岩田昌征の執筆一覧

映画『スパイの妻』パンフレットに感じる言論の不自由

著者: 岩田昌征

 ヴェネチア銀獅子賞映画『スパイの妻』を観た。  対米英戦突入の1年前、昭和15年・1940年の神戸が舞台だ。裕福な貿易商が満州を自家用映画カメラを持って観光旅行していて、全く偶然に日本帝国関東軍の細菌戦とそこにおける没

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許紀霖の好著『普遍的価値を求める 中国現代思想の新潮流 』(法政大学出版局、2020年)を批判的に検討する

著者: 岩田昌征

 許紀霖著『普遍的価値を求める 中国現代思想の新潮流 』(中島隆博/王前監訳、法政大学出版局、2020年・令和2年)を一読した。  私=岩田は、本書を全面的に評価する上で必要な現代中国思想界についても、社会思想一般につい

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河村哲二氏のアメリカ戦時経済体制論と20世紀最後の年の対セルビア大空爆

著者: 岩田昌征

 昭和16年(1941年)12月1日の午前会議で、陸軍開戦派だけでなく、宮中和平派や海軍避戦派も、対米戦争へ決意させたもの、それはハルノートであった。仮にだが、大日本帝国がハルノートを受託していたならば、あの不幸な大東亜

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『中国は社会主義か』合評会における批判への回答

著者: 岩田昌征

 8月2日(日)、芦田文夫・井出啓二・大西広・聽濤弘・山本恒人著『中国は社会主義か』(かもがわ出版 令和2年6月)の合評会に参加した。Zoom形式である。  瀬戸、境両氏の論評と大西、聽濤、山本三氏の応答が終わって、討論

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ミッドウェイ海戦の米航空兵捕虜虐殺――戸高一成/大木毅『帝国軍人』より――

著者: 岩田昌征

 令和元年(2019年)12月3日の「ちきゅう座」「評論・紹介・意見」欄に「霜月15日、ポーランド国の首都 ワルシャワの映画館にて米中協力米国映画『ミッドウェイ』を観る」を発表した。そこで腰折れ七首の前書きとして次のよう

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福島原発 アルプス処理水の有効利用を考えるべし――海中気中放出にかえて――

著者: 岩田昌征

 参院議員会館にて福島原発行動隊の院内集会で福島第一原発の多核種除去設備等処理水、いわゆるALPS処理水の海洋放出問題に関する中央水産研究所研究者と福島漁業協同組合理事の報告を聴いた。6月と7月のことだ。  両者の報告の

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60年安保を想う――1960年6月3日と1959年11月27日――

著者: 岩田昌征

 『流砂』(2020年第18号)を国政記念会館における60年安保60周年記念集会の場で主催者の一人三上治氏より頂戴した。また伊藤述史氏からもすでに贈られていた。記して感謝したい。  60年安保に関する『流砂』の文章二個所

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ドクトル・ジバゴ、プレオブラジェンスキー教授、渋沢敬三大蔵大臣―岩田トリアーデ体系論の立場に立って論ず―

著者: 岩田昌征

NHKBSプレミアム、5月5日13時、偶然に映画『ドクトル・ジバゴ』を観た。米伊合作映画のようだ。 党社会主義崩壊後のポーランドや旧ユーゴスラヴィアにおける革命前所有者に国有化された資産(不動産である土地・建物)を返還す

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コロナ死と自殺―岩田トリアーデ体系論の視点より―

著者: 岩田昌征

『朝日新聞』(5月9日)の「耕論」面に小林慶一郎東京財団政策研究所研究主幹が「人命も経済も第三の道を」なる提言をコロナ禍中経済について行っていた。コロナ起因死に対比させて、経済収縮起因死の自殺の重大性を警告している。そこ

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私有財産制下の大コロナ禍―岩田トリアーデ体系論の視点から―

著者: 岩田昌征

かつて30年前までは、資本主義的市場経済と並んで、ソ連型の社会主義経済とユーゴスラヴィア型の社会主義経済が対抗的に存在していた。今日、ソ連もユーゴスラヴィアも国家として解体されて、もはや存在していない。 ソ連型は、国有財

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昭和21年財産税と中東欧の財産再私有化

著者: 岩田昌征

ここ数年「ちきゅう座」に中東欧諸国、特にポーランドやセルビアにおける再私有化・財産返還問題について何回か書いてきた。第二次世界大戦終了後に社会主義・共産主義政権が断行した巨大私有財産の公有化を、半世紀以上経過した今日にな

