テント日誌12月27日…「日本は何処へ行くにか」問いたい

経産省前テントひろば1807日後

「日本は何処へ行くにか」問いたい年の暮れ 12月25日(日)

年の暮れに鳴り物入りで立てられて二つの企画も尻切れトンボというか「大山騒動ねずみ一匹」に終わりそうだ。プーチンの訪日と北方領土交渉は宣伝が派手だったからか、その結果に対する人々の失望は相当のようだ。僕はもともとこの交渉にたいした興味もいだいていなかったからこんなところだろうと思っているが、外務省前には失望転じての恨みか右翼の街宣車が騒がしい。これからはじまる安倍の真珠湾の訪問とオバマとの会談もさしたることはないだろう。何よりも、安倍首相は真珠湾で語るべき言葉があるのか、という疑念がある。どうせ、周辺の側近というか官僚が文章をつくるのだろうが、安倍自身に彼のものだと思わせる戦争観がない。

安倍は相当に身体が悪くて自らの花道をこんな風に用意しているのか、と勘繰りたくなる。今年の流行語であったゲスの○〇ならぬゲスの勘ぐりにしかならないから、これ以上はやらないが、安倍が本当にやらなければならないのは、二つではないか。一つは沖縄の辺野古基地を撤去するための日米交渉であり、これでこそ戦争の結末をつけることなのだ。真珠湾で亡くなった日米の兵士や市民は、あの戦争が沖縄ではいまだに決着のついていないことを知っているだろうし、天国で胸を痛めていることと想像できるからだ。真珠湾に眠る兵士たちを慰霊したければ、辺野古新基地建設を止めることだし、それを実現することではないか。同じように、南スーダンへの自衛隊の引き揚げをやるべきではないか。これは第二次世界大戦の端緒をなしたシベリヤ出兵の現在版にほかならないからだ、日本の第二次世界大戦への道は1917年のロシア革命に対する干渉戦争であったシベリヤ出兵からはじまったことを思い起こすべきだ。同じようにスーダンでの戦争が日本国家の戦後の戦争の開始になることを、その重大性を知るべきだ。

真珠湾に向かった兵士たちには後に戦艦大和で出撃した兵士たちのような苦悩はなかったのかもしれない。あるいはあり得てもそれを表現する言葉はなかったと推察できる。彼らは真珠湾に兵士としておもむくことになる端緒も、その結末も知らなかったであろう。死者となって天国から、それを初めて知ったのだろう。英霊として祀られながら、その歴史の真実をみたというべきかも知れない、この死者の本当の声をしり、それを大事にすることと、死者を英霊と祀り封じ込める人たちとの闘いこそが戦後の戦争をめぐる闘いだった。安倍は英霊の側ではなく、意識せる兵士たる死者の側に立ってきたのか。自ずとあきらかなことだろう。僕らもあの戦争の死者を慰霊したい。何処でも、いつでもそれをやるべきだ。けれどもそこにはいつも慰霊とは何かが問われるべきだ。まだ、そしてこれからも英霊として祀ることが慰霊だという面々が結構いるのだからだ。8月の暑い日々と12月は戦争のことを想起させる日々だ。テントがあった時も、それのなき今も。

いろいろと言われてきたが安倍政治とは結局のところ、新自由主義のもとグローバリズムの枠から出ることのできなかったアメリカや西欧の政治を模倣してきただけだ。とりわけアメリカのである。12月のハワイでのオバマとの会談はその確認のようなものだ。日米同盟の深化とはそれ以上のことではない。そのアメリカにトランプが登場した。グローバリズのもたらした事態に反発する人々の基盤から出て来た面が注目される。アメリカは何処へ行こうとしているのか、という問いを発する事態がやってくるだろう。日本もまた一呼吸をおいて同じ問いを発することになるのであろうか。「いずこも同じ年の暮れ」といことではすまないことがやってくるのだろう。それは楽しみなことでもあるのだが。(三上治)

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来年の脱原発最大の課題 12月26日(月)

今年も残すところ6日、といっても年の瀬の感慨は少しもわいてこない。昼時、座り込み前を往く人々はいつもよりのんびりした様子だが経産省への挨拶参りが後を絶たない。近くの中央郵便局ロビー内は先週から挨拶待機で列をなす有様だ。テント泊りだけでは分からなかったがこれも霞が関の年末風景なのだろう。

