2017年・平成29年は、ロシア革命百周年であった。ソ連東欧の社会主義体制が自崩してすでに四半世紀の時間が流れていた。日本社会の関心は完全に薄れていたが、それでも旧「新左翼」系のいくつかの研究会は、ロシア革命を主題に議
本文を読む岩田昌征の執筆一覧
マルクス生誕200周年記念 慶應大学におけるコンファレンス――中国、労働搾取、技術――
著者: 岩田昌征2018年(平成30年)9月6日、「マルクス生誕200周年記念コンファレンス マルクス――過去と現在」が慶應義塾大学三田校舎で開かれた。 聴講して、若干の論点に印象付けられたので、私=岩田の感想・所感を記しておきたい
本文を読む体制の正統性、その「腐蝕」と「涸渇」の種差
著者: 岩田昌征森本あんり著『異端の時代―正統のかたちを求めて』(岩波新書)によれば、現代は「正統の腐蝕」と「なんちゃって異端」の時代である。「現代には、非正統はあるが異端はない。」(p.239) かつて、現代資本主義体制に対抗する
本文を読むチャーチルは何に苦悩したか――映画「チャーチル ノルマンディーの決断」を観て――
著者: 岩田昌征8月下旬に新宿は武蔵野館で映画「チャーチル ノルマンディーの決断」を観た。1944年6月6日連合軍ノルマンディー上陸作戦決行前の4日間、その作戦に猛反対して、連合軍最高司令官アイゼンハワーや英国王ジョージ6世に訴え続け
本文を読む紅林進著『民主制の下での社会主義的変革』を読んで――ユーゴスラヴィア社会主義の経験――
著者: 岩田昌征紅林氏から『民主制の下での社会主義的変革』(ロゴス、2017年・平成29年)を贈られた。紅旗を林立させて前進するイメージを喚起させる筆名である。 「社会主義」なる4文字が社会批判運動の諸潮流から姿を消して久しい。そん
本文を読む故西部邁『保守の遺言』への二、三の批評――辞世の不在とフラテルニテ(博愛)――
著者: 岩田昌征三月のある日、黄泉の国の著者から『保守の遺言』(平凡社新書、平成30年・2018年2月27日)が送付されて来た。それからしばらくして、3月29日(木)、都内某所、故西部邁氏と半世紀以上昔には思想・行動をともにしたことの
本文を読む所有権者の人権こそ人権か――ワルシャワの住宅所有権問題
著者: 岩田昌征イヴォナ・シパラ/マウゴジャタ・ズビク著『神聖な権利 再私有化における住民と賃貸アパートの歴史』(Iwona Szpala、Małgorzata Zubik、Święte Prawo Historie Ludzi i K
本文を読む故西部邁氏追悼擬新体詩――革消保亡――
著者: 岩田昌征西部邁自死後一ヶ月、彼の旧同志K.S氏と共に現場を訪ねて、黙祷した。やや古くなった花束が二つ。その近くの水辺に私は花束を、K.S氏はカンビールを置いて来た。 二首心に浮んだ。 かの人の荒(あら)和(にぎ)御霊(
本文を読む住居(すまゐ)をめぐる階級闘争――ブルガーコフ『犬の心臓』解説者に問ふ――
著者: 岩田昌征去年の11月20日と11月21日に「評論・紹介・意見」欄で論じたテーマをここであらためて再論したい。 ミハイル・ブルガーコフ著『犬の心臓』の訳書が手元に二種類ある。一冊は新潮文庫の増本浩子他訳、平成27年・2015年。も
本文を読むポーランドにおける再私有化の嵐――旧社会の復讐、一方的階級闘争――
著者: 岩田昌征ポーランドにおける住宅をめぐる階級闘争の実態を具体的に、生々しく描き出す書物を入手した。ベアタ・シェミェナャコ著『ポーランドを再私有化しつつ 大なる歪曲の歴史』(ポーランド語、政治批判出版、ワルシャワ、2017年)がそれ
本文を読む故西部邁を思ふ――コムニストたらんとせし者 ファシスタたらんとした者に誄(しのびごと)申すーー
