輸出業務代行を目的として作られた子会社で営業マンの下働きをしていた。そこに同世代の職工さんが次期駐在員として送られてきた。(こっちは油職工崩れ、職工は差別用語でないと思っている。) 日本で海外市場を支えている事務方の仕事
本文を読む藤澤豊の執筆一覧
好きなことは生業としない
著者: 藤澤豊いい歳になってやっと多少自由の身に自分をおくことができるようになった。なったというより、今まで手をつけるのを躊躇ってきた、しなきゃならないこともあるし、したいこともあるしで、身をおくことにしたと言う方が合っている気もしな
本文を読む半分になって燃えちゃった―はみ出し駐在記(24)
著者: 藤澤豊土曜日の朝、十時は回っていたと思うが電話が鳴った。電話はあったが、かけることはほとんどなかったし、かかってくることなど年に何回もない。かかってきても、ほとんど間違い電話だった。朝帰りにとって十時はまだまだ早朝。一体なんな
本文を読む駐車場とトイレだけ―はみ出し駐在記(23)
著者: 藤澤豊お詫びから書き始めるのもどうかと思うが、お詫びもせずに時間を巻き戻すのは気が引ける。時間をちょっと巻き戻させて頂く。ご容赦を。個人の資質が大きな要素ではあっても、私生活のさまざまなことが仕事からの反動からきていることが多
本文を読む『がんばろう』と『同期の桜』
著者: 藤澤豊学校に来ていた求人募集に応募したら、会社見学に来るようにとの連絡があった。指定された日(四月中旬)に訪問して驚いた。春闘まっさかりで正門の前には労組の旗がたなびいていた。その前に作業服を着た人たちが二列に分かれて大きな旗
本文を読む群れれば弱くなる
著者: 藤澤豊先日(2015年4月11日)、鈴木邦男さんのお話をお伺いする機会があった。不勉強というより世間知らずで、どのような方なのか全く存じ上げなかった。開口一番、“右翼の異端”と自己紹介された。自分ではリベラルでしかないと思って
本文を読むまるで西部劇―はみ出し駐在記(22)
著者: 藤澤豊欠点も含めて相手の能力を認め合った同年輩の親しい仕事仲間。口調は自然とタメ口になって、時にはタメ口を越えた荒っぽいものにすらなる。社会層によっては、口調の荒っぽさがお互いの信頼関係の緊密さを表している。信頼関係が深ければ
本文を読む応援者もいろいろ―はみ出し駐在記(21)
著者: 藤澤豊応援者も一人や二人なら、それも似たもの同士ならいいのだが、四人五人になると、そりが合わないのというのか嗜好が全く違うのがいる。日本にいれば付き合うこともないし、一緒に行動することもないのが、ニューヨークに来たとたん、否が
本文を読む増え続ける情報と処理能力
著者: 藤澤豊インターネットの普及に伴い、若い人たちが前の世代のようには新聞や本を読まなくなったという。これを「活字離れ」と呼び、若い人たちの言語能力や知的水準が低下していると心配している人たちがいる。 確かに、電車に乗
本文を読む朝飯食わなかったろうな―はみ出し駐在記(20)
著者: 藤澤豊活動家仲間がデュッセルドルフ駐在の辞令を拒否して身分保全の訴訟を起こした。旧態依然とした会社だったが、さすがに辞令一本で従業員を海外に出すのを躊躇わざるを得なくなった。そこで駐在員公募制が出てきた。表向きは公募制。実質は
本文を読む俺たち
著者: 藤澤豊駐在して丸三年過ぎた頃、ホルモンバランス疾患で手術をしなければならない状態であることが分かった。手術のため急遽駐在を切り上げて帰国した。知識も経験もないのがポンと行ってトラブルだらけの三年間、上司や先輩、アメリカ人の同僚
本文を読むトラベラーズチェックとID―はみ出し駐在記(19)
著者: 藤澤豊七十年代後半から八十年代初頭、日本ではクレジットカードなどその存在すら知らなかった。海外出張と言えばトーマスクックのトラベラーズチェックが必需品だった。応援者は誰もが多少の現金にトーマスクックのトラベラーズチェックを持っ
本文を読む必要を思うことが発明の母
著者: 藤澤豊随分前のことで記憶が定かではないのだが、何かの本で次のようなことを読んだ。「時間を知りたいのだが、ただ時間を知りたいのではなく、時間を知る方法か手段が欲しい。」 時間を知るだけなら時間を知っている人に聞けば事足りる。でも
本文を読む豚のように食って牛のように飲んで―はみ出し駐在記(18)
著者: 藤澤豊一人で出張にでも行かない限り、一人で気楽な夕食はあるようでなかった。応援者と一緒に出張にゆくことも多かったし、事務所にいればいたで出張に出ていない応援者と一緒にどこかに出かけた。おとなしい応援者とだけなら夕食でちょっと飲
本文を読む横着は美徳だ
著者: 藤澤豊「頑張れ」、「頑張ります」、研究開発部門や技術部門ではあまりに耳にすることのない掛け声が、営業部門では毎日のように繰り返される。何をどのようにがんばるのか?掛け声をかける方も、かけられる方も話の流れやその場の状況から分か
本文を読む週末、一人、何もない―はみ出し駐在記(17)
