【NPO法人原子力資料情報室 声明】日米原子力協力協定自動延長、核燃サイクルは放棄すべきだ / 【イベントご案内】 8月2日14時半-17時 「再処理政策の経済性を問う」

ご多忙のところ失礼致します。原子力資料情報室の松久保と申します。

NPO
法人原子力資料情報室は日米原子力協力協定が自動延長期間にはいったことをうけて、以下の声明を発表いたしました。どうぞご一読下さい。

また、82日には米国のトーマス・カントリーマン元国務次官代理を招いて、シンポジウムを開催いたします(詳細は下記参照)。ぜひ足をお運びください。

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NPO
法人原子力資料情報室 声明

日米原子力協力協定自動延長、核燃サイクルは放棄すべきだ

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2018
717
NPO
法人原子力資料情報室

7
16日、1988年に締結された日米原子力協力協定は30年の協定期間を満了し、本日から自動延長期間に入った。

同協定において米国は日本に対して、米国から輸出された核物質や資機材などを通じて使用された使用済み燃料の再処理を容認している。再処理によって取り出されるのは核兵器にも転用可能なプルトニウムだ。現在日本はこのきわめて危険な物質を国内外に46.9トン保有している。

この間、日本は、プルトニウムの利用に向けて、巨額の資金を投じてきた。しかしその結果は惨憺たるものだ。プルトニウム利用の主役としてきた高速増殖炉は当初1970年代としていた実用化目標が繰り返し延期され、高速増殖実証炉もんじゅの廃炉とともに、もはや計画を立てることすら困難だ。かつて研究開発されていた新型転換炉は買い手が見つからず断念。高速増殖炉開発に手間取る中、プルトニウムを利用するために取られた策が、軽水炉でのMOX燃料(プルトニウムとウランを混ぜた燃料)の利用である。計画では、2010年には1618基稼働としていたが、2018年に至ってもわずか3基(仮処分中の伊方3は除く)に過ぎない。

では、プルトニウム取り出し側はどうか。1977年、米国からの3年稼働凍結要求に、「民族の死活問題」とまで言って抵抗した東海再処理施設は2014年に廃止が決まったが、度重なる事故やトラブルから、その通算再処理量はわずか1,140トンと、当初計画の20%にも満たない処理量にとどまった。現在建設中の六ヶ所再処理工場も、すでに24回の竣工延期を重ねている。もはや利用も取り出しも行き詰ったというのが現実だ。

さらに現実的には軽水炉でのMOX利用ではプルトニウム消費は限定的だ。たとえば、英国に保管しているプルトニウムについては、英国側にさらに国内保管分についても、その多くが分離から長時間が経過するため、崩壊が進みマイナーアクチノイドが増加している。マイナーアクチノイドが増加した燃料は軽水炉で利用するには困難が伴う。結果、日本が保有する多くのプルトニウムは軽水炉で利用することはできない。

プルトニウムの利用も取り出しもままならない中、六ヶ所再処理工場とMOX燃料工場の総コスト見積もりは現時点で16.2兆円にのぼり、今後も上昇する可能性は高い。こうしたコストは電気料金として徴収されている。さらに、再処理工場の稼働には、通常運転時においてさえ、大量の放射性物質の放出をともなう。軽水炉でのMOX利用は、過酷事故時のリスク増大要因だ。発熱量の高い使用済みMOX燃料は、プール火災のリスクを高める。わずか7年前、福島第一原発4号機では使用済み燃料プールが干上がり、あわや首都圏3000万人の避難すら可能性があった。

日本の再処理は単に技術、経済、安全の問題だけでなく、国際安全保障の観点からも危うい。国際社会においては、なぜ日本は再処理を認められて自国はできないのかと主張する国々が複数存在している。いかに再処理に経済的なメリットがなくとも、日本が実施することで、日本が他国の事例をだして政策の正当化を図るのと同じように、ある意味の正当化理由となっているのだ。再処理やウラン濃縮技術を保有することは、核兵器保有へのハードルを大きく下げる。結果、日本の再処理実施は、再処理の魅力を維持し、さらに核拡散のリスクをも高めている。また一方で、北朝鮮や中国などは、日本のプルトニウム保有をさして、日本は核兵器保有能力があると指摘してきた。これは、現在行われてい る朝鮮半島非核化にむけた動きの中で、北朝鮮が再処理能力維持の口実に使われかねない点だ。

かつて、1950年代、日本が原子力導入に乗り出したころ、世界では、プルトニウム利用に対して、きわめて楽観的な将来像が描かれていた。多くの国が研究開発を行った。しかし、実際にプルトニウム利用に乗り出した国の中で、現在、プルトニウムの民生利用を行っている国はフランスと日本のみだ。当室は、この問題について繰り返し米国側と意見交換を行ってきたが、米国側の大勢は日本が再処理を放棄することを歓迎するものだった。

日本が再処理をやめることができないのは純粋に国内要因であるといえよう。そろそろ、日本政府もプルトニウムの悪夢から覚めてもよいころだ。

そこで、私たちは日本政府に対して、以下のように提言する。

1.核燃料サイクル政策からの即時撤退
2.青森県との新たな地域振興に向けた交渉に取り組む
3.分離済みの46.9トンのプルトニウムのMOX利用を伴わずに処理すること

具体的には
i
英国保管分については英国が既に提案しているように引き取り交渉に応じること

ii)それ以外については、現在米国が検討を進めている希釈化処分について、米国側への共同研究開発を提案すること

以上

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イベントご案内

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2018
82日 

再処理政策の経済性を問う

http://www.cnic.jp/7907 

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▲講演
 トーマス・カントリーマン(米軍備管理協会理事長、元米国務次官代理)

▲パネルディスカッション
鈴木達治郎(長崎大学教授)、辰巳菊子(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)常任顧問)、トーマス・カントリーマン、他

・日時:201882日 14301700(開場1400

・場所:衆議院第一議員会館 多目的ホール
 (最寄り駅:東京メトロ 国会議事堂前駅・永田町駅)

・主催:原子力資料情報室・新外交イニシアティブ

・資料代:1000円(ND会員・学生は無料、同時通訳有り)

・お問い合わせ:
 NPO法人原子力資料情報室 TEL03-3357-3800, FAX03-3357-3801,
email
contact@cnic.jp

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