著者: 岩田昌征西部邁氏が覚悟して、多摩川に入水した。さむらいの入水といえば平氏を想い起こさせる。かりに若くして覚悟していたとしても、三島・森田の両氏の作法(武士社会が源氏の下に統合されて以来の)にならうことはなかっただろう、と報に接
本文を読むゴーリキー「どん底」(1902年)と古儀式派――下斗米伸夫著『神と革命』に触発されて――
著者: 岩田昌征東京の文化センターとなった駿河台の明治大学において11月25日(土)に現代史研究会、そして12月2日(土)に村岡到氏主催の研究会において、法政大学教授下斗米伸夫氏がロシア2月革命・10月革命とロシア古儀式派=分離教徒信
本文を読む住宅再私有化をめぐる階級闘争――2010年代ワルシャワ、ヨランタ焼殺事件――
著者: 岩田昌征11月2日(木)、ワルシャワに着いた翌日であるが、有力新聞ガゼータ・ヴィボルチャ(選挙新聞)に興味深いテーマの記事「ナビエルスカ通りの再私有化は私達に何を示したか」に目が止った。マグダ・ブジェスカなる中年女性がワルシャワ
本文を読む住宅国有化をめぐる階級闘争――1920年代モスクワ、ブルガーコフの『犬の心臓』を観る――
著者: 岩田昌征11月5日(日) ワルシャワの劇場テアトル・フスプルチェスヌィ(現代劇場)にてミハイル・ブルガーコフ(ポーランド語ではブルハコフ)の小説『犬の心臓』を観た。ブルガーコフが『巨匠とマルガリータ』の作者だと言う位の知識だけ
本文を読むシステム対抗とコンフリクト-20世紀:対抗システムの追求とその失敗/21世紀:成否の彼方の対抗nonシステム-
著者: 岩田昌征以下の論稿は、2015年10月24日(土)、法政大学市ヶ谷キャンパスで催された「社会・経済システム学会」第34回大会での記念講演である。 ロシア十月革命百周年である。 ここに提示する私の記念講演は、ロシア二月革命よりも十
本文を読む平成の終わらんとするに思ふ
著者: 岩田昌征平成31年3月31日に平成が幕を閉じると昨日報道された。 そこで想い出した。平成3年(1991年)7月5日ではなかったかなと記憶するが、中央大学商学部でユーゴスラヴィア自主管理社会主義に関して講演を頼まれたことがある。そ
本文を読むベオグラード、平壌、Jアラート
著者: 岩田昌征ベオグラードの日刊紙『ポリティカ』(2017年9月6日)の1面と3面に「北朝鮮に行ったセルビア人観光団――神々の如き領袖達」なる長い記事が載っていた。要約し紹介する。 観光代理店主のフィリプ・ミサロヴリェヴィチが率い
本文を読む市場志向計画化論へのスターリン主義者による批判
著者: 岩田昌征『ロシア革命とソ連の世紀 1 世界戦争から革命へ』所収鈴木「計画化」論文への疑問を前回の小論で提示した。それへの資料的補足を記しておきたい。 ソ連科学アカデミー経済研究所による集団著作『ソヴィエト国民経済1921-25年
本文を読む『ロシア革命とソ連』第1巻『世界戦争から革命へ』(岩波、2017)所収の鈴木義一論文「社会刷新の思想としての計画化」への疑問
著者: 岩田昌征池田嘉郎が責任編集した『ロシア革命とソ連 1 世界戦争から革命へ』を入手し一読した。池田は、本巻の「総説 ロシア革命とは何だったのか」で歴史家の常識、すなわち「結局のところ、歴史家にとっての現在の関心から過去を再発見す
本文を読む池田嘉郎著『ロシア革命』を一読する
著者: 岩田昌征平成29年・2017年は、ロシア革命百周年である。世間的には殆ど忘れられた社会的・歴史的大事件だ。何冊かの書物が出版されている。 池田嘉郎著『ロシア革命 破局の8か月』(岩波新書、2017年)を一読した。1989-1
本文を読む特攻学徒兵、零戦とピアノ
