海抜五十センチほどしかない埋立地で震災にあった。液状化でどぶの水のようなものが吹きでて、町中が臭い。乾くと砂塵になって舞い上がる。不動産屋に言わせると新浦安駅から徒歩二分、七棟ある大きなマンション街だった。そこが五十セン
本文を読む藤澤豊の執筆一覧
まるで釣りバカ日誌
著者: 藤澤豊「敵情視察」 https://chikyuza.net/archives/98688の続きです。 新規客を求めて、春と秋二ヶ月にわたって仙台から福岡までホテルでセミナーを開いていた。毎週火曜日と木曜日に部下
本文を読む日本語の取説ぐらいしっかり作れ
著者: 藤澤豊一九七二(昭和四十七)年、高専を卒業して我孫子にあった工作機械メーカに入社した。田無の実家からは、歩く時間もいれると二時間ぐらいかかる。朝六時過ぎの始発の次の電車で毎日はきつすぎる。実家から出たいという気持ちもあって、柏
本文を読むやるっきゃない
著者: 藤澤豊「なにやってんだ、お前」 https://chikyuza.net/archives/97878の続きです。 篠塚さんが東京支店に左遷されてから一年、遅かれ早かれ出てくるだろうと思っていたが、いきなりのデュッセルドルフに
本文を読むえっ、オレのサインでいいの?
著者: 藤澤豊デパートの上のレストラン街に昼飯にいった。女房のお気に入りの和食の店で美味しいらしいが、何度いってもC級グルメ以下の舌にはわからない。平日の遅い昼飯だからだろう、まばらな客は女性だけだった。お手軽な懐石料理はいいが、燃費
本文を読む血なんですよ
著者: 藤澤豊子供が幼稚園のころ、南行徳に住んでいたこともあって、毎週のようにディズニーランドに、ときには夢の島熱帯植物館や葛西臨海公園に出かけていた。どこも家族連れやカップルがちょっと遠出という感じできている。ある日たまには違うとこ
本文を読む敵情視察
著者: 藤澤豊「上司の首を切りたいんで(改版1)」 https://chikyuza.net/archives/97690の続きです。 池袋は二度目だった。十年以上前に同級生ときたことがあるだけで、どこになにがあるのかも分からない。中
本文を読む過去を引きずって
著者: 藤澤豊ざっとした計算しただけだが、このままやっていっても、なんとか食ってはいけそうだ。ねっからの能天気、いくつになっても先はどうにかなるだろうとしか思わない、というより考えられないといったほうが正しいかもしれない。先は誰にもわ
本文を読む著者もわからないから
著者: 藤澤豊機械屋になりそこなって、三十半ばでアメリカの制御屋でマーケティングとしての道を見つけた。それからというもの、還暦過ぎまで英語(と多少は日本語)で技術や市場と財務に関する知識の吸収に明け暮れた。ときには仕事の九割以上が英語
本文を読む便利になって、せわしなくなった
著者: 藤澤豊就職して、安月給にしても親の目を気にすることもなく使える金ができた。寮で朝と晩、昼は工場の社員食堂だったから、見かけのエンゲル係数は極端に低い。豊かな?、当時の言葉でいえば、独身貴族のような生活だった。酒を飲むわけでもな
本文を読む日本財政破綻論への素朴な不安
著者: 藤澤豊盛田先生の論考を読ませていただきました。勉強不足で知らないことばかりなのですが、わかりやすい説明で勉強になりました。ありがとうございます。 読みながら、そういうことなんだなと思っていたら、雨龍さんから疑問が提示されていま
本文を読むなにやってんだ、お前
著者: 藤澤豊新入社員研修が終わって、技術研究所の開発設計に配属された。課長以下十三名の小さな所帯だった。全員機械屋で来る日も来る日もドラフターに向かって図面を描いていた。週一の進捗会議と月一の制御開発課と試作工場との会議も、淡々と日
本文を読む上司の首を切りたいんで
著者: 藤澤豊「おぅ、中野、どうした。元気でやってるか」 もうかれこれ五年になる。中野は二年かけた人員整理で真っ先にレイオフされた。PLCのアプリケーション・エンジニアということになってはいたが、PLCのプログラミング言語の基礎を知っ
本文を読む故郷は自分のなかに
著者: 藤澤豊故郷にははっきりとした羨望の念がある。小学校の夏休み明けに聞いた同級生の「田舎にいってきた……」がうらやましかった。「望郷」とか「故郷喪失」などと聞くと、だからどうした、故郷があるだけまだいいじゃないか、生まれながらに故
本文を読む組織あっての自分はないでしょう
著者: 藤澤豊いくら話したところで、これといった答えなんかあるはずもないのに、どこかに答えのきっけぐらいという気がして、終わるに終われない。酒があるからいいようなものの、コーヒーとか紅茶だったらどうなるんだろうと思っていたら、風戸さん
本文を読む彼の地の彼らの紛争がおいしい
著者: 藤澤豊租税も予算もろくに知らない。財政学は名前を聞いたことがあるだけ。ましてや軍事や軍備にいたっては、新聞記事に毛の生えた程度の知識しかない。用語の定義すらままならない素人、単純に紛争や軍事衝突は軍需産業に飯の種をもたらすもの
本文を読むKYって何?
