ニューヨークタイムズの4月24日付の社説は、168人の議員団による靖国神社参拝を以下のように批判した。
Japan’s Unnecessary Nationalism
http://www.nytimes.com/2013/04/24/opinion/japans-unnecessary-nationalism.html
社説:無用な日本の国家主義
論説委員会
2013年4月23日
昨年12月に日本の首相の座を継承して以来、安倍晋三と彼が属する保守的な自民党は、日本経済の活性化や、2011年の地震と津波の被害からの復興、北朝鮮のような近隣諸国とのこじれた関係の調整を始めとする、込み入った問題が山積した課題リストを曲芸のようにこなしている。外国で物議をかもすのは逆効果なのだが、まさにそれは安倍氏と国家主義者の議員仲間たちがしてきたことなのだ。
23日に、多くは下級の保守系議員からなる168人の議員団が東京都心にある靖国神社に参拝した。ここには日本の戦没者がまつられ、第二次大戦後に戦犯として処刑された者も何人か含まれている。今回は国会議員による集団参拝としては近年で最大のものだった。安倍氏は参拝を見送り供物を奉納したが、副総理ら閣僚三人が週末に参拝したと、日本のマスコミは報じた。安倍氏には第二次大戦中の日本の行為を擁護した前歴がある。
20世紀日本の帝国拡大と軍国主義に苦しめられた中国と韓国にとって、これがどれほど根深くデリケートな問題であるかを、安倍氏と彼の取り巻きは良く知っており、その後の反応は予想できるものだった。22日に、韓国は外務大臣の訪日をとりやめ、中国は公然と日本を非難した。23日には東シナ海の紛争中の島々で中国と日本の船団が集結し、緊張はさらに高まった。
日中両国は領土問題の平和的解決に取り組む必要がある。しかし、北朝鮮の核開発問題を解決するために各国が協力して取り組む必要がある時に、日本が中国と韓国の敵意を煽るのは特に無謀なことであるように見える。
歴史的な傷を悪化させるのではなく、長く停滞している経済の改善と、アジアと世界での指導的民主国家としての役割強化に重点を置いて、日本の将来を構想することに、安倍氏は集中すべきである。
(翻訳 酒井泰幸)
(4月27日追記)
日本のメディアによるこの社説についての報道:
しんぶん赤旗 靖国参拝「不要な国粋主義」 NY・タイムズ紙が社説
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-26/2013042601_07_1.html
テレ朝 靖国参拝「不必要な国粋主義」米メディアが懸念
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000004264.html
初出:「ピースフィロソフィ―」2013.4.26より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/04/nyt-japans-unnecessary-nationalism.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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