岩田昌征の執筆一覧

コロナ・ワクチン接種の世代間不公平感――あわせて政策説明の合理性を考える――

著者: 岩田昌征

 ある理髪店で、若い理髪師と御主人を相手にこんな会話を交わした。  「お客さんのところへコロナ・ワクチン接種券とどきましたか。」  「うん、とどいたよ。」  「どう思いますか。老人達ではなく、毎日毎日通勤電車で仕事に行く

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木村三浩氏 戦争犯罪裁判論の実例――『情況』(2021年春)を読む――

著者: 岩田昌征

新左翼系季刊誌『情況』2021年春号が「国防論のタブーをやぶる」なる特集を組んでいる。20世紀末、平成19年度と平成20年度、千葉大学博士課程大学院=社会文化科学研究科(「日本研究専攻」と「都市研究専攻」から成る)の科長

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原朗著『創作か盗作か』の一読感想――小林版も読みたい――

著者: 岩田昌征

私の手元に東京国際大学大学院経済学研究科の学術誌『経済研究』第12号(2010年・平成22年)がある。原朗教授の最終講義「開港百五十年史――小江戸・大江戸・そして横浜」(pp.1-31)と私=岩田昌征の最終講義「党社会主

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内田樹『日本習合論』における『君が代』論寸評――「君が代」はフェントン作曲・エッケルト改作ではない――

著者: 岩田昌征

 内田樹『日本習合論』(ミシマ社、2020年・令和2年)を通読して思った。神仏習合、更に神仏儒習合が日本社会生成の内的潜在力によるとすれば、馬克思(マルクス)主義もまた習合されて、神仏儒馬習合が日本の未来かも知れない、と

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セルビアはコロナ・ワクチンを去年12月24日に接種開始――国家社会の独立の具体的意味――

著者: 岩田昌征

 ロシア、中国、アメリカ、EU諸国、イギリス、インドネシア、トルコ等でコロナ・ワクチン接種が国民的規模で始まった。治療薬が開発されるまでに人類がコロナ・ウィルスに対して出来る唯一の積極的対応である。  我が祖国日本ではワ

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上野東照宮境内の「広島・長崎の火」記念碑の運命――二つの石碑の日本史的意味の差は如何に――

著者: 岩田昌征

 正月5日に上野東照宮に初詣した事は前に記した。  今年の東照宮には、去年まで存在していたある物が姿を消していた。それは、「広島・長崎の火」記念碑である。  「ぼたん苑」を出ると、参道の向こう側に何やら千羽鶴で飾られた石

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初詣雑感――セルビア常民の幸を日本常民の神々に祈る――

著者: 岩田昌征

 今年の初参りは、神社境内の三蜜を避けて、正月5日と6日にした。静にして吉(良、善)かりき。  例年ならば、1月1日零時頃、代田八幡前の参道ならぬ普通道路で善男善女の一人として行列をし、参拝を待つ時間を楽しむ。深夜運転の

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『人新世の「資本論」』の脱成長コミュニズム論への個人的感想

著者: 岩田昌征

 斎藤幸平著『人新世の「資本論」』(集英社新書、令和2年・2020年)を一読した。  資本主義の圧倒的生産力と言う形をとった人間活動が新しい地質時代、人新世を形成しつつある。すなわち、資本主義のエネルギー・物質使用量が地

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三島由紀夫 同世代の知識人による憲法侵犯――信書開封・英訳と安保堅持心性――

著者: 岩田昌征

 前述したように、アメリカ占領軍の占領行政の要として、CCD・民間検閲局が設置され、昭和20年・1945年9月から昭和24年・1949年10月まで日本各地の主要郵便局を拠点と定め、日本国民の信書(手紙・葉書)・電報を検閲

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CCDの終焉と、戦後知識人の原罪、そして日本学術会議の発足――山本武利教授の著書に学ぶ――

著者: 岩田昌征

 日本学術会議は昭和24年・1949年1月に発足した。令和2年・2020年の秋日本国政府は、学術会議の人文社会系学者に行政権力的圧力を正門から放って、骨の無い御用学者を育成しようと決意したかの如くに見える。  日本学術会

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映画『スパイの妻』パンフレットに感じる言論の不自由

著者: 岩田昌征

 ヴェネチア銀獅子賞映画『スパイの妻』を観た。  対米英戦突入の1年前、昭和15年・1940年の神戸が舞台だ。裕福な貿易商が満州を自家用映画カメラを持って観光旅行していて、全く偶然に日本帝国関東軍の細菌戦とそこにおける没

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許紀霖の好著『普遍的価値を求める 中国現代思想の新潮流 』(法政大学出版局、2020年)を批判的に検討する

