアレーベンの地下岩塩層で、24時間ぶっ通しの作業をさせ、最終貯蔵施設を更に拡大させることをやらせている。これは、アッセで起こったように、ゴアレーベンでも坑内出水や他の危険に脅かされているのにも拘らず、遂行されているのである。
2)ゴアレーベンへの核廃棄物輸送は、阻止されることなく続けられる。
既に、11月末には、核廃棄物輸送列車で、12の特別核廃棄物輸送容器(カストー《Castor》と呼ばれる)が輸送され、ゴアレーベンの最終貯蔵施設建設場の真ん前にある、地上中間貯蔵施設に到着することになっている。
3)名目上は「最終貯蔵の場所探し」のための資金の殆どが、ゴアレーベン岩塩層の最終貯蔵施設拡大のために流れていっている。
来年、連邦政府は高レベル放射能廃棄物貯蔵場探しのために7,600万ユーロ出費するつもりである。その内、7,300万ユーロはゴアレーベンの最終貯蔵施設拡張のため、残りの300万ユーロは、ゴアレーベンの代わりとなる別の貯蔵施設の場所探しに割り当てられることになっている。これが連邦議会で連合政権が承認した予算案である。
4)ゴアレーベンの岩塩層の安全性は、怪しい専門家が宣言する。
連邦環境省が委託した「暫時的ゴアレーベン岩塩層安全性の分析」が、2012年までに、「ゴアレーベン岩塩層は、核廃棄物最終貯蔵場として相応しい場所である」ということを、証明することになっている。こうしておけば、ゴアレーベン岩塩層が核廃棄物貯蔵場として如何に不適正であるかという事を、法的に訴えることが非常に難しくなるからである。
ロットゥゲン環境大臣が「ゴアレーベン岩塩層の安全性分析」を依頼した、その研究所というのが、実は、 既に倒壊してしまっているモールスレーベン核廃棄物貯蔵施設や、浸水で溢れ満水になってしまったアッセ核廃棄物処分場を、「何千年もの間、大丈夫、安全で すよ」と保証した研究所なのである。
この「ゴアレーベン岩塩層の安全性分析」では、 一応表向きは独立した鑑定人となっている、ブルノ・トーマウスケ氏が重要な役目を果たすことになる。因みに、彼はかって何年もの間、連邦政府官庁の放射線 防護部門でゴアレーベン・プロジェクトの主任として働き、ゴアレーベン地下岩塩層・最終貯蔵施設の拡大を促進してきた張本人である。それから、彼はヴァッ テンファル原子力発電所長にもなった。そして現在、彼はアアヘン大学で、RWE(電力会社)によって資金調達されている教授の地位に納まっている。
5 )最終貯蔵場所を探す上でのクライテリア(判定条件)が、未だに定まっていない。
危険性が最も少ない最終貯蔵場所を探したいのなら、:先ず第一に、現実として、その為にはどんなクライテリアが必要であるかということを確立しなければならない。
-核廃棄物を貯蔵施設から再取出可能なように貯蔵すべきかどうか?
-核廃棄物は地上に貯蔵されるべきか、それとも地下の出来るだけ深い所に埋蔵されるべきか?
最初の原子炉が操業開始されてから50年以上経っているのに、これら全ての疑問は未だに解明されていない。これらの問題に対しての解答がない限りは、どんな貯蔵場所探しも無意味である。
6) 核廃棄物は、とどまる事なく生産されている。
稼動中の9基の原子力発電所は、休むことなく核廃棄物を生産している。– これは連邦政府の意志によって、これから何年も続くことである。
結論:
ゴアレーベン岩塩層は、これからも悪条件だらけの不適正な核廃棄物最終貯蔵場として存続していくということである。また、ゴアレーベン岩塩層が最終貯蔵場として抜擢された理由は、地質学に基づいたものではなく、政治的な選択によるものである。
政府によって宣言された「ドイツ全域での最終貯蔵場探し」、その候補地にゴアレーベンは未だに含まれている。ゴアレーベン核廃棄物処分施設が、岩塩層に発生する天然ガス、 亀裂、浸水のために酷く脅かされているにも拘らずである。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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