テントニュース98号を撒く。先達ては経産省の若い女性が受け取った。本人の意志であると思いたい。ニュース配りに声をからすが経産省人はほとんど無視するからだ。

敷地内の欅は1本を残し大部分が落葉したが剪定された枝ぶりは細く不格好で本来の大らかさがない。それでもこの時期は木に留まった鳥たちの様子がよく分かる。各地で起きている鳥インフルエンザは年内で終息してほしいものだ。もちろん人も。

ニュース撒き時は対応しなかったが2時ごろ違う警官がきてバナーを外してほしいと言い、「何でこんなことを毎回伝えに来なきゃならないんだ」とぼやく。

「原発エネルギー政策を改めるまで続くよ」と伝えて物別れとなる。

外務省に向かう街宣車を公安車が追尾する。安倍が今夜向かう真珠湾慰霊への抗議を込めて「広島・長崎・東京空襲で何人死んだか分かるか」「土下座外交は止めろ」と聞き取れたが最もなる主張ではないか。来年、トランプ政権下で日米原子力協定が30年ぶりの批准年となる。21日、もんじゅ廃炉を決めた一方で核燃サイクル次段回の実証炉着手を決め、来年度に工程表を出すと発表した。

日米原子力協定の破棄行動が盛り上げられるかが脱原発に向けての最大の課題となる。今日は引継ぎまで座り込み参加者は常連だけ、これも年末の影響なのだろうか。(I・M)

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経産省・エネ庁は「今だけ、金だけ、自分だけ」の大嘘つき! その14
事故リスクを過少評価して、原発発電コストを過少計算~牧野淳一郎さん(神戸大)が岩波「科学12月号」で指摘~
木村雅英(経産省前テントひろば)

経産省(エネ庁)は原発の発電コストを、キロワット時当たり8.9円(2011年)、10.1円~(2015年)、10.2円~10.4円(本年)と計算している。
その中で「事故リスク対応費用」をキロワット時当たり「0.3円~」としているが、これが根拠のない過少計算である。

2015年4月の「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告 発電コストワーキンググループ」では、「事故リスク対応費用0.3円~」を次のように導いている。
● 福島原発事故による事故対応費用を、約12.2兆円と想定し、出力規模等により約9.1兆円に補正。
● 事故確率は、「事故は40年に一度=2000炉年に一度」という見積りをしさらに追加安全対策の効果を反映して「4000炉年に一度」と設定している。
● 損害費用は増える可能性があるために下限(0.3円)提示。廃炉・賠償費用等が1兆円増えると0.04円/kWh増加。

ここにはいくつもの間違いがある。
国内における原発の事故実績を計算すると、50基の原発を平均30年程度運転して3基が大事故を起こしたのだから、事故は500炉年に1回。「事故は40年に一度=2000炉年に一度」は経産省が発明したなんの根拠もない過小評価法。さらに、追加安全対策の効果を反映して「4000炉年に一度」と2倍にすることにも何ら根拠がない。このようにして、経産省は事故確率を1/8に計算している。

以上の検討から牧野さんは次のようにまとめた。
経産省は、2011年の「コスト等検証委員会」の2000年に1度から、追加安全対策によって事故確率が減るとして4000年に1度に設定しているが、「当初の数値に根拠がないのだから、この経産省の試算もまったく意味がないものだが、そのような無意味な数値が根拠のあるものであるかのごとくに発表されたり政策決定に使われたりしているのが現状である。」

 経産省が出す「計算」は、常に疑って見ないといけない。
これらの積み重ねで原発推進政策をでっち上げているのだ。

参考;牧野淳一郎:「3.11以後の科学リテラシーno.49」(岩波「科学12月号」

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12.29今年最後の集会と忘年会~新年正月4日の案内

経産省前テント強制撤去後4ヶ月が過ぎました。
安倍政権などは『潰してしまえば早晩消え去る』と見込んでいたでしょう。
しかし『テントひろば』を支える人々は、そんな思惑を見事に覆し、『もう悲劇・暴挙を繰り返させない!一刻も早く脱原発を』と、嵐の日も雪の日も、1日とて欠かす事なく、原発推進等の策源地たる経産省に対峙し続け、
むしろ、排除されると正門前に移り、金曜行動に加え、『院内ヒアリング』も加速化する等々、ますます鋭く迫ってきて、彼らにとっては逆効果になったと驚嘆の評価も聞かれます。

12.29(木)15時~16時『経産省前抗議集会納め』その後、16時半から忘年会(新橋事務所※参加費は千円+一品持ち寄り)年明け4日は正午から、恒例餅つき~ご近所(省庁)巡り等