1.協議経済化過剰の無理 ソ連東欧の集権制計画経済の危機が表面化して以来,特にその全面的崩壊以後,資本主義に降伏せず,その批判者としての社会主義に思想的意味を認める人達の間に,資本主義市場経済と対置されるべきは,官僚的
本文を読む岩田昌征の執筆一覧
書評 岩田昌征著『二〇世紀崩壊とユーゴスラヴィア戦争―日本異論派の言立(ことだ)て―』
著者: 鶴田満彦1.本書の構成 本書は、比較経済体制論、ユーゴスラヴィア地域研究については世界レベルの専門家である著者が、ソ連型集権的社会主義・ユーゴスラヴィア型自主管理社会主義の成立と崩壊を総括した最近の論文集である。多くの社会主義経
本文を読む原発封印と神ながらの道
著者: 岩田昌征『週刊朝日』(6月3日、6月10日号)に「歴史に学ぶ地震」と題して、森浩一、日下雅義、そして寒川旭による座談会が組まれていた。古い所では『日本書紀』天武紀や鴨長明『方丈記』の地震記録が紹介されている。ところが、史実とは
本文を読む退避勧告のうみだすプラス・マイナス/危険情報開示のプラス・マイナス
著者: 岩田昌征退避勧告のうみだすプラス・マイナス 日本に留学していた外国人留学生が3月11日の大震災・原発大災後数日で日本を自主的に去った。アメリカ国務省は3月16日に自主的国外退避勧告を出したと言う。実は、我が家もそんな動きと無縁で
本文を読むビンラディン殺害の謎
著者: 岩田昌征5月2日未明、かのウサマ・ビンラディンが米特殊部隊によって殺害された。前イラク大統領サダム・フセインの場合と違って、アメリカはビンラディンを生きたまま捕獲する意図が全くなかったようである。その意図があれば、アボタバードの
本文を読む自然災害と戦争の相違
著者: 岩田昌征私は、1991年から2001年に至る旧ユーゴスラヴィア多民族諸戦争と現地で、つまり直接的戦場すれすれの所でほぼ毎年付き合って来た。そこで、阪神大地震が起きると、戦争による破壊と地震による破壊との相違を知りたくて、数週間後
本文を読む福島原発・作業員の放射能汚染と、さる大学教授の国外避難
著者: 岩田昌征昨日3月24日、福島第一原発の危機対処中に下請け会社の現場作業員が放射能で火傷した。東電の説明によれば、装着した警報器が現場に入った瞬間になったが、作業員が誤作動だと判断して、そのまま作業に入ったからという。さすがに作業
本文を読む原発と原爆
著者: 岩田昌征現在、私たちが多少の恐怖心を抑制しつつ見守っている福島原発凶事に関して、数年前に出版された小冊子『原発を並べて自衛戦争はできない』(山田太郎著)は、素人にとって必読書ではなかろうか。 ―原発で最も危険なのは、原子炉そのも
本文を読むNATOの対セルビア1999年戦争の本音目的
著者: 岩田昌征中東北阿の雲行きが怪しい。2003年に米軍の対イラク武力侵攻がなかったならば、フセイン政権は、チュニジアとエジプトのように民衆運動で打倒されたのか、リビアのカダフィ大佐の道をたどるのか、それとも、安定性を誇示しているのか
本文を読む「チトー主義は進歩か退歩か・再論」
著者: 岩田昌征拙論「チトー主義は進歩か退歩か」に関連して、石塚正英氏と吉澤明氏から助言的コメントが寄せられた。記して感謝したい。 石塚は、エクメチチの退歩論を批判して、ファシズムやナチズムを労働大衆の運動が創りだした面が「退歩or進歩
本文を読むTPPと福澤諭吉
著者: 岩田昌征TPPが国論を二分しているといわれる。第三の開国、つまりは完全開国は、農業のみに関わることではないにせよ、農業者の一憂一喜が一番強いようである。日本の全産業がほぼ完全に国際市場というより世界市場における自己競争力によって
本文を読む労働搾取論私論
著者: 岩田昌征2月15日(火)、伊藤誠教授の「わが著書『現代のマルクス経済学』(2010年、社会評論社)を語る」アソシエ・セミナーに参加して、久しぶりに健在なマルクス経済学者の話を聞くことができた。伊藤教授はSteedmanのMarx
本文を読むHuman Rightと人権
著者: 岩田昌征去年ある大学で国際研究集会があって、若い日本人研究者が近代的人権概念Human Rightが中世後期までさかのぼれると報告した。中国人学者も参加していたので、中国においてもHuman Rightの訳語が「人権」であること
本文を読む「連帯」その後のトピックス
著者: 岩田昌征2月6日、突然ポーランド人の友人が一冊の本を送ってきた。それはリシャルド・ブガイの自伝『自分自身と他の人々について』(The Facto、ワルシャワ、2010年)であった。ブガイはワルシャワ大学経済学部出身で、1980年
本文を読むコソヴォ生体臓器密輸出に関する欧州評議会議員会議の1月25日決議
著者: 岩田昌征ポリティカ紙〈2011年1月26日〉によれば、ディック・マーティ〈スイス人、検察官〉の調査報告書(ちきゅう座における岩田による関係論述を参照)に基づいて1月25日、ストラスブルグの欧州評議会議員会議は「コソヴォにおける非
本文を読むチトー主義は進歩か退歩か?―労働者自主管理をめぐって
著者: 岩田昌征ベオグラードの週刊誌ペチャト(2010年12月31日、2011年1月14日)に二号続きで1928年生まれの高名な歴史家ミロラド・エクメチチ教授のインタビューが載っていた。そこでエクメチチは、チトー主義を評して、それはスタ
