EcoWatchから─Harvey Wasserman著: 日本の新しき「フクシマ・ファシズム」

反核活動家/環境保護者/ライター/ジャーナリスト/民主主義アクティヴィストであるハーヴィー・ウァッサーマン氏著の「日本の新しきフクシマ・ファシズ ム」と題された、日本で現在論争の的となっている「特定秘密保護法」がもたらす、フクシマ原発災害の状況に関する情報の秘匿を大いに懸念する記事がEcoWatchサイトに掲載されていますので、それを抄訳してご紹介させて戴きます。

訳注:-ウァッサーマン氏が朝日新聞の記事を紹介している箇所が4番めのParagraphに出てきます。できるだけ朝日新聞記事の原文をそのまま書きたいと思いネットサーチしてみたのですが、残念ながら原文を見つけることができませんでした。それで英文をそのまま和訳してあります。

-抄訳ですが、概要的に訳している箇所もあります。

原文へのリンクです。:

http://ecowatch.com/2013/12/11/japans-new-fukushima-fascism/

日本の新しき「フクシマ・ファシズム」

著者: 1)ハーヴィー・ウァッサーマン (Harvey Wasserman)

2013 年12月 11日

( 抄訳: グローガー理恵 )

フクシマは放射能を間断なく噴出し続けている。その量は上昇していっているようであり、同様に、そのインパクトも深刻化していっているようである。

フクシマ原発事故現場においては組織的犯罪が浸透していっている。太平洋における環境/生態上の破壊や、米国においては人間健康への影響といった、恐るべき兆候( horrifying signs )が現れている。

しかし、日本国内では新規の国家秘密保護法によって、そのような情報を明らかにすることは、最長10年までの禁固刑に科せられることになる。

日本の山本太郎参院議員は、「特定秘密保護法は、ファシスト国家の再現へと導く(一部官僚と政治家の)クーデターを意味している」と述べている。多大な影響力をもつ大手メディア朝日新聞は、特定秘密保護法を、真珠湾攻撃に先んじて全体主義国家日本によって承認された「陰謀法案」になぞらえ、フクシマ核災害に関する独立報道が終止されてしまう可能性があるとの警報を発している。

しかし、日本国民と世界中の人類を最も重苦しく覆っているのは「フクシマ」である。

東京電力は、猛烈に損壊された4号機上の高空に漂う高熱の炉心を下方に降ろす作業を始めたが、メディア取材を厳重に取り締まり、ニュース・ヘリコプターが炉心取り出し作業を撮影することについて苦情を述べている

新しい国家秘密保護法のもとでは、政府が、我々全員を脅かしているフクシマ災害を秘匿の暗闇で覆い、フクシマにおける状況がどのようであろうとも、あらゆる独立したメディアを追放しー逮捕するーことができるようになる。

誰から聞いても、フクシマ現場における可能な限りのクリーンアップを為し遂げるには、何十年もかかることになるという。

民間会社として東京電力は、(フクシマ現場クリーンアップの)手抜きをしたり賃金を削減したりして、フクシマ核事故クリーンアップ作業を民間利益センターに変えることにした。

東電は、十分な(クリーンアップの)機会を持つことになるだろう。計り知れない脅威を提起している4号機の燃料プールに絡まる難題を処理解決するためには長い年数がかかる可能性がある。
しかし4号機だけではなく、1号機、2号機、3号機における燃料プールもある。フクシマ現場の端から端まで全域に、1945年にヒロシマを襲った死の灰の何千倍もの量のフォールアウトを引き起こす可能性を潜めた、無数の、激烈な放射性を持つ核炉心(複数 )や他の物質(複数)が散らばっている。

原発事故のすぐ後に、東電はフクシマ現場の作業人員を削減した。それ以来何人かの作業員を復職させたが、賃金のカットを行った。いかがわしい請負業者らは、労働者達を恐ろしい状況にあるフクシマ現場で働かせるため、折り返し、訓練されていない未熟な労働者達をフクシマ現場へと送り出している。

今、莫大な量の放射能汚染水が、臨時作業員達によって設けられた、漏洩する貯水タンク(複数 )の中に収められている。作業員たち自らが、自分たちのつくった貯水タンクはちゃちに出来ている(shoddy construction)との警告をしている。

東電は現場で処理管理できない余分な汚染水は、いずれにせよ太平洋に放出するかもしれない(dump the excess water)と述べている。2)アルジュン・マキージャニ(Arjun Makhijani)氏は、汚染水の処理が可能になるまで汚染水をスーパータンカーに保管するようにと主張していたが、この提案は無視されてしまっている。

日々、何百トンもの水が周辺の山々から流れ落ちてきて放射能汚染された現場を通って太平洋へと流出していっている。ずっと以前に、原子力技師の3)アーニー・ガンダーセン(Arnie Gundersen)氏が、溝を掘って溝中に吸収剤を詰め、水の流れる方向を変えるようにと東電に提案したのだが、彼は東電に、その費用が莫大すぎるからと、きっぱり言われた。

そして現在、東電は4)凍土遮水壁を設けたいというが、凍土壁の設置作業が完了するまで少なくとも2年間はかかるという。凍土壁を凍らせ続けなければならないエネルギーがどこから来るのか、もしくは、一体それが実際に機能するものなのかどうなのか、はっきりとしていない。

フクシマからの放射性降下物が既に、アラスカ沖で検出されている(detected off the coast of Alaska)。世界的介入がなければ、フクシマから放出される長命のアイソトープは、これから何十年もの間、生物圏へと流れ込み続けていくだろう。

そして日本政府は、フクシマ災害の真っ最中、50基の原子炉を再稼働させようとしている。

秘密保護法によって、日本の民主主義は、フクシマ以前の過去の名残りとなってしまうのかもしれない。

秘密保護法は、今、絶え間なくエスカレートしていっている、極めて危険な世界的大災害「フクシマ」に関する全ての情報をコントロールすることになる核レジームの破壊的刻印である。

以上

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1)ハーヴィー・ウァッサーマン(Harvey Wasserman): アメリカ人のジャーナリスト、著述家、民主主義アクティヴィスト、再生可能エネルギー支持者。彼は30年間以上にわたり米国での反核運動において、ストラテジストおよびオーガナイザーとして活躍してきており、グリーンピースUSAおよび*核情報資料サービス(Nuclear Information and Resource Service)のシニアアドバイザーでもある。(ソース: Wikipedia )

*核情報資料サービスについてWikipedia(和文 )へのリンク:

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B8%E6%83%85%E5%A0%B1%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9

2)アルジュン・マキージャニ(Arjun Makhijani): エネルギーおよび原子力イシューの分野で37年の経験をもつ米国の電気技師/原子力技術者。「Institute for Energy and Environmental Research ( IEER-エネルギー&環境研究インスティチュート)」の所長。IEERは核関係の研究を20年間行ってきている。IEERはマリーランドにある独立した非営利組織。彼は核廃棄物処理のスペシャリストでもある。

( ソース: Wikipedia)

3)アーニー・ガンダーセン(Arnie Gundersen): Arnie Gundersenはエネルギー・コンサルティング会社のフェアウィンズ・アソシエーツのチーフ・エンジニアで原子力撤廃論者である。かつては原子力産業で1990年まで働いていた。…続きはWikipediaをご覧下さい。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3

4)凍土遮水壁に関する「ちきゅう座」記事:https://chikyuza.net/archives/37962

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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