著者: 藤澤豊こんなことを言うと、歳のせいだと笑われそうで、ちょっとしたためらいがある。情けないことに、笑いたければ笑えって、尻をまくる勇気がない。もし言われたら、どう言い返してやろうかなんてことまで考えてしまう。いちいち言い返すのも
本文を読む子会社でよかったな
著者: 藤澤豊篠塚さんの穏やかな人柄のおかげで、青年婦人部の主流派とぶつかることもなかった。過激な言動で行き詰っていた主流派の中核からは弱腰と非難されたが、平静をとりもどして大勢からは歓迎された。組合幹部との関係も修復されたし、誰もが
本文を読むトジンカイ
著者: 藤澤豊七十二年に入社して技術研究所の開発設計課で下働きをしていた。開発中の新機種は機密で、部署は社内でも隔離されているようなものだった。課長を入れても十四、五人の小さな部署には電話が二台しかなかった。課長ですら、専用の電話を持
本文を読む小石と砂利と砂に水
著者: 藤澤豊マーケティングという仕事の性質なのか、それとも外資の立場で取るに足りない手勢を率いて、巨像のような同業が群雄割拠している日本市場を切り開かなければならない立場がそうさせたのか、一つでも手にあまるいくつものことを並行して進
本文を読む根津山小さな追悼会で思ったこと
著者: 藤澤豊柄にもなく近所の追悼会ででかけた。今までも、興味半分で失礼かと思いながら、もしかしたら目からうろこに出会えるかもしれないしと、似たような集まりに出席したことがある。そのたびに思わぬ目からうろこで、がっかりだけならまだしも
本文を読む培ったものを剝いでいったら
著者: 藤澤豊加藤周一対談集『語りおくこといくつか』に収録されている丸山眞男との対談を再読した。読まなければならないものが多いから、再読することはめったにない。数年前には、「うん、そうだよな、そう考えればすっきりする」と納得して読み流
本文を読むお酉さま、でかけてみれば沖縄民謡
著者: 藤澤豊雑司が谷には夏目漱石やジョン万次郎(なんと東条英機)の墓まであって、お寺(や神社)が多い。なかには、池袋駅から近すぎる(?)からか、ラブホや雑居ビルに囲まれて立派な鉄筋コンクリート造りのお寺もある。そんないかにもという豪
本文を読む馬鹿野郎、心配してんだぞ
著者: 藤澤豊お袋は料理が嫌いだった。少なくとも好きじゃなかった。近所の蕎麦屋の出前で済ませてしまうこともあれば、刺身や肉屋であげてもらったトンカツで終わりのことも多かった。そんな出来合いのものでも、寮や社員食堂ででるものとくらべれば
本文を読むなにが意匠だ、漫画じゃあるまいし
著者: 藤澤豊油職工にはなりそこなったが、もとは生粋の機械屋。機械を作る機械、マザーマシンといわれる工作機械にあこがれて工作機械メーカに就職した。新機種の設計部署に配属されて、こんなのありかという凝った旋盤の設計の下働きをしていた。旋
本文を読む晩成に希望を託して
著者: 藤澤豊世間話のなかででてきた。なんということもない一言なのに、どうにも気になってしょうがないことがある。ちょっとした一言から元気になることばかりならいいのだが、しばしそう言っちゃあ、終わりじゃないかというのに引っかかって、つい
本文を読むちょっと薬味の効いた
著者: 藤澤豊「ゴロゴロしてないで、どっか行って……」 昼飯食って、どうでもいいテレビをみてのんびりしてたら、台所からお袋が言ってきた。 まったく朝からバタバタ騒がしくて、テレビもおちおち見てられない。忙しいからといういいわけが、いつ
本文を読む思いはわかりますけど、
著者: 藤澤豊そんな視点からみても、みえっこないんじゃないですかね。今日に至るまでその視点に固執して、数十年みようとしてきたんじゃないですか。それで何かみえたんですか。 そして何か変えられたんですか。経済成長もし尽くして、というのも変
本文を読むあるものを組み合わせれば
著者: 藤澤豊産業構造を変革しなければという掛け声を聞いてからずいぶん経つ。掛け声が多少なりとも具体的になって情報化社会が喧伝され、クラウドとビッグデータになったかと思ったら、いつの間にやらAI騒ぎになっていた。そんな変わり続ける先端
本文を読む赤白桜
著者: 藤澤豊無沙汰しております。 早いもので、四月ももうすぐ中旬です。 街には新入社員の集団が見えます。 玉川上水の桜も綺麗でしょうね。 今日明日が桜の見ごろだと思います。 桜吹雪のなか、もう青葉が目につくようになってきたものもあり
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