1)元日大全共闘の東條守です。1966年入学で、今は「怒りをうたえ」DVD版編集委員会
として活動しています。
70年安保・沖縄闘争の長編記録映画「怒りをうたえ」は第1巻1968年10月21日の国際反戦闘争(防衛庁、新宿騒乱闘争)から第3巻1970年6月23日日米安保条約自動延長の日までの1年9か月の集会、デモの記録です。一言で言えば佐藤訪米阻止、70年安保粉砕のスローガンを掲げて、街頭闘争・ストライキ等の実力行動で学生、労働者、市民、農民等が、国家権力の弾圧と闘った抵抗の歴史です。「70年安保はアメリカが戦争をやれば日本もやらざるをえない軍事条約であり、この映画で安保条約の内容をはっきりさせる」と宮島義勇(よしお)監督は言われました。2025年の今に噴出しているいろいろな政治社会問題の出発点が、この映画の中にあります。沖縄の基地問題もそうです。米軍によるベトナムの非武装住民への虐殺として告発されたソンミ村事件は、1968年3月のことです。わずか数時間で504人が虐殺され、182人が女性、173人が子ども、実に7割に及びます。現在イスラエル軍によるガザ大虐殺が続いています。ソンミ村事件の比ではなく病院・学校・難民キャンプが無差別に攻撃されています。アメリカや日本などG7各国はイスラエルを擁護し、虐殺に加担しています。「怒りをうたえ」にあるベトナム反戦の闘いを受けて、私たちはガザ大虐殺に抗議し、戦争と抑圧によって成り立っている今の世界のあり方に対して、「このままでいいのか?」と声をあげパレスチナと連帯し、戦争をとめるため共に考え、行動していかなければなりません。
2)「怒りをうたえ」は全3部作、上映時間約8時間の大作で、1960年代後半宮島監督の呼びかけに、土本典昭、小川伸介、東陽一、黒木和雄氏ら100人を超える映画関係者がボランティアで協力、完成したものです。「60年安保当時、映画人は記録映画を作らなかった」(宮島監督)という反省があり、あえて若手映画人に呼びかけたものです。
また「この映画は芸術作品ではなく、政治的アジビラとして多くの人に観てもらいたい」(宮島監督)と言われました。そのためにはDVD版としての新編集が必要となりました。メニュー付きDVDとして作成し、メインメニューの画面と、シーン選択用の画面を持つDVDにしました。また「チャプター機能」により、書籍の目次と同じように、動画に収められている闘争テーマが一目でわかり選択できるようになっています。見たい場面を素早く観ることができます。政治的アジビラのごとく自宅で簡単に観ることができます。今回は8時間作品をDVD3枚組・24チャプター、ナレーションの字幕付きとして編集いたしました。
・また登場する数多くの労働者・学生・市民活動家、農民、政党・労組幹部の肩書と氏名は可能なかぎり表示しました。
・映画には闘争歌の合唱の場面が出てきます。「インターナショナル」「ワルシャワ労働歌」など。若い人たちにも共有していただければと、曲名と歌詞の字幕を入れました。60年安保闘争で亡くなった樺美智子さんの墓前祭で流れてくる「同志は斃れぬ」「忘れまい6・15」の歌詞とメロディは、このDVDで覚えることが出来ます。
3)2023年10月8日に発売したDVDは模索舎とAmazonで販売しております。映像・演劇関係者、運動史研究者の方をはじめ、69年4・28沖縄闘争の場面に自分が映っているので懐かしく手元に置いておきたいという方もおります。
約50分にまとめたダイジェスト版DVDがありますので、ダイジェスト版上映会を各地で展開しております。
・2023年10・8山﨑博昭プロジェクト(東京、関西)
・2024年3月17日関西上映会(WEBリベラシオン社:岩田吾郎)
・2024年11月10日同志社大学学友会倶楽部「70年安保闘争を観る、語る会」
同志社大学では約40名参加。幹事の方からお手紙をいただきました。「「怒りをうたえ」上映会にご協力いただきありがとうございました。お送りいただいた冊子類が大変好評で、又映像の迫力に満足してもらえたと思います。」
そしてメールでは「お尋ねの中央大学でのアジテーターは、7対3の割合で、藤本敏夫さんに間違いないだろうとのことになりました。」
これは1993年4月1日発行の「怒りをうたえ」創刊号8頁で塩見孝也さんが「映画では一番最初に防衛庁闘争が出てくるわけですけれど、中央大学でアジテーションしている人は、当時の全学連委員長の藤本敏夫君だと思います」と述べられている真偽のほどを確かめたいと、私から幹事の方にお願いしていた件の回答になります。藤本さんは同志社大学なので、一緒に活動していた仲間が集まると思いお願いしていました。一つのエピソードです。
4)宮島監督は1998年89歳で逝去されましたが、撮影にあたっての基本姿勢は「機動隊の後ろから撮るな。闘争している側から撮れ」と常に言われ、何度も権力に囲まれたそうです。そんな宮島監督と一緒に、1992年から「怒りをうたえ」上映運動をされてきたのが三浦暉(あきら)さんです。70年安保闘争統一被告団事務局長で83歳になられて、ご自宅に伺ったとき、「君これ持って帰りたまえ」と部屋の奥から持ち出されたのが、赤い表紙の「怒りをうたえ」48頁の小冊子です。また8時間の本編から全ナレーションを採録し、おもな登場人物の名前、写真を掲載し、各シーンの時間表示を記載した「怒りをうたえ」鑑賞用手引き書とも言えるナレーション文字お越し小冊子(47頁)もあります。
5)ウェブサイトちきゅう座の呼びかけで2025年2月24日(月)(振替休日)午後「怒りをうたえ」ダイジェスト版上映会が開催されることになりました。場所は東京都文京区本郷4丁目8-3「文京区男女平等センター」研修室Bです。
ある人が「新たな安保・沖縄闘争を作り出そう」「沖縄で県民大会が開かれない。既成勢力が崩れているからだ」と話されました。そういえば映画「怒りをうたえ」では何度も県民大会の様子が流れていました。大学内での学生集会や沖縄の県民大会が当たり前に開かれていた時代があったことを、この映画で若い人たちに伝えていきたいと思います。
「こんな映画、初めて見た!」「もっと、当時のことをよく知りたい!」今の若者にこんな反響が起きることを期待したいと思います。
(以上) 2025年1月16日
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
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