1月11日にパリで行われた、テロ攻撃の犠牲者を悼む行進については、BBCやドイツのテレビ局でも大きく報道されました。 そして、これらの報道を目にした多くの人々は、ヨーロッパをはじめ世界の各国からのリーダーがパリに集合し、腕と腕を組み合って行進を先導し民衆と共に行進した、との印象を受けていたのではないでしょうか。 しかし事実は、そうではなかったことが、1月13日の朝に放送されたドイツARD局番組”Morgenmagazin”で明らかにされました。
現在、この番組の動画や詳細が記載された電子版記事をネットでアクセスすることはできませんが、ドイツにおけるメージャー・オンラインメディアである”taz.de”が、”Solidarität in der Nebenstraße(裏通りでの連帯)”というヘッドラインで、この所謂メージャーメディアによって演出された報道について触れています。( http://www.taz.de/Bilder-des-Trauermarschs-von-Paris/!152788/) 「裏通りでの連帯」 とは、各国からのリーダー達が実際には、パリで150万人が参加したといわれる大規模な”哀悼行進”には参加しておらず、リーダー達だけが ”パリの裏道”に集合して”連帯”を示す行進をしたに過ぎないのが事実なのであるということを示唆したヘッドラインです。
別のオンラインメディアである、”Spiegelkabinett”が、パリの裏通りに集まった各国リーダー達の行進の模様を示す(別のアングルから撮った)画像付きで、メージャーメディアによる’演出’についての記事を掲載していますので、そちらの方を抄訳してご紹介させて戴きます。
なお、記事の最後の部分には、事実を報道すべきジャーナリストが事実を報道しなかったことを平然と正当化しているコメントが出てきます。 ご注目下さい…。
原文(独語)へのリンクです:
http://spiegelkabinett-blog.blogspot.de/2015/01/der-fake-von-paris.html
オンラインメディア ”Spiegelkabinett”(2015年1月13日付)から:
パリのフェイク
(抄訳: グローガー理恵)
– 2015年1月11日(日曜日)放送ドイツZDFテレビ局放送ニュース番組 ”heute”から –
マリネッタ・スロムカは番組の始めで、こう挨拶した:
団結の哀悼。 パリで100万人以上の人々がテロ攻撃の犠牲者を偲び、団結のシグナルを送っています。彼らは、言論の自由と寛容のため、そしてテロ反対のために行進しました。 その中には、腕と腕を組み合った世界中からの国家首脳の姿がありました。
(パリから)スザンナ・フライターグによるコメント:
”シェルリー (Charlie)”という名前は、テロに対する戦いのシンボルとなりました。 パリだけでも100万人以上の人々が街頭に出て抗議行動に参加しました。 今日、パリは世界の焦点となったのです。 このような類の抗議行動は歴史上、かつてなかったことです。 なぜなら、ここに50ヶ国以上からの国家首脳や世界中からの高等官たちが集まり一緒に行進したからです。 ヨーロッパ、アフリカ、アラブ首長国連邦からの国家首脳です。一番前の列には、たった数メートルの間隔を置いてイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とパレスチナのアッバース首相がいます。彼らは共にテロに抗議するために行進しているのです。 これは歴史的瞬間です。
– 1月11日20時15分に放送されたARD局の”Tagesschau” –
ヤン・ホファーによるコメント:
並んでテロ犠牲者を追悼するパリから。 今日、40ヵ国以上からの国家首脳が哀悼行進に参加しました。 行進の前、オランド大統領は、「今日、パリは世界の首都ですと」 と述べました。今日、パリにおいて150万人にも及ぶ人々が集まった行進は、テロに対する抗議のシグナルを送るものでした。 この共和行進には17人のテロ犠牲者の親族や世界中からの政治家リーダー達も参加しました。 その中にはメルケル首相の姿もありました。
(写真: Spiegelkabinettから – ARD局番組”tagesschau”の画像ショットしたもの)
– 2015年1月11日(日曜日)のドイツZDFテレビ局ニュース番組 ”heute journal”から –
マリエッタ・スロムカによるコメント :
夜になっても多くの人々はまだ帰ろうとしませんでした。 彼らは、一日中、パリの通りを共に行進しながら共に分かち合った共通の思いから離れようとしませんでした。
パリだけで150万人の人々が行進しました。 彼らの中に、50ヶ国からの国家首脳もいました。 このシーン…これまで誰も見たことのないようなシーンです。
– ドイツARD局ニュース番組 ”tagesthemen”から –
e) エリス・フロェーダー(パリから)のコメント:
「今日、パリは世界の首都です」 と、オランド大統領は哀悼行進が始まる前、述べました。 ヨーロッパの国家首脳ばかりでなく、イスラエルからはネタニヤフ首相、またパレスチナのアッバース首相もパリにやって来ました。 彼ら全員が喪服を着て、これまで見たことがなかったような団結ぶりでした。
– すべてが演出されていた –
(写真のソース: Spiegelkabinett – 1月13日放送ARD局”Morgenmagazin”放映の画像をショット)
行進の画像について今朝 (1月13日)、ARD局の放送番組”Morgenmagazin”にて、ニュースキャスターのスザンナ・リンクが述べた:
「これが、多数の各国首脳が一列になって並んで、そう、察するところ、”哀悼行進” を先導したといわれる画像だったのです。 各国首脳が行進を先導したと、私たちの多くは、そのように思っていたわけです。 まず、そう思ったところで、今、これらの画像が、こちらに届きました。 画像を見ると、各国首脳らの行進が実際には、裏道で撮影されたことが分かります。 各国首脳の背後は、かりだされたエキストラの人たちで満たされてあります。 それから、国家首脳たちは行進し始めて、この写真が撮られました。 それから、詰まるところ、この各国首脳のグループは、そこで解散されたということになります。」
「このことについて、私たちの同僚、ヘンリック・ヘゥブシェンと話してみましょう。 彼は私たちのために、今、パリに居ます。 もう一度、おはようございます、 ヘンリック。 この(演出された各国首脳の行進の)フェイクについて、フランスにおける反応はどんなものでしょうか? それともフランスの人たちは各国首脳の行進が演出されたフェイクであるとは全く感じてい
ないのでしょうか?」
ヘンリック・ヘゥブシェンの返答:
「まあ、ここフランスでは、むしろこれは余り重要でないことなのです。 なぜなら、とにかく、これだけ多くの国から国家首脳が、フランス国民との団結を示すためにパリにやってきたのですから。 そのこと自体に、もっと重要性があるのです。 そして今、国家リーダー達の安全を守るために彼らが別の安全確保された場所にいて、実際には行進に参加していなかったように思えても、そうなのです。」
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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