著者: 岩田昌征

 許紀霖著『普遍的価値を求める 中国現代思想の新潮流 』(中島隆博/王前監訳、法政大学出版局、2020年・令和2年)を一読した。  私=岩田は、本書を全面的に評価する上で必要な現代中国思想界についても、社会思想一般につい

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河村哲二氏のアメリカ戦時経済体制論と20世紀最後の年の対セルビア大空爆

著者: 岩田昌征

 昭和16年(1941年)12月1日の午前会議で、陸軍開戦派だけでなく、宮中和平派や海軍避戦派も、対米戦争へ決意させたもの、それはハルノートであった。仮にだが、大日本帝国がハルノートを受託していたならば、あの不幸な大東亜

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『中国は社会主義か』合評会における批判への回答

著者: 岩田昌征

 8月2日(日)、芦田文夫・井出啓二・大西広・聽濤弘・山本恒人著『中国は社会主義か』(かもがわ出版 令和2年6月)の合評会に参加した。Zoom形式である。  瀬戸、境両氏の論評と大西、聽濤、山本三氏の応答が終わって、討論

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ミッドウェイ海戦の米航空兵捕虜虐殺――戸高一成/大木毅『帝国軍人』より――

著者: 岩田昌征

 令和元年(2019年)12月3日の「ちきゅう座」「評論・紹介・意見」欄に「霜月15日、ポーランド国の首都 ワルシャワの映画館にて米中協力米国映画『ミッドウェイ』を観る」を発表した。そこで腰折れ七首の前書きとして次のよう

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福島原発 アルプス処理水の有効利用を考えるべし――海中気中放出にかえて――

著者: 岩田昌征

 参院議員会館にて福島原発行動隊の院内集会で福島第一原発の多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水の海洋放出問題に関する中央水産研究所研究者と福島漁業協同組合理事の報告を聴いた。6月と7月のことだ。  両者の報告の

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60年安保を想う――1960年6月3日と1959年11月27日――

著者: 岩田昌征

 『流砂』(2020年第18号)を国政記念会館における60年安保60周年記念集会の場で主催者の一人三上治氏より頂戴した。また伊藤述史氏からもすでに贈られていた。記して感謝したい。  60年安保に関する『流砂』の文章二個所

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ドクトル・ジバゴ、プレオブラジェンスキー教授、渋沢敬三大蔵大臣―岩田トリアーデ体系論の立場に立って論ず―

著者: 岩田昌征

NHKBSプレミアム、5月5日13時、偶然に映画『ドクトル・ジバゴ』を観た。米伊合作映画のようだ。 党社会主義崩壊後のポーランドや旧ユーゴスラヴィアにおける革命前所有者に国有化された資産(不動産である土地・建物)を返還す

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コロナ死と自殺―岩田トリアーデ体系論の視点より―

著者: 岩田昌征

『朝日新聞』(5月9日)の「耕論」面に小林慶一郎東京財団政策研究所研究主幹が「人命も経済も第三の道を」なる提言をコロナ禍中経済について行っていた。コロナ起因死に対比させて、経済収縮起因死の自殺の重大性を警告している。そこ

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私有財産制下の大コロナ禍―岩田トリアーデ体系論の視点から―

著者: 岩田昌征

かつて30年前までは、資本主義的市場経済と並んで、ソ連型の社会主義経済とユーゴスラヴィア型の社会主義経済が対抗的に存在していた。今日、ソ連もユーゴスラヴィアも国家として解体されて、もはや存在していない。 ソ連型は、国有財

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昭和21年財産税と中東欧の財産再私有化

著者: 岩田昌征

ここ数年「ちきゅう座」に中東欧諸国、特にポーランドやセルビアにおける再私有化・財産返還問題について何回か書いてきた。第二次世界大戦終了後に社会主義・共産主義政権が断行した巨大私有財産の公有化を、半世紀以上経過した今日にな

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「欧州人権裁判所と旧有産者階級―セルビアとポーランドの再私有化実例―

著者: 岩田昌征

ベオグラードとワルシャワの再私有化 バルカンのセルビア共和国の首都ベオグラードや中央ヨーロッパのポーランドの首都ワルシャワを訪ねるたびに、いやな光景を見ざるを得ず心が楽しまない。社会主義から資本主義への、共産党体制から自

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「建国記念の日」に寄せて―2月11日は私の正月1日―

著者: 岩田昌征

新年の礼楽といえば、近年はNHKテレビ中継のウィーンフィル「ニューイヤーコンサート」のようだ。多くの同朋がその音楽を心から楽しめるらしい。 ところで2月11日は旧「紀元節」、現「建国記念の日」だ。「紀元」、「建国記念」に

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