野島直子の執筆一覧

書評:鳥居万由実著『「人間ではないもの」とは誰か―戦争とモダニズムの詩学』

著者: 野島直子

0はじめに  今回取り上げるのは、鳥居万由実著『「人間ではないもの」とは誰か―戦争とモダニズムの詩学』(青土社、2023年)である。  この著作は、1920年代から40年代の日本の詩における、動物や機械といった「人間では

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三浦雅士著『考える身体』を読む(後編)

著者: 野島直子

5,地平線の思考 -ベジャール、テラヤマ、ピナ・バウシュ    だが、この本はここで終わらない。初めに触れたように、三浦は、単行本の文庫化にあたって、「ベジャール、テラヤマ、ピナ・バウシュ」という副題のついたエッセイを挿

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書評:竹田恵子著『生きられる「アート」 パフォーマンス・アート≪S/N≫とアイデンティティ』

著者: 野島直子

 個人的な思い出話から始めたい。  それは1984年のこと。季節はいつだったか覚えていない。私は、偶然手にしたチラシに導かれて、京都市立芸術大学の学生劇団が母体になった「ダムタイプ・シアター」という劇団の旗揚げ公演を見た

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遮蔽想起としてのレ・シャルメット―ルソー『告白』を読む(後編)

著者: 野島直子

3、隠された反実仮想命題  ところで、この遮蔽想起としてのレ・シャルメットについて、さらに検討していきたいことがある。私が考えるに、この遮蔽想起は、もうひとつの反実仮想命題が隠れている。  先に、フロイトが遮蔽想起に、「

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遮蔽想起としてのレ・シャルメット―ルソー『告白』を読む(前編)

著者: 野島直子

 機会があって、ジャン=ジャック・ルソー著『告白』を読んだ。ルソーは、言うまでもなく、社会思想、教育、文学など様々な分野に「近代」を用意した思想家、作家として知られ、日本においても、民権思想、近代告白文学(私小説)に大き

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書評:堀江秀史著『寺山修司の一九六十年代 不可分の精神』

著者: 野島直子

 寺山修司は、俳句からはじまり、短歌、ラジオドラマ、映画、演劇、評論、随筆、…と多ジャンルを横断し、各ジャンルで独自の成果をあげた作家だが、今回とりあげる堀江秀史著『寺山修司の一九六十年代 不可分の精神』は、寺山のそうし

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