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「欧州人権裁判所と旧有産者階級―セルビアとポーランドの再私有化実例―

著者: 岩田昌征

ベオグラードとワルシャワの再私有化 バルカンのセルビア共和国の首都ベオグラードや中央ヨーロッパのポーランドの首都ワルシャワを訪ねるたびに、いやな光景を見ざるを得ず心が楽しまない。社会主義から資本主義への、共産党体制から自

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「建国記念の日」に寄せて―2月11日は私の正月1日―

著者: 岩田昌征

新年の礼楽といえば、近年はNHKテレビ中継のウィーンフィル「ニューイヤーコンサート」のようだ。多くの同朋がその音楽を心から楽しめるらしい。 ところで2月11日は旧「紀元節」、現「建国記念の日」だ。「紀元」、「建国記念」に

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『六四と一九八九』(石井知章・及川淳子編著)を論ず―天安門流血語るべし忘るべからず―

著者: 岩田昌征

石井知章・及川淳子編著『六四と一九八九 習近平帝国とどう向き合うのか』(2020年、白水社)を一読した。令和元年・2019年6月1日に明治大学現代中国研究所が主催した国際シンポジウム「六四・天安門事件を考える」の報告集成

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本郷文化フォーラムワーカーズスクール講座 党社会主義体制崩壊の意味 ── ポーランド・ユーゴスラヴィアの具体例に即して

著者: 逢坂秀人

HOWS講座のご案内 党社会主義体制崩壊の意味 ── ポーランド・ユーゴスラヴィアの具体例に即して 講師 岩田昌征(北海道大学教授/千葉大学教授・名誉教授/東京国際大学教授) 日時:2月19日(水)開始18:45 終了2

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真実を含む自主管理社会主義郷愁――「絵に描いた餅」だったら誰もノスタルジーをいだかない――

著者: 岩田昌征

 去年のことだった。社会主義理論学会の研究会であるマルクス(主義)哲学者から「ユーゴスラヴィアの自主管理社会主義、労働者自主管理は、絵に描いた餅にすぎなかった。」と断定された。  30年前、ソ連型社会主義と同時に、それと

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霜月15日、ポーランド国の首都ワルシャワの映画館にて米中協力米国映画「ミッドウェイ」を観る。

著者: 岩田昌征

 真珠湾大奇襲。ドゥリットル東京空襲、中国大陸に不時着した米航空兵は、日本軍双発陸上攻撃機が軍事目標不在の中国人村落民を機銃掃射するのを目撃する。ミッドウェイ海戦にて日本航空母艦を沈めた米軍飛行士が数人海上に漂流し、日本

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令和即位礼に思ふ――『古事記』「中つ巻神武天皇」にあり――

著者: 岩田昌征

 ――伊須気余理比売の許(もと)に幸行(い)でまして、一宿御寝(ひとよみね)しましき。後にその伊須気余理比売、宮の内に参入(まゐ)りし時、天皇歌よみしたまひけらく、   葦原の しけしけ小屋(をや)に 菅畳(すがたたみ)

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中国憲政自由主義者は自由を如何に使うのだろうか――張博樹『新全体主義の思想史』と劉暁波『08憲章』の盲点――

著者: 岩田昌征

外国大使館の旧所有者への返還・再私有化 ある研究会で何十年もチェコ史を研究している人の話を聞いた。体制転換後、国有化された私有財産の旧所有者への返還が断行された際の一つのエピソードである。プラハの日本大使公邸が元所有者に

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ポーランド「連帯」政治の語られざる実相――労働者階級の人権は守られたか――

著者: 岩田昌征

日本における「連帯」論  まことに興味深い資料をポーランド文化研究家から戴いた。2010年11月20日東京のポーランド大使館で開催された「フォーラム・ポーランド2010年度会議『連帯』運動とその遺産」で配布された報告要旨

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北京天安門8964とワルシャワ8964――明治大学における亡命中国知識人と矢吹晋の議論を論ず――

著者: 岩田昌征

天安門事件30周年  令和元年・2019年6月4日は、北京天安門事件30周年である。  その悲劇の歴史的意味を考える研究会が、駿河台の明治大学で二つ催された。明治大学現代中国研究所主催の「六四・天安門事件を考える」がその

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