right と rex

「right をどう訳すべきか」はともかく、以下は「rightの元々の意味はなにか」の話。

こういうのは、素人にはなかなか解らないんだけど、rightに関しては、バンヴェニストの「インド=ヨーロッパ諸制度語彙集」(翻訳 言叢社)に詳しい話が。

それで御存知の方は多いとは思うけど、念のため、ちょっとだけ引用。

(引用開始)

<ラテン語の rectus には, ギリシャ語の euthús を訳出したゴート語の raihts 《まっすぐな》や, 古ペルシャ語の rāsta が対応し, 後者は《まっすぐな[=正しい]道を捨てるなかれ》といった明確な文脈の中で, 《道》の修飾語となっている.>

<最初はまったく物理的なものであったが, すぐに道徳的意味へと発展>

<この二重の概念は regere  fines にみられ, 字義通りには《境界線をまっすぐに引く》を意味する. これは神殿や都市を築く際に大祭司によって執り行われる作業で,・・・>

<そして, この線引きは至上の権力を付与された人物rexによって実行される.>(以上II.p.10-11)

(引用終わり)

ということでなんですが、それでは、rightは、「まっすぐな」と訳すべきかといえば、それは別問題。

なんせ、権力者rexの方も「線をまっすぐ引く」なんてことは、はるか昔に止めてしまって、王様=「権力を恣意的に行使する人物」になってしまった。てぇーと、rightのほうも「ひんまがってる」んでは?

(ということで、rightも、「利権」と訳すのが妥当か?)