2014年7月27日
集団的自衛権の行使容認を閣議決定で強行しようとする政府の動きが強まった今年の5月以降、NHK「ニュース7」を、録画を取りながら、ウオッチしている。すべての定時のニュース番組をウオッチするのに越したことはないが、個人の作業としては、そこまで手が回らない。それならと、NHKのニュース番組の中で最も視聴率が高い「ニュース7」に絞った次第である。
国連の人権勧告をさらりとかわした「ニュース7」
7月25日のNHK「NEWS WEB」を検索すると、同じ話題(国連の自由権規約委員会が日本に対して人権状況の改善を求める勧告を発表したという話題)を取り上げた3つ記事が掲載されていた(カッコ内の数字は各記事がNEWS WEBに投稿された日時を示す)。
①「『知る権利の保障を』国連の委員会が日本に勧告」(7月25日 4時14分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140725/k10013275761000.html
「各国の人権状況を審査する国連の委員会は24日、日本について特定秘密保護法の適用にあたって国民の知る権利を保障することやヘイトスピーチと呼ばれる民族差別をあおる街宣活動を禁止するよう勧告しました。
国連の自由権規約委員会は、表現の自由や男女の平等などの基本的な人権が日本で守られているかどうか審査した結果を、24日にスイスのジュネーブで発表しました。
それによりますと、およそ20の点について日本に対する勧告が行われ、このうち年内に施行されることになっている特定秘密保護法については「国民の知る権利を保障する国際条約と適合するよう、あらゆる措置をとるべきだ」と指摘しています。
またヘイトスピーチについては「差別や敵意、暴力につながるような人種的優越感や憎悪を助長する、宣伝行為をすべて国が禁止するべきだ」としています。
このほか、これまでの審査と同様に、死刑の廃止を検討することや、いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り国家としての責任を認めて公式に謝罪することなども盛り込んでいます。
委員会が発表した文書に法的な拘束力はありませんが、国連の公式文書であるだけに、今後日本政府に対して改善を求める声が内外で強まることも予想されます。」
②「官房長官 国連勧告残念 強制示す記述なし」(7月25日 20時09分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140725/k10013300491000.html
③「NGO『国連の人権改善勧告 速やかに実行を』」(7月25日 21時13分) http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140725/k10013301181000.html
ヘイトスピーチといい、秘密保護法といい、死刑廃止問題といい、従軍慰安婦問題といい、日本の内政、外交上の重要問題が網羅された国連の委員会勧告である。
しかし、その日の「NHK ニュース7」では、①は、短い時間配分のフラッシュニュースも含め、一切、報道されなかった。NHK ONLINE の「ON DIMAND」の一覧にも載っていないので、今日、「NHKふれあいセンター」(☎0570-066-066) に問い合わせて調べてもらったところ、次のとおりだった。
①は25日の「おはよう日本」で4時32分37秒から放送されたとのこと。し
かし、この日の(「ニュース7」だけでなく)「ニュースウオッチ9」で
も放送されていない。
②はBS1のニュース番組で放送された模様(何時のニュースかは未確認と
のこと)。
③は筆者自身、未調査。
この間の「ニュース7」のウオッチ活動をしていて気が付いたのは、
*その日の早い時刻のニュースで放送された重要な話題でも、「ニュー
ス7」では省かれることが少なくない。
*重要なニュースが短い時間配分のフラッシュニュースで、さらりと伝
えられることがある。
という点である。
佐賀県へのオスプレイ配備を例にして言うと
これを、佐賀県へのオスプレイ配備を例にして言うと次のとおりである。
*7月19日、「ニュース7」では、画面上、フラッシュニュースのリスト
に挙げながら、読み上げがパスされた。
*7月20日、昼のニュースで「オスプレイの配備検討 佐賀県知事に伝え
る」という見出しで放送したが「ニュース7」では放送されなかった。
*7月22日の「ニュース7」のフラッシュニュースのコーナーで短く伝
えられた。
こうした経緯を見ると、佐賀県へのオスプレイ配備問題 ~広くいえば、政府が国民に周知されることを好まないと思われる問題 ~を「ニュース7」は極力、「控え目に」扱おうとしている気配を読み取れる。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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