著者: 藤澤豊ボブの後を事後承認のようなかたちで入り込んだ下宿。当初大家は距離を空けていた。当然だろう。ボブの会社の同僚といっても、どんな人間なのか分からない。大家が信用してくれるようになるまでにひと月以上かかった。お互いに慣れて相談
本文を読むビジョナリーが見たもの
著者: 藤澤豊個人的な経験からだが、二千年頃には既に米国系の日本支社で日常的にVisionだとかVisionaryという言葉が英語のまま使われていた。適当な日本語に翻訳できないまま、いつのまにやらカタカナでビジョンとビジョナリーという
本文を読むはみ出しの根っこ―はみ出し駐在記(16)
著者: 藤澤豊多分海外経験を買われてだろう、四十をちょっとでた歳の係長が応援に来た。買われた海外経験、聞こえてくることからは展示会か何かの出張で行ったことがある程度としか思えない。サービス部隊のマネージャも二人の先輩も係長に何をしても
本文を読む無節操な多角化が招くもの
著者: 藤澤豊2015年4月18日号の英Econimist誌に興味深い記事があった。大きなニュースなのだろう、Economistが三本もの記事でコングロマリットの戦略変更を報道している。世界で最大規模を誇りグローバルな事業展開している
本文を読むボストン―避けたい町
著者: 藤澤豊ボストン市内や周辺には機械加工を主体とした製造業が少なかったからだろう、仕事でボストンへは希だった。覚えている限りでだが主要な客は三軒しかなかった。市内から北に行ったEverettにある荒んだ町工場に行ったのが最初だった
本文を読む外れからはみだしへ―はみ出し駐在記(15)
著者: 藤澤豊ニューヨーク支社には社長を含めても駐在員は八名しかいなかった。社長に副社長、技術部長、品質管理出身のサービス部隊のマネージャ、その下に電機屋(E先輩)、機械屋(M先輩)、機械屋(N先輩)、端にも棒にもかからない新米。日本
本文を読む何に対する金利なのか
著者: 藤澤豊ランニングコストはかなり低減できる製品なのだが、初期コストが高すぎて売るに売れない、買うに買えないで袋小路に入っていた。そこに、社長が日本でも最大手と言われるリース会社と割賦販売の合意を取り付けてきた。そんな金利で可能な
本文を読むボーイスカウト―はみ出し駐在記(14)
著者: 藤澤豊客の担当者(アイルランド系)から聞いた話では、シンシナチ一帯は戦前まではドイツ語が共通語だったほどドイツからの移民が多い町だった。そのためだろうが機械工業、特に工作機械では圧倒的な強さを誇っていた。七十年代の後半さすがに
本文を読む英語使い
著者: 藤澤豊工作機械の設計から米国でフィールドサービスまでしてきた経験を買われて、米国の大手制御機器メーカに招聘された。現行製品の市場投入作業を進める傍ら、裏方としてCNCの新機種の開発プロジェクトを支えていた。米国の工作機械業界が
本文を読む免停―はみ出し駐在記(13)
著者: 藤澤豊車体は重かったがそれ以上にエンジンがでかい。アクセルを踏めば踏むだけスピードメータが上がる。速度は上がっても重く大きな車体がそれを感じさせない。日本のように人であふれたごみごみしたところはない。ましてや高速ではぶつかるも
本文を読む目先の成績狙いが疲弊を招く
著者: 藤澤豊随分前ことになるが仕事でフロリダに行った。一月ほど前にスピード違反で捕まって免停をくらっていた。タクシーで客の工場とモーテルの行き帰りはきつい。客に頼んで朝夕送り迎いしてもらった。工場の建屋はできあがっているものの、電源
本文を読むスイスチーズモード
著者: 藤澤豊完璧を期すあまり結論を出すのを躊躇していては何も始まらない。ましてや失敗を恐れて今まで通りでいいじゃないかと思ったら、改善しようと考えることすらなくなる。 決められたことを決められたようにする
本文を読む男の向こう傷―はみ出し駐在記(12)
著者: 藤澤豊クリーブランドにある従業員数十人の会社はいくつかのいい意味でいい客だった。先輩駐在員の話では、買収で事業を拡大してプロフットボールチームまで所有するまでになったコングロマリットの一部門で、オーナが息子に経営の実務を経験さ
本文を読むプライベートバンク―はみ出し駐在記(11)
著者: 藤澤豊日本で居ながらにしてアメリカの銀行の口座からATMで日本円で引き出す。今や日本においても、たぶんアメリカでも何も特別なことではなくなった。ところがニューヨークに駐在していた八十年代の初頭までのアメリカでは想像でもできない
本文を読む家に帰って勉強しろ
著者: 藤澤豊油職工になりそこなって海外関係の便利屋のような仕事をしていた。同期どころか後輩すら中堅技術屋に向けて地歩を固めているなかで三十過ぎてなにもない。そこは老舗の工作機械メーカの文化、技術に直接関係する業務に携わなければ技術屋
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