著者: 岩田昌征8月13日(日)、家から5分か6分の所にある東演パラータで劇団東演による朗読劇「月光の夏」を聴いた、観た。 出撃前夜、九州のある田舎町の小学校で特攻隊員がピアノを弾いていた。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」であ
本文を読む脱連帯的『連帯』資本主義におけるモゼレフスキとクーロン
著者: 岩田昌征ポーランドの基幹的重化学工業の労働者階級が党社会主義体制を打倒するまでは、彼等の『連帯』労組を支援して来たポーランド知識人・専門家階層のすべてが、『連帯』政権の反労働者性の推進に歓喜したわけではない。オスト教授は、少数
本文を読むアンジェイ・ワイダ監督の「ワレンサ 連帯の男」と遺作「残像」を貫通する負性とは――岡崎乾二郎氏の洞察に刺戟されて――
著者: 岩田昌征アンジェイ・ワイダ監督の遺作「残像」をかなり前に観た。岩波ホール作のパンフレットにアンジェイ・ワイダのメッセージがあり、それは「『残像』は、自分の決断を信じ、芸術にすべてをささげた、ひとりの不屈の男の肖像です。映画は、ポ
本文を読む室井遥報告「宇野経済学とポランニー」へのコメント
著者: 岩田昌征7月8日(土)の立正大学で開かれた「世界資本主義フォーラム」における室井遥報告「宇野経済学とポランニー」は、私の比較経済体制論・比較社会主義システム論が1970年代後半・1980年代前半にディホトミー(二分法)からトリホ
本文を読む価値と価格の関係が意味するところ――ワスキ教授の所論に関して
著者: 岩田昌征Paradoksy ekonomii Rozmowy z polskimi ekonomistami、PWN、2016、Warszawa、『経済学のパラドクス ポーランド経済学者達との会話』を手に入れた。 著名な比較経済
本文を読む補論:商人資本 対 産業資本
著者: 岩田昌征(下掲ウィンドウ右上隅をクリックすると文書全体がポップアウトします) https://chikyuza.net/wp-content/uploads/2017/07/54a76a9e9b24d18915d99040c71
本文を読む数理計画法の双対定理、産業資本と商人資本の対抗――小山昭雄教授の所論に関連させて――
著者: 岩田昌征二つの経済学がある。M(マルクス)経済学とM・M(ミクロ・マクロ)経済学である。最近はM・M経済学が圧倒的に優勢であるが、どうもその社会経済の実生活における知的領導性が急速に失われつつあるようだ。M経済学の方は、その存在
本文を読むワルシャワ首相府前座り込みと東京経産省前座り込み
著者: 岩田昌征6月6日夕暮れ時、ワルシャワのアレイェ・ウヤズドフスキエ大通り、ポーランド首相府前の「テント村」跡に立ち寄った。ワジェンカ公園と首相府とにはさまれた大通りの公園寄りの広い歩道に三つのテントが去年は立っていた。今年はもうな
本文を読む日米新安保・共謀法体制の脅威
著者: 岩田昌征平成29年6月15日、こともあろうにこの日に共謀罪法が正々堂々とは180度対極のやり方で参院において可決された。6月15日は、昭和35年・1960年安保闘争において故樺美智子が国会南通用門で悲劇的に闘死された日付だ。闘争
本文を読む再論:「戦争のできる国」と「戦争をしない国」
著者: 岩田昌征私は、今年になって、中江兆民『三酔人経綸問答』(明治20年、1887年)を引用して、憲法第九条の原型が兆民の洋学紳士にあり、また旧軍部の大陸侵略策の原型が兆民の豪傑君にある、と「ちきゅう座」において論じた。矢沢国光氏より
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