フランスでは12月まで新型コロナウイルス対策で、今年、2回目のconfinement(必要がない限り、自宅で過ごすこと)を求められています。しかし、そんな中、人々を町に駆り出している原因の1つが、与党が法制化しようとしている”sécurité globale”法案です。特にこの中の24条です。
これは機動隊や警察官、憲兵隊が活動している姿を、個人が識別できる形で撮影して公開することを禁止する目的です。そのため、表現の自由や知る権利への抑圧であるとして、労働組合や野党、人権擁護の活動家、ジャーナリスト、その他の人々から強い反対の声が出ています。この法案が通ってしまったら、機動隊と人々がもみ合っている姿や普段の警察の行動をビデオカメラや携帯電話などで撮影して、逮捕や拘束などで何か違法性や行き過ぎがあると、それを人々に知らしめて警鐘を鳴らす、ということができなくなってしまうことを彼らは危惧しています。
実はデモを行う人々を警察官や機動隊などが足蹴にしたり、殴りつけたりしているシーンは相当、いろんな人に撮影されていて、SNSで拡散され続けています。女性や高齢者が殴られたり、地面に倒されたりするようなシーンはインターネットで、よく目にします。その一方で、そうした現場を撮影していたカメラマンや市民らが警察のゴム弾で目を直撃されて失明する、というのも多数に上っています。運動をしている人たちの中には、それでも撮影を続け、公開を続けると声明をあげている人々がいます。確かに警察官にも人権はあるのですが、しかし、警察官たちの行為の行き過ぎを監視することは市民にとって必要なことです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 https://chikyuza.net/
〔opinion10324:201129〕