原文(英文)へのリンクです:
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-32603553
BBCニュース: 日本の《再生可能エネルギー革命》がリスクに晒されている
ルーパート・ウィングフィールド-ヘイズ記者ー東京
2015年5月6日
(抄訳: グローガー理恵)
日本は原子力なしでうまくやっていけるのだろうか? それに対する短い答は: ‘イエス‘
驚くべきことに、日本はこの過去4年間、原子力なしで何とか、うまくやってきている。 2011年3月のフクシマ大災害を受けて、日本の残りの全ての原子炉48基の操業が停止された。 予測されたブラックアウトは起こらなかったし、国は問題なく機能し続けていった。
しかし、それには費用がかかった。 フクシマ災害の前は、国内のエネルギー供給の30%近くが原子力から出ていた。 しかし、フクシマ災害後、原子力は、もっと大量の石炭やガスを燃やすことで置き換えられるようになった。 そして、今日、日本は、世界で最大の液化天然ガスの輸入国となったである。
この事は、2011年以来日本の温室効果ガス排出量がかなり上昇したことを意味することにもなる。
より高価な燃料費、より多い排気ガス量は日本にとって悪いことであり、地球にとっても悪いことである。 それに対する安部晋三首相の応答は?……「原発を再稼働せよ!」….である。
しかし、原発操業の停止て以来、この4年間に、日本は、また別の事象を目撃するようなった。 – 再生可能エネルギー革命である。 そして、原子力へのカムバックは、再生可能エネルギー革命を脅かしているのかもしれない。
日本は、太陽に恵まれた気候、数多くの活火山がある山の多い島国である。 換言すれば、日本には再生可能エネルギーを発電するのための潜在的可能性のある方法が数多く存在するということである。それには、水力発電、風力、潮力、ソーラー、そして豊かな地熱などがある。
しかし、2011年以前には、再生可能エネルギーによる電力供給量は日本の総電力供給量の9%だけを占めるに過ぎなかった。 ソーラーによる電力供給はたったの1%だけであった。
原発稼働が停止された後の数年間に、日本中では太陽光発電設備の設置が躍進的に進んだ。
窮余な時期は窮余の対応措置を必要とした。 フクシマ核災害を受けて、民主党は「固定価格買い取り制度」を制定した。
誰もが自分たちの屋根の上にソーラパネルを取り付けて送電網に接続するこができるようになり、電力会社は、彼らに (ソーラー電力供給者に) 気前のよい ”40円/kWh ”を支払うことを要求されるようになった。
その反応はめざましかった。 お金が、人々の屋上のソーラーパネルだけでなく、ありとあらゆる太陽光発電設備に注ぎ込まれた。 2011年における日本に設置されたソーラーの最大出力容量は、ただの4.9ギガワットだけだった。 そのたったの3年後、2014年の末には、その発電容量が23ギガワットへと躍進した。 これで日本はイタリアを追い越して、世界で3番目のソーラパワー生産国となった。
2013年11月、エレクトロニクス大手会社 ”京セラ”は、日本でこれまでのところ最大のソーラアレイから電力を生産し始めた。 鹿児島湾の旧い造船所の敷地の中にパネルが並び、その面積は1.5平方キロメートル近くに及ぶ。 総パネルの最大出力容量は70メガワットで、2万以上の所帯に電力供給することが可能である。
これは、ほんの始まりである。 ”京セラ”は、さらに出力容量430メガワットの施設を日本の沖合いの島に建てる計画がある。 これは、13万所帯に電力供給できるほどの発電力である。
素晴らしいニュースである。 ただし、突然、それをストップするような理由が出てきたのである。
去年の末、日本の大手の電力会社が、太陽光発電事業者に、もう電力を受け入れないと言い出したのだ。 同時に、政府は、電力会社が(太陽光発電事業者に)払わなければならないことになっている新設された太陽光発電設備からの電力買取価格を27円/kWhに引き下げた。
突如、新しい太陽光発電設備をもっと多く建設する計算法に対する深刻な疑惑が生じてきた。
誰も陰謀論を示唆しているわけではない。 しかし、このタイミングがいかにも 意味ありげ なのである。
安部政権は、日本国内で広まった原発反対の動きを物ともせず、原子力のカムバックを強引に進めているのだ。 そのための最も説得力ある安部首相の言い分は、『日本は安い信頼できる「ベースロード発電 *」が必要であり、それを提供できるのは原子力だけなのである』との事である。
この主張は、日本には再生可能エネルギー源からの電力生産を大いに増加できる可能性があるという科学的裏付けに真っ向から反抗するものである。
日本の地熱の潜在的エネルギーは膨大である。 日本には119の活火山があり、地熱は安く信頼できるエネルギーであり1日24時間ぶっ通しで働ける。
しかし、これまでのところ、そのほんの僅かしか開発されていない。
同時に、日本政府が不人気で危険な原子力の復活のために、かなりの時間とエネルギーを集中させていて、彼らの再生可能エネルギー政策が全く混乱しているように見えるのは、異様な事である。
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(注)
* ベースロード発電所(Base load power plant)は、電力供給網における一日の需要の最低水準であるベースロード(基礎負荷)の要件を継続的に満たす信頼性の高い発電が可能な発電所。堅実な電力システムの基礎となっている。 (ソース:Wikipedia)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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