本文を読む旧ユーゴスラヴィアの経験と日本のアソシエーション論
著者: 岩田昌征基礎経済科学研究所編『未来社会を展望する 甦るマルクス』(大月書店、2010年)の合評会に出席する機会があった。「よみがえる」という和語を使い、例えば「マルクスのルネサンス」のようなカタカナ語を用いていないところが気に入
本文を読む戦争賠償と平時債務返済の関係―ギリシャとドイツ
著者: 岩田昌征第二次世界大戦の戦争責任問題に関して、ドイツは誠実に問題解決に努力したのに対し、日本はドイツほどに誠実に問題を直視していなかったという声が我が国の市民社会で聞かれる。たしかに、ナチス党が反ユダヤ主義イデオロギーを国家権力
本文を読む欧州評議会・法人権委員会の「コソヴォ臓器摘出密輸出」調査報告書の背景
著者: 岩田昌征旧ユーゴスアヴィア戦争犯罪ハーグ法廷のスイス人主席検事カルラ・デル・ポンテ(1999-2007年)は、退任後の2008年末に回想録『狩、私と戦争犯罪者』The Hunt.Me and the War Criminals
本文を読むユーゴスラヴィア自主管理社会主義の歴史実験:その意味とよみがえり(ルネサンス)の兆し(2)~(1)
著者: 岩田昌征ミーラ・マルコヴィチ「自主管理者の反乱」(1993年1月26日) ここ数日ベオグラードで、権威ある諸施設のトップが政府決定によって新しく任命されることに関して苦情が増えている。クリニック・センター、博物館、劇場などの責任
本文を読む書評:内田弘の快著『啄木と秋瑾』の印象的評
著者: 岩田昌征内田弘教授から『啄木と秋瑾』(社会評論社、2010年)を去年の末に贈られた。記して感謝する。副題に「啄木歌誕生の真実」とある。真に気になる題名である。私は短歌というより和歌が好きである。時にふれて詠歌することもある。拙著
本文を読むEU,USAへのすり寄りか、民族自立か―セルビアの選択
著者: 岩田昌征ベオグラードの週刊誌ペチャト(2010年10月10日)にジェイムス・ビセット元駐ベオグラード・カナダ大使へのインタビューが載っていた。「ちきゅう座」では、元アメリカ大使や現ドイツ大使のセルビア・バルカン情勢論を紹介してき
本文を読む国家体制の崩壊と民衆の解放感の乖離―「自由」への一石
著者: 岩田昌征ポリティカ紙(2010年12月21日)に載ったミラン・ペトロヴィチ記者のブカレスト発記事は考えさせられる。バルカン諸国の中で長い間ギリシャだけがEU加盟国であった。数年前にルーマニアとブルガリアが加盟に成功して、旧ユーゴ
本文を読む言葉の暴力について考える
著者: 岩田昌征世の中に言葉の暴力がある。様々な種類の言葉の暴力があって、紀元前4世紀の古代インド・マウリア朝の名宰相カウティリヤ作とされる『実利論 アルタシャーストラ』には各種の言葉の暴力の規定と罰則が明文化されている。現代の情報(戦
本文を読む真実はどちら側にあるのか?―対照的なセルビア政府批判
著者: 岩田昌征セルビアの常民社会派知識人の週刊誌ペチャト(2010年11月26日)に欧米市民社会の対照的なセルビア政府批判が載っていた。 一つは、ノーム・チョムスキーと共著で『同意の生産』を出版したエドワード・ハーマン教授の発言である
本文を読む自国の利益が統治国の良心?!―コソヴォ戦争から見えるもの
著者: 岩田昌征ベオグラードのポリティカ紙は、12月16日、17日、 18日の3日間続けて一つのテーマを報道している。合計9ページ余。しかも、18日(土)は10ページの別刷り付録まで。ここ20年間で初めて自分たちの主張が然るべきヨーロッ
本文を読む60年安保闘争私史―60年安保闘争50周年に寄せて
著者: 岩田昌征今年は60年安保50周年である。半世紀間顔を合わせたことがなかった山田恭暉氏から様々な50周年記念行事の案内が届いた。また雑誌『情況』のアンケートにも答えた。肝腎の6月15日前後は、義理の叔父、叔母と義母の墓参でパンチェ
本文を読むスレブレニツァ虐殺事件外伝
著者: 岩田昌征ポリティカ紙(11月29日)に私たち日本人の感性では了解しづらい事件が報じられた。 それは、スレブレニツァ虐殺事件外伝とでもいえよう。BiH(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)のムスリム(ボシニャク)人にとって、スレブレニツァ
本文を読む民族問題、住民問題としての領土問題
著者: 岩田昌征日韓、日中、日台、そして日露の間に領土問題が未解決のままくすぶっている。それでも当該地域に日本人、韓国人、中国人、そしてロシア人が接住しているわけではない。したがって以下に記すような事態は発生していない。海の効用というべ
本文を読む読書感想:片桐幸雄著『スラッファの謎を楽しむ』(社会評論社刊)について
著者: 岩田昌征片桐幸雄著『スラッファの謎を楽しむ』(2007年、社会評論社)を著者からいただいた。精読とはいえないまでも通読した。役に立った。面白い。私も1980年前後にスラッファの『商品による商品の生産』を手にし読解を試